12月度の良かった本の筆頭はまずこれ。

読んでない本を読んでない人達がわずかな手がかりから類推する、
こんな面白い本があったでしょうか。
でもこれ、きっと「人」による、と思うのです。
この企画を普通の人達が普通にやったとします。
あら、これ読んでないわ、私も、俺も俺も、じゃあ類推してこの本を読んでないけれど語っていこう。
多分面白くない。

この4人だから成し得た技があり、
類推の過程が、今まであまたの本とか漫画を読んでいる人だからこそ、の過程があり
突込みがあり
わからないことはわからないと言える度量があります。

作家や翻訳家なのに罪と罰を読んでないということは決して批判の対象にならないと思いました。
なぜなら
最後にこの人達、本当に読んで、普通に読んだと言い張っている人達より
はるかに深い考察を出しているのです。

罪と罰を読んでいる人にも
読んでいない人にも
また読んでいるけどおぼろげな人にも
ものすごく刺激的で面白い本だと感じました。

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海外文学からはこれを。

少年時代へのノスタルジーにも温かく包まれた物語ですが
普通の家族、普通に幸せに平凡に暮らしていた家族、村で起こった小さな事件は話題にはなるけれど他人事であった家族が、ある事件に巻き込まれる後半から一気に読ませます、前半の家族を見ているだけにそこがぐっときます。

またタイトルが秀逸で
ある部分でこのタイトルの意味がわかるのですが
その場面が鮮やかに脳裏に刻まれました、まるでその場に居合わせたように。

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いわゆるライムシリーズの中でも
この物語、とても上位作品だと思いました。
そしてここまで読んできたファンをくすぐる「前作品」との繋がりが
読んでいてわくわくさせてくれました。
ただ、前作品を読んでいなくてもこれのみでも楽しめます。

どんでん返しの途中途中のは相変らず優れているし
ラスト終わったか・・・と思った後のやられた感。
エンタメとして本当に優れている作品です。

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川上未映子作品で一番好きかも。

二人の男の子と女の子の小学生時代から、その2年後までを鮮やかに追っています。
どちらの家庭もちょっとだけ世間的な常識からははずれていて、多少は歪んではいるのですが
この二人の瑞々しい感性と言ったら!

特に、男の子の麦君、の佇まいが最高に良いです。
小さな麦君の頭をぽんぽんとしたいくらいに、麦君可愛い。