2016.01.04 2015年読了本
2015年の読書メーター
読んだ本の数:164冊
読んだページ数:52502ページ
ナイス数:3582ナイス

黒野葉月は鳥籠で眠らない黒野葉月は鳥籠で眠らない感想
ミステリ短編集でどの話も非常に読ませました、法律知識なしでも話を読んでいるうちに、!とラストの方でわかる瞬間を堪能しました。一方の側(主に新米木村弁護士の見ている側)からもう一方の側(主にベテラン高塚弁護士の見ている側)への真実への道筋が鮮やかな逆転劇が快感。表題作は全く最後までわかりませんでした、石田克志は~もこういう手が!と驚いたし、後味は良くないけど、「三橋春人~」も後半のえいやっの反転の本を取り落としそうになりました。小田切惣太は~は木村弁護士の見方に引きずられますが、真相におおいに頷きました。
読了日:12月28日 著者:織守きょうや
孤狼の血孤狼の血感想
良かった・・・。ヤクザ抗争の話で私の一番苦手分野なのに、するすると読めてラストぐっときました。漢(おとこ)の物語。昭和63年と言う時代背景が非常に重要だと思われます。携帯もパソコンもそれほど普及していなかった時代、いわば泥臭く野暮ったい状況があり、そこに警察の捜査も組されているのです。新人の日岡の率直でナイーブなところと、ヤクザ同然の恫喝もする旧弊な刑事と言った感の大上コンビが捜査していくのですが・・・章ごとの冒頭にある文章の削除べた塗りの意味がラストわかって泣けました。またラストで驚きの事実もまた!
読了日:12月23日 著者:柚月裕子
鍵の掛かった男鍵の掛かった男感想
長いミステリでしたが楽しみました。火村が出てくるまでは長いのですが、アリスのそこまでの奮闘ぶりが好ましく読者として一緒になって探偵になっていく、と言う気持ちでした。一人のホテルに長逗留していた一人の老人が自殺するというところから幕開けですが、この人の過去というのが徐々にいぶりだされてくるところが圧巻。更に途中でウールリッチへの言及とか大阪の町の説明とかそのあたりも話が膨らんで面白かったです。そして何と言っても犯人の動機が、最初の方だけなら、え、物足りない!のですが後半の意外な事実が胸打たれ納得できました。
読了日:12月23日 著者:有栖川有栖
『罪と罰』を読まない『罪と罰』を読まない感想
大爆笑の連続!4人の人達が「罪と罰を読んでなく、登場人物と小さな手がかりと少しだけの本文朗読から内容を類推しましょう」という本だ。なんといっても三浦しをんの妄想力が素晴らしく結構当たっている(外れているところも多いけれど)。長いロシアの名前をラスコ、マメ父(これに涙が出るほど笑った)、とつけるセンス、島耕作からロシアの雰囲気を想像したり、捨てキャラの言葉を使うところ、これだけ罪と罰を身近にしてくれる本って少ないんじゃないかなあ。更に「本当に罪と罰を読んだその後」の話し合いも抜群に面白かったです。
読了日:12月15日 著者:岸本佐知子,三浦しをん,吉田篤弘,吉田浩美
スキン・コレクタースキン・コレクター感想
面白い!!シリーズ中でも上位にランクインする作品だと思います。今回の敵は、刺青を彫りそこに毒物を入れるという残忍な犯行を繰り返すスキン・コレクター。途中途中の小技のどんでん返しは、申し訳ない、こちらも目が肥えてきたのでわかるのですが、かなり後半の怒涛のどんでん返しはここと繫がるのか!!とかこの人が!!!とか、驚きの連続でした。。読んでいなくても楽しめますが、ボーン・コレクターを読んでいると味わいが違うと思います、あと出来たらもう一冊も。個人的ファンのロン・セリットーの回復を祈ります。
読了日:12月15日 著者:ジェフリーディーヴァー
あこがれあこがれ感想
もう良くて良くて!小学生の語りで始まるこの本、私の心の琴線をぐっと押しました。前半は小学校4年生、(男の子が麦君、女の子がヘガティー)の内の麦君の語りで始まっていきますが、学級内のさりげない様子から麦君の家の寝たきりのおばあちゃん、ヘガティーの家での映画会、二人だけのアルパチーノのさよなら言葉、ヘガティーが銃撃戦の物真似をして素直にすごいという麦君の佇まい、そしてヘガティーが麦君の心を喝破するところ、など読みどころ満載でした。後半は女子のヘガティーの2年後なのですがここでも麦君の佇まいが最高に良いです。
読了日:12月8日 著者:川上未映子
ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
大好きです!こういう話!強烈なミステリというより普通の小説として読むと胸に迫るものがありました。語り手の少年の追想と言う形で始まっていますが、中盤まで1961年の夏のミネソタのある田舎町の光景がそれは緻密に炙り出されます。優しい音楽の才能あふれる姉、穏やかな牧師の父、芸術家肌の母、頭のいい弟、そして13歳の僕。一見平穏に見える幸福な家族がある事件を通してどういう姿を見せていくかというところに心惹かれました。過去を振り返る、という設定そのものがもう成功していました。タイトルの本文部分でおおいに泣けました。
読了日:12月4日 著者:ウィリアムケントクルーガー,WilliamKentKrueger
Aではない君とAではない君と感想
辛かった・・読み進めるのが本当に息苦しく辛い本でした。それだけ胸に迫ってきます、自分の子供が殺人を犯す、それは一体なぜなのか、自分の存在は子供にとって何だったのか、葛藤し苦悩する父親がいて、なんとか自分と息子との距離を縮めようとしているそのもがき、がこちらに伝わってきました。加害者側の目線なので、こういう事件が起こった時、子供の変化に親は気付けとか、親は子供の管理をするべきだ、とか、そういう言葉一切が空しく響くような気がしました。これはでも理由がある殺人でまだほっとしている自分がいるのにも愕然としました。
読了日:12月1日 著者:薬丸岳
小泉今日子書評集小泉今日子書評集感想
一度読売新聞の書評を読んで大変感心したので、この本迷わず買って読みました。結果、大変良い書評集でした。どうしても芸能人のきょんきょんの書いたもの、というので色眼鏡で見てしまうと思うのですが、家族、離婚、子供などへの言及もありながら、等身大の彼女の呟きからさらっと本について語る技が光りました。読んでいない本はちょっと読んでみたいかも!と思いました。難しい言葉は一切使ってないのだけれど、すとんと心に落ちるいくつかの言葉が忘れられません。10年間をまとめた本なので、彼女の10年間の心と読書の軌跡でもあります。
読了日:11月29日 著者:小泉今日子
さよならの手口 (文春文庫)さよならの手口 (文春文庫)感想
なんとも贅沢な一冊でした。文庫でこのボリュームで内容とは!葉村晶シリーズで一番好きかも。葉村も40代になり、相変らずの運の悪さは天下一品で、ひょんなことから入院中の病院で知り合った元有名女優に失踪した娘の捜索を依頼されることから次から次へと謎が始まるというミステリでした。娘を探している内に他にも失踪している人が出てきたり、娘の意外な過去が出てきたり、それはそれは目が離せません。プラス舞美という謎の女性の佇まいも気になるところ。更にビブリオマニアにはたまらないミステリ談義も楽しめ、ラスト一覧の遊び心もグー。
読了日:11月28日 著者:若竹七海
だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫)だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫)感想
素晴らしい!冒頭から美男美女の燃えるような恋愛が始まり、美女ダイアナ(コマドリ)を得たことによって、美男医者のノートンが驚愕の人生を歩むというミステリ。一気呵成に読みました。最後まで読んで驚愕、こういうことか!最後の一歩手前で真相がもしや?とわかったのですが、じゃああの時は?じゃああれは?あの人は?と疑問が渦巻き読み返してみると、全てがきちんと回収されていました。冒頭から実は提示されていたと。人間心理が緻密に描かれていて伏線も多々あり、ミステリと言うよりオースティンの物語を思わせる文芸作品のようでした。
読了日:11月25日 著者:イーデン・フィルポッツ
欺きの家(下) (講談社文庫)欺きの家(下) (講談社文庫)感想
満足。そして話は下巻になっても相変らず穏やかな川のようにゆったりと流れています。カプリ島の美しい島での燃えるような恋、そこからの暗転の部分が特に好きでした。ヴィヴィアンの変貌が痛々しく、過去の部分のヴィヴィアンを知っているとますます可哀想で抱きしめたくなります。細部を楽しむ話だと思うので、どんでん返し!えっ!とか、誰が犯人か!とか、そういうものを求めている人には違う物語だと思いました、私はおおいに楽しめましたが、ゴダード節を。シメが非常に巧みです、満足感とともに本を閉じました。
読了日:11月24日 著者:ロバート・ゴダード
欺きの家(上) (講談社文庫)欺きの家(上) (講談社文庫)感想
ほんと、久々のゴダード。そしてこの物語、ゴダードらしい過去と現在が交錯し、そこにきらめくような青春の恋愛の話、が絡んでいるミステリで楽しんで読みました。ミステリといっても、現在のぱぱっと進んでいくミステリではなく、ゴダード時間とも言うべきゆったりとした時間が進んでいくので好み分かれるかもしれません。しかも何が起こっているか、何が問題なのか、よくわからないのです、主人公のケラウェイとともに読者も(一体何が?)と思いつつ読んでいるのです。3つの時代が交錯して、現在の皆がわかっているだけに、過去がいとおしい。
読了日:11月24日 著者:ロバート・ゴダード
読めよ、さらば憂いなし読めよ、さらば憂いなし感想
本と映画についてのエッセイで面白く読みました。独自の本の切り取り方、物の見方が特に楽しく最初本と映画が混在しているので戸惑ったのですが、最後まで興味深く読みました。最後の柴田元幸さんとの対談もこの本の読みどころの一つだと思います、ここもまた海外本へのアプローチが目うろこのところがありました。この中で、ドラマすいかへの言及がどこに書いてあるものよりも私にすとんと胸の中で落ちました。こういう風にすいかを語れるって素晴らしいです(すいかも傑作ドラマなんですが)惜しいのは、レベッカで貴族の名前が違っているところ。
読了日:11月22日 著者:松田青子
我が家の問題 (集英社文庫)我が家の問題 (集英社文庫)感想
面白かったです。前作に(家日和)続いてのシリーズ物ですが、全くこの巻からでもオッケーでした。小さな出来事に対処していく家庭の人達・・・新婚なのに家に戻りたくない夫の気持ちを描いた甘い生活?は、途中出てくるスタンプラリーとか思い出作りとか(妻側がすることに対しての言葉)がわかってわかって、しみじみ考えさせられました。夫が会社で重要視されてないことに気付く妻の物語「ハズバンド」UFOと川原で交信していると言い放つ夫に対処する妻の物語「夫とUFO」、どちらも笑いながらも妻がいじらしく愛らしく前向きで素敵でした。
読了日:11月18日 著者:奥田英朗
家日和 (集英社文庫)家日和 (集英社文庫)感想
ものすごく良かったです。読後爽快感を感じました。家庭の話なのですが、どの家庭にもちょっとしたきしみのようなものがあります。そのきしみを家庭内の誰かが受け止め、実に明るい方向で受け止め咀嚼し、そして前向きに過ごしていく・・・。時に笑いながら、時に共感しながら楽しく読み終えました。良かったのは、サニーデイと夫とカーテン、前者はリストラされて主夫になった夫の好感度に乾杯、後者は一見ダメな男に見える夫のいいところを見つける妻に乾杯。家においでよは、おしゃれな空間をぶち壊し自分の巣作りをする男の姿に胸打たれました。
読了日:11月18日 著者:奥田英朗
消滅 - VANISHING POINT消滅 - VANISHING POINT感想
物語の骨子は「飛行場の密室の11人で、その人達がそれぞれ何者かわからない中、この中にテロリストがいるのを炙り出していく」という面白いものです。分厚いですが一気に読ませます。きらりと光るところもたくさんあります。が、なんせ人物描写が特徴で押し通しているので(鳥頭とかがらがら声女とか)名前は出ているものの混乱しました、読者側は。あとラストは・・・・ちょい尻つぼみ?かなあ・・・。これね、映像にしたほうが面白い。
読了日:11月14日 著者:恩田陸
君の膵臓をたべたい君の膵臓をたべたい
読了日:11月14日 著者:住野よる
ハリウッド白熱教室ハリウッド白熱教室感想
NHKで映像を見ていたのですが(これまたとても面白かったです)、今頃これが出ていたことに気付いて・・・遅いよ自分。非常に面白いです。特に具体的な映画を引き合いに出し、具体的に理論をつめていくこの方法、わかりやすいし、心にすとんと落ちます。ただの映画論に落ちずに、キャスパー教授の体を張った授業、時には生徒をも巻き込む授業が魅力的過ぎて、自分もこの授業にいるような気にさえなりました。教授の問いかけの答えを見る前に自分で考えたり、これから何度も読み返すことになる本になる、と思います。ただ映像には負けるけれども。
読了日:11月11日 著者:ドリュー・キャスパー,NHK「ハリウッド白熱教室」制作班
ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)感想
犯人・・・・・もうもうもうもう・・・・・・(怒) 映像化は楽しみです。
読了日:11月11日 著者:ポーラ・ホーキンズ
ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)感想
冒頭で通勤電車で車窓から見える家を見ている女性レイチェルが出てきて、ただただ偶然にその場所を観察している人、だと思ったら、意味があったのね・・・。三人の女性の視点で進んでいくミステリ。レイチェルとアナのどちらにもいらいらっと気持ちを逆撫でされながら、下巻へ。
読了日:11月11日 著者:ポーラ・ホーキンズ
天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:10月25日 著者:ピエールルメートル,PierreLemaitre
天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:10月25日 著者:ピエールルメートル,PierreLemaitre
悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)感想
面白かった!その女アレックスの第一弾。そして我ながらこの順番で読まなければならないのを惜しい、と思いました。(おなじみの)登場人物一人一人が丁寧に描かれています。殺人事件そのものが非常に残虐だし他の箇所も非情なので抵抗力のある人にお勧め。でもこのミステリ、犯人よりも残虐な殺し方よりも、第一部を読んで第二部を途中まで読んだ時、ああああああ!!!そういうことか!というこの驚きがあるのです。ミステリ好きには途中たまらない部分もあります。ただ・・・この邦題タイトルはいかがなものでしょうか・・・
読了日:10月20日 著者:
中野のお父さん中野のお父さん感想
読みやすいし、博識のお父さんの佇まいも悪くはないけれど・・・私は合いませんでした。太宰治の辞書を読んだ後の感じと非常に似ています。エッセイとしてだったら面白いけれども。
読了日:10月19日 著者:北村薫
恋読  本に恋した2年9ヶ月恋読 本に恋した2年9ヶ月感想
申し訳ないけれどこの女優さん全く知りませんでした。でも本を読むスタンスと選書の良さが光るこの本、読んでいてとても楽しかったです。楽しかった一つの要因は、彼女が背伸びをせずに等身大の本好きの女の子として本に相対していること、でした、本が「読める」人なんだと思います。感想と言うよりエッセイに近いのかなあ。日本のものもよく読んでいますが、二流小説家、ミステリガール、ジェイコブを守るため、など海外本もよくこなれて読んでいて、それを自分のものにしているに好感が持てました。彼女の感性でまた第二弾出して欲しいものです。
読了日:10月19日 著者:小橋めぐみ
柘榴パズル柘榴パズル感想
この表紙、そしてほわほわとした文体。家族の温かさ、ちょっとぼけかけたお祖父ちゃんとそれを温かく見守る母親と、物分りの良いお兄さんと、そして「わたし」と、可愛い甘えん坊の妹とのある一家のひと夏の物語。ほのぼの家族が日常の小さな謎を解き明かす物語、と読んでいて(どうしたってそう読む)・・・・・いやあ・・・・・驚きました。うっちゃり食いました。途中の衝撃新聞記事はなんとなく予想がついていたものの!ただ、エピローグは蛇足、だと私は思いました、ごめんなさい。
読了日:10月19日 著者:彩坂美月
流感想
台湾の話かあ・・・興味が持てるだろうかと思いつつ読みましたが、のめりこみました。青春物語としても読めるし、ミステリとしても読めるし、また台湾と中国の歴史と日本人のそれに対する関わり方のようなものとしても読めるし。この物語、力がありました。そしてその力の奔流の前にただただ脱帽。時折「未来の自分」が顔を出し、未来からその時を冷静に語ってくれるという趣向も面白かったです。特に恋愛の話と、友情の話が胸に切々と迫ってきました。ラストの閉じ方もお見事、このあと、が読者はわかっているだけに胸に迫るものがありました。
読了日:10月19日 著者:東山彰良
その時の教室その時の教室感想
学園ミステリで、一つ一つの謎の出来事(名前がなぜダッシュになってるかとか、試験問題をなぜ全員が解き始めないのかとか)は魅力的だし、仕掛けもある程度(時制とか人のミスリーディングの仕掛け)は凝っているのです。なのに、なぜかすっきりしない感が漂う・・・・のはなぜでしょう?どう考えても、ないだろうこれは・・・と思うものが多すぎて。だから惜しい。とても惜しい。
読了日:10月19日 著者:谷原秋桜子
リバースリバース感想
平凡な深瀬と言う男の恋人に「深瀬は人殺しだ」という怪文書が届いた、事から、かつて大学時代のゼミ男子学生が旅行に行き、その中の一人が自動車事故で死亡してしまう・・・・という深瀬の過去の物語が炙り出されてきます。そして深瀬が、死んでしまった広沢の知らない部分を探っていくうちに、友情の探りあい、彼の人間性のあれこれが噴出します。そしてようやく怪文書の出元がわかっていく、という話、と思いきや。このミステリ、ラストに茫然。ラストがともかくも見事でした。深瀬は好きじゃないけどね(これも作者の意図かも
読了日:10月10日 著者:湊かなえ
駝鳥 (Children & YA Books)駝鳥 (Children & YA Books)感想
うわ!なんてこったい!駝鳥の絵も印象的ですが、砂漠を旅する旅人の話、とのほほんと読んでいたらこの展開に度肝抜かれました。筒井先生怖い!最後の展開が特に怖かった・・・・駝鳥は何を表しているのだろう?と深く深く考えました。
読了日:10月10日 著者:筒井康隆,福井江太郎
声感想
ホテルドアマンだった地味な男が殺されたというところから始まるミステリでした。捜査官が徐々にドアマンの過去を知っていくとそこに誰も知らない彼の過去が・・・・。このミステリ、捜査官自身の現在と過去の家庭の話とか、別の場所で起こった児童虐待の話とか、プラス殺された男の過去の家庭の話とか、家庭の話というのが大きな要素を占めていました。読ませます、栄光と転落を目の当たりにしました。ただ・・・・ちょっと思ったのは、犯人側の事情があと一歩足りなかったような感じが漂いました、ここもうちょっと掘り下げて欲しかったと。
読了日:10月10日 著者:アーナルデュル・インドリダソン
風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)感想
デビュー作。これがなかったら今日の村上春樹もなかった、と思うと非常に感慨深いです、そしていつ読んでも新鮮。鮮烈な翻訳文学のような文体にも衝撃を受けたのを思い出しました。
読了日:10月10日 著者:村上春樹
本なんて!作家と本をめぐる52話本なんて!作家と本をめぐる52話感想
多くの古今東西の作家さんが本について語る文章が並んでいます。なんて贅沢な!持ってくるところもとてもいいものを持ってきています。角田光代の覗きはとてもわかるし、小川洋子の妄想交じりのラーメン店での本好きとの会話も残るし、長嶋有の図書館本へのばしっとした一言も刺さるし、室井佑月の本はなんだったんだろう?と思ったし、久世光彦の太宰暦にも微笑んだし。でも何と言っても、塩一トンの読書の須賀敦子の文章は、何回目かでも尚、心打たれました。寺山修司も良かったなあ・・・良かったと言うか破壊力がある騙りと言うか。語り?騙り?
読了日:9月18日 著者:芥川龍之介,朝井リョウ,浅田次郎,荒川洋治,有栖川有栖,池内紀,石川淳,伊集院静,いとうせいこう,稲葉真弓,江國香織,小川洋子,開高健,角田光代,紀田順一郎,草森伸一,久世光彦,窪田空穂,小池真理子,最相葉月,椎名誠,庄司浅水,須賀敦子,鈴木清順,園子温,高山文彦,田村隆一,多和田葉子,土屋賢二,出久根達郎,寺山修司,常盤新平,栃折久美子,外山滋比古,長嶋有,西村賢太,萩尾望都,藤野可織,穂村弘,堀江敏幸,万城目学,宮内悠介
にょにょにょっ記にょにょにょっ記感想
楽しすぎる~~日記、なんだけどにょっ記。このシリーズ、最初のうちは、フジモトマサルさんの絵になじみがなかったのですが、もういまやこの人の絵があるから余計に楽しめる、ような気がします。 くすっと笑って、ちょっと考え込む時間がある、そんなにょにょにょっ記。まだまだ続けて欲しいものです。 ところで天使って誰でしょ?
読了日:9月18日 著者:穂村弘,フジモトマサル
王とサーカス王とサーカス感想
すごく良かったです。ミステリとして良かったいうよりも、一人の女性太刀洗万智の心の動きに魅せられました。そしてジャーナリズムとは何かという問題も改めて突きつけられました。私の心の中に一つの錘を投げかけられた感じです。社会派でも間違いなくあるので、ほわほわとしたものを求めているのなら違うかも。実際にあった王族殺人事件は背景の一つの重要なアイテムではありますが、それよりも、この小説に出てくる一人ひとりの生き方、全く日本と違った国のあり方、そこでの子供達や警官、僧侶、宿のおかみ、の動きの一つとして見逃せません。
読了日:9月18日 著者:米澤穂信
働く男 (文春文庫)働く男 (文春文庫)感想
初めて、なんですが。映画の評論が鋭すぎてそして視点が面白く一気に読みました。後半のコラムのモニカ病も抱腹絶倒(でもファンに殺される・・・)。ただ、我ながら惜しいことに、音楽についての言及は、その音楽を知らないとなんだか・・・(要は熱烈ファンじゃないと)でした。 最後の又吉直樹との対談も読みどころ。
読了日:9月18日 著者:星野源
職業としての小説家 (Switch library)職業としての小説家 (Switch library)感想
非常に面白く読みました。今までの村上作品を読んでいると尚更作品の背景のようなものが見えてきて楽しめると思います。神宮球場で啓示のように降りてきた小説を書くと言う話は知っていたのですが、改めて読んでみるとここも実に味わい深く、風の歌を聴けを再び読みたくなりました。芥川賞への思い、自分の作品についての日本での毀誉褒貶、作品を定点観測してくれる人間の必要性、文章の推敲につぐ推敲(トンカチ仕事と言っています)どれも読ませます。私が一番知りたかった海外展開の当初からの出来事も率直に語られ、まさに読ませる一冊でした。
読了日:9月16日 著者:村上春樹
掲載禁止掲載禁止感想
気持ち悪いんだが、思わず読んでしまうというそんな作品。ただ、今回は短編集なので途中の作品からラストが予測可能でした。絶対にありえないだろうーと思うようなシチュエーションなんだけど、(ひょっとしたらあるかも?)と思わせるところがネットとか動画とかそういうのを使って巧いなあと思いました。ただ・・・ちょっと途中飽きたけれど、私は。申し訳ない。
読了日:9月15日 著者:長江俊和
夏の裁断夏の裁断
読了日:9月15日 著者:島本理生
老骨の悠々閑々 (一般書)老骨の悠々閑々 (一般書)感想
昭和史の10大事件があまりに面白かったので、調子付いて半藤さんエッセイ本をもう一冊。これは85歳の彼が文学的な立場を踏まえ色々なことに言及している随筆本でした、これも楽しめました。版画がもう初期の頃から後半プロなみでしかもユーモアがあってそれはそれは楽しくて私も欲しい、と思いました。漢詩の読み下しも大爆笑して、ともかくもユーモアセンス(下品じゃないユーモア)が抜群なのでぐいぐい読ませます。途中漱石の草枕の言及もまたとても面白かったです、なんかずうっとこれを続けて欲しかったな。
読了日:9月15日 著者:半藤一利
昭和史の10大事件昭和史の10大事件感想
作家宮部みゆきと、歴史探偵半藤一利の対談本。とてもとても面白く読みました。宮部みゆきの作家としての視点、歴史を冷静に分析している半藤一利の視点がうまく融合された対談集でした。年代が違うのに話が噛み合っていて読ませる読ませる。決して堅苦しくなくこういう風に歴史を紐解いてくれると過去の出来事が非常に身近に感じられます。私の個人的な興味は東京裁判でしたが、ここもまた読み応えがありました。あと、半藤さんのボートの話と思いきや、隅田川の定点観測の話になるところなどもお見事。
読了日:9月15日 著者:半藤一利,宮部みゆき
真夜中の図書館真夜中の図書館感想
谷山浩子の独自の切り取り、それも児童文学への切り取りというのがとても好感が持てました。独自ワールドが広がっています。知っている児童文学も改めてもう一度読んでみたいと思わせる一冊でした。決して上から目線ではなく、(ちょっと年上のお姉さんがこういう読み方もあるよ)と教えてくれるような本。星の王子様の中の幸福への言及、アンの読者がエネルギーをもらう話、賢いエルゼのわからない感じ、など読んでいて楽しかったです。小川未明のこの作品を知らなかったので、ちょっと探ってみたいなあと。
読了日:9月15日 著者:谷山浩子
まるで天使のような (創元推理文庫)まるで天使のような (創元推理文庫)
読了日:9月9日 著者:マーガレット・ミラー
まるで天使のような (創元推理文庫)まるで天使のような (創元推理文庫)感想
6年ぶりの再読。そして鮮やかな一撃は健在なり。
読了日:9月9日 著者:マーガレット・ミラー
三谷幸喜のありふれた生活13 仕事の虫三谷幸喜のありふれた生活13 仕事の虫感想
どんどん三谷さんの個人的環境は変わっているのに(犬も家族も)、彼の仕事に対する情熱は衰えていないし、舞台に映画、そしてテレビと仕事に燃えている姿を見るのは読んでいて楽しいです。そしてかつてと変わってプライベートはほぼゼロ、かも。キングのあの作品を読んだ感想もまた読ませたし、話題の山本耕史に対する一章も面白かったし。ただ・・・・ここでも触れられている自信満々のポアロはテレビで見たので、どんなに理由を言ってもあのポアロの話し方をどうしてあのようにしたのだろう、という疑問はいまだに私の中に渦巻いてます・・・
読了日:9月9日 著者:三谷幸喜
あしながおじさん (光文社古典新訳文庫)あしながおじさん (光文社古典新訳文庫)感想
新訳なのでどうかなあ・・・と思いつつ読みました、なんせ子供の頃のバイブルなので。でもでも、この訳、品があって適度にお茶目でとても良かったです。孤児のジュディの生き生きした大学生活に憧れたこと、サリーとの友情が羨ましかったこと、そして何よりたくさんの知らない本に囲まれてもりもりそれを消化していくジュディに好感を持ったこと、などを懐かしく思い出しました。一種の叙述ミステリでもあると思うのです、結末を知って読んでいると、(これってあの人の嫉妬?)とか色々思えるところがまた魅力がありました。解説も非常に良いです。
読了日:9月9日 著者:ウェブスター
朝が来る朝が来る感想
読ませはするし最後ぐっとはきたのですが・・・。前半の方が良いかなあ・・・。
読了日:9月9日 著者:辻村深月
斜陽 (新潮文庫)斜陽 (新潮文庫)感想
次回の100分で名著の作品なので久しぶりに読みました。全く古びていない話で、ちょっとしたユーモアもあるし読ませます。語り手のかず子が「結婚して子供を死産した出戻り」なのに、どう見ても生娘にしか見えない発言のあれこれが、あー没落貴族・・・と思いました。最初の方ですうぷを啜るお母様の場面、そしてそのあと続く衝撃的な(だった)庭でのおし・この場面、全てが優雅で美しく繊細なお母様の貴婦人っぷりがうかがえます。無頼派を気取っていた兄も結局は貴族の血が脈々と流れていて、作家の上原とかず子の絡みも非常に読ませました。
読了日:8月31日 著者:太宰治
新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)感想
新訳と言うので再び読んでみました。このミステリ、自分と言うものが揺らいできます、自分は誰なのか一体なにをしたのか。このあたりの不安感がぞくぞくとします。話は、自分の雇い主の車サンダーバードをちょっとだけ拝借し南仏の方に行く地味だった女が、初めてのはずの場所で皆が彼女を知っているという恐ろしい状況に投げ込まれる、と言うところから始まります。左手をつぶされる場面ですら、前にも左手に包帯をしていたじゃないかと言い張る人達・・・一体自分が間違ってるのか、皆が嘘をついているのか。連城さんの解説も読ませます。
読了日:8月31日 著者:セバスチアン・ジャプリゾ
女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)感想
スクールカーストの話、と思いきや・・・。第一部は残酷な子供視点、第二部は大人視点、そして第三部の真相・・・。読ませます、第一部のラストでおなかいっぱいになりながら、第二部はわかりました。が、ラストの章であるところ完全に騙されていて驚きました。騙されのある部分は、これあり?とも思ったし、ここは必要?と言う部分もあったしあざといところも多々ありました。でもあのあとどうなったのか、という興味は満たされました。でもなんといっても最後のところ、二人がおそらく二人とも「わかっている」というのが怖すぎ。
読了日:8月30日 著者:降田天
もしもし、還る。 (集英社文庫)もしもし、還る。 (集英社文庫)感想
起きたら灼熱地獄のサハラ砂漠!上から公衆電話が落ちてくる!荒唐無稽の状況で「僕」がしたことは・・・。現在と過去が交互に出てきて、ここに至るまでの「僕」が徐々にわかってきます。前半から中盤非常に読ませるし、混沌ぶりも良いし、最後まで読ませる力はありました。が、一方で、この「僕」の強烈な一人語りについていけるかどうかがポイントの作品かも、私はかなりそこで苦戦しました。セックスフレンドとかの言葉自体も、もやっ。最後も、もやっ。
読了日:8月30日 著者:白河三兎
このミステリーがひどい!このミステリーがひどい!
読了日:8月29日 著者:小谷野敦
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)感想
素敵な物語でした!台湾の話なので感情移入できるかとか危惧したのですが、全く問題なく、それどころか(なぜこの話が懐かしいのだろう?)という温かい思いに包まれました。話は、1900年代初頭の台北の一種のショッピングモールで商売をしかつ住んでいる家族達の物語(主に子供の視点)で、そこに歩道橋があり不思議なマジックをする魔術師がいるのです。現在大人になった人間が子供時代を回顧する部分もかえますが、何と言っても魔術師の「本当の」魔術にわくわくどきどき。幻想的で死を内包した美しい情感に満ちた語り口にも魅せられました。
読了日:8月29日 著者:呉明益
街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
人物の描写が非常に緻密であり読ませました。浮浪者連続殺人事件が起こっているのですがそれよりも、自分の身を削った人間に恋してしまう女性像とか、深く女性に執着してしまう男とか、仕事をしながら虎視眈々と上昇志向がある人間とか、人生を転落しきってそこに停滞している人間とか、どの人間の行動もぐいぐい引っ張っていってくれました。後半ある部分はわかっていたのですが、ある部分が全く想像圏外だったので、え!と驚きました、こういう繋がりがあるとは!作品全体に漂う安穏とはしていられない雰囲気がたまりません。ラストが唐突かなあ。
読了日:8月29日 著者:ルース・レンデル
抱く女抱く女感想
相変らず読ませるなあ・・・・この作者。1972年の大学生なのでさすがに知らないのですが、この時代を写し出しています、見事に。20歳の大学生直子の行く場所が、大学生のたむろしている麻雀屋、ジャズ喫茶、友達の狭いアパート(間違ってもワンルームマンションではない)とかここも昭和。社会に反発し物事を斜めに見て、はすに構えている直子。一方で時代はあさま山荘、革マル派、セクト、ウーマンリブと激動の時代で、これに洗礼されていく人々の暮らしの様が生き生きと炙り出されていました。恋を見つけた直子のその後、も読みたいかも。
読了日:8月8日 著者:桐野夏生
黒百合黒百合感想
久々に(7年ぶり?!)に再読。やっぱり面白い!と思いました。全てがわかっていても最後のところ、からーん、で度肝を抜かれます。ミスディレクションがたくさんあるので、これが?この人が?と色々思うのですが、そのあたりもとてもよく出来ています。なんと言ってもある夏の六甲別荘での淡い初恋物語にくるまれていてそこがとても心地よく瑞々しく、それと殺人事件と過去の物語がどのように絡んでくるかというのが読む醍醐味でした。時制が昭和年号と西暦で書かれているのでそこも一種の目くらましかも。
読了日:8月8日 著者:多島斗志之
海を照らす光海を照らす光感想
いい話だったなあ・・・読後、遠くを眺めたくなりました。話は、絶海の孤島のようなところで灯台守になる一人の男が、妻を得てそして子供を・・・というところである事件が起こるのです。島から見える情景描写、一人ひとりの心の揺らぎ、などが繊細に編みこまれています。前半は戦争から帰った一人の心に傷を負った男がある女性と恋をして結婚するまで、後半はもう一人の女性が街で差別された男と結婚するまで、と二つの恋愛も対比されています、どちらにも人生はあるのです。なんといってもラスト、泣けました。素敵な映画になることを祈って!
読了日:8月4日 著者:MLステッドマン
ジオラマ (新潮文庫)ジオラマ (新潮文庫)感想
こういういやーな気分にさせてくれる皮膚感覚でわかるレベルの話、巧いなあ・・・と思いました。短編集ですがどれも心ざわざわさせます、そして物語に入り込みました。ものすごく短いものもあるのですが、それすら起承転結がきちんとしていて、もう素晴らしい。心の中の何かが壊れる瞬間、日常がひっくり返る気持ち悪さ、全く見たことのない景色が一気に広がる恍惚感とその転落していく様、読ませます。冒頭の怖さ満点のデッドガールの不気味さと、あとで真相がわかる黒い犬が特に好きでした。
読了日:8月4日 著者:桐野夏生
ぼくは勉強ができない (文春文庫)ぼくは勉強ができない (文春文庫)感想
久々に読み返してみましたが(なんせそののちの時田秀美くんが序盤に登場すると言うので)やっぱり青春文学の名作だと思いました。勉強が出来てスポーツも出来てイケメンで出自も良いお金持ちのお坊ちゃま、というのだったら魅力半減。秀美君は、勉強は出来ないのです、スポーツは出来るけど。で、お金持ちでもなく編集者の母と爺ちゃんの三人暮らしでどっちかっていうと貧乏、でももてもて、というこの人物造型が素晴らしすぎ。大人と子供の中間の秀美くんが特に泣くところで電車の中のおばあちゃんにハンカチもらうシーンが忘れられません。
読了日:8月4日 著者:山田詠美
ぼくの短歌ノートぼくの短歌ノート感想
飄々としたユーモアたっぷりの穂村弘の切り口で切り取られた数々の短歌の新鮮なことと言ったら!知らない人もいるし、知っている人もいるし、だったのですが、一つの短歌からこれほど豊穣な世界が広がるとは目うろこでした。改悪例(改善例じゃなくて)というのが笑ったなあ・・・確かに元のほうがずうっといいや。塚本邦雄、寺山修司、の短歌はぞくっとするほど良かったです。あと葛原妙子も視点が面白い。
読了日:8月4日 著者:穂村弘
この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドン・キホーテのピアス17この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドン・キホーテのピアス17感想
兄貴!と呼びたいような鴻上(あえて呼び捨て)。時事ネタが多いので、その時に読まないと、と言う感はありますが、とても面白く読みました。適度な品性を保ちながら、世の中の不条理なことを淡々と書いていく・・・声高ではないのです、でも心にすとんと落ちるような書き方で。小保方問題、森・元首相エレベーターエピソード(なんてわかりやすいエピソードなんでしょう)、号泣会見、リクルートスーツ問題と話は多岐にわたっていますが、鴻上の劇とドラマの日常に挟まれながらの視点が独特で面白かったです。
読了日:8月4日 著者:鴻上尚史
BABELBABEL感想
復讐代行業者の話、なので決して明るくはなく、連作それぞれが何かしらの復讐の種、のようなものがあります。でも面白い、と思いました。なぜなら一つの話が、最初私が思った方向から違う方向にいくからです、最初の展望室占拠の話だったら、犯人がなぜそうしたかというところから電話の相手先の話まで、深夜バスのナイトジャーニーだったら、うっかりある人に心寄せていたら実は・・の話まで、そしてグラスタンクの驚きと言ったら(動機も展開も驚いた)!ただ、ラストの話が最初に結びつくのですが、ここがちょっと粗いと思いました、惜しい。
読了日:7月31日 著者:日野草
花のベッドでひるねして花のベッドでひるねして感想
ちょっと離れていたばなな作品。スピリチュアル傾向と思い込み(と見えた)があまりに合わなくなったので離れたのですが、この作品も色濃くスピリチュアルなところが散見されました。なぜかこの本は私の心にフィット。海から拾われた、という荒唐無稽な設定も、超能力を持っていたおじいちゃんの設定も、また考えられないくらい美しい村の光景の設定も全て受け入れられました、私の心のありようなのかわかりませんが。言葉の色々なところでなるほどなあと思いましたが、特に「違うこと」についての話は、忘れないと思います。
読了日:7月31日 著者:よしもとばなな
ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)感想
多重解決物(多すぎるほど多い解答が出てくる)で、しかも外側が実に奇妙な枠組みでがっちりと固められたミステリでした。多分ぱっくり分かれると思います、好き嫌いが。私は大好きです。一つの解答が出た時、その前のテキストを読み直すと、(あーそうかも!)と一旦思います。でも次のテキストを見てあれ?そして又次の解答で(あーそうかも!)、この繰り返しがおおいに楽しめました。本格あるあるをちょっと弄りながら、バカミスの要素もふりかけ程度にかけ、読んでいてこちらもミステリーリーグに参戦しているような気持ちになりました。
読了日:7月26日 著者:深水黎一郎
本質を見通す100の講義本質を見通す100の講義感想
初めてこのシリーズ知りました。皆が言葉にしないけれど思っていることを言葉にするって難しい・・・それをクリアーしていました。一方でつくづく理系の人の発想だなあと思いました。だから共感できるところも多々あるけれど・・・・、、、みたいな。
読了日:7月26日 著者:森博嗣
森は知っている森は知っている感想
太陽は動かないを読んでなかったので(前作らしいです)、この本を読んだ後すぐに買いに行きました、それだけ面白かったわけです。鷹野という男の青春物語でもあるし、鷹野という男がどうやって生まれたかという幼少時の物語でもあるのですが、この過酷過ぎる幼少時の話に胸打たれました。鷹野の親友の柳と柳の弟の三人の冒頭場面も忘れがたく(そして後半で重要場面になる)、更に鷹野達のすることが心躍らせるし、後半の二転三転の活劇のようなところもおおいに楽しめました。エンタメとしてとても良い出来栄えかも。風間さんと富美子さんに乾杯!
読了日:7月24日 著者:吉田修一
薔薇の輪 (創元推理文庫)薔薇の輪 (創元推理文庫)感想
ずっしりとした話、というよりも軽妙なやり取りといった感じのミステリでした。自分が妊娠している時に夫が暴力を振るったために身体が不自由で生まれてきた娘、そして彼女と女優の母との交流が新聞の連載エッセイで大人気になっている、という滑り出しの話におおいに心躍らされました。しかもそのあと刑務所にいた夫が出所して・・・・ここから殺人事件が起こるのですが、殺人事件と失踪とが二つほぼ並列で語られているのが興味深かったです。ただ・・・ちょっと私が勝手に思ったミステリとは違ったかなあ(私の勝手な思い込みなのでごめんなさい
読了日:7月24日 著者:クリスチアナ・ブランド
笹の舟で海をわたる笹の舟で海をわたる感想
すごく心にヒットした小説でした。こういうのを書かれると角田光代は天才的、ちょっと対岸の彼女を彷彿とさせました。昭和の歴史とともに二人の異なる人生を歩む女性二人を描いています。平凡な主婦の左織の、有名人の料理研究科になった風美子への忸怩たる思い、畏れ、後ろめたさ、そのあたりの描写が特に胸を打ちました。元は過去の疎開先の出来事(壮絶ないじめ)なので、記憶の改竄とかそこも人間とは・・・・と改めて考えさせられました。ただの二人の人生の変遷として読むと微妙になりますが、感情の波打つ感じが大好きな小説でした。
読了日:7月24日 著者:角田光代
あなたが消えた夜にあなたが消えた夜に感想
一章二章までも混沌としていてわかりにくい推理小説でしたが、それでも被害者加害者の関係がわかるところあたりで、あ、面白いかも!と惹き付けられました。二人とも心に闇を抱える刑事コンビの良さはあまり私はわからなかったけれど(特に小橋刑事のずれてる感・軽妙感は、は?)。三章にたどり着いて、あーここが作者の書きたかったところなのか、と思いました、ここで一気に心理小説+形而上学的小説に変貌。タイトルもここから何度も語られます。ただ・・・私には全体にあいませんでした、ごめんなさい。
読了日:7月18日 著者:中村文則
火花火花感想
お笑いの話でなかったら作者本人の顔も佇まいも浮かばないものを・・・・これが利点にもなっているのでしょうが・・・・。 笑いがわかりませんでした、私には、最初の方から最後のところまでずうっと、会話の突っ込みみたいのもわかりませんでした、ごめんなさい。そして先輩芸人の神谷の魅力が今ひとつ伝わらない気がしました、相方をもうちょっと出した方がいいと思います。ただ、芸人の世界の厳しさを描く、独特の作者の見た世界観、そういう部分はかえました。
読了日:7月16日 著者:又吉直樹
母性 (新潮文庫)母性 (新潮文庫)感想
全体の仕掛け、は面白いと思いました。母部分と娘部分とのパートの語りのずれ、も読ませました。ただ・・・根本のところで、最初の田所と結婚した女性があまりに母の支配を受けている、彼女の目線と愛情をずうっと感じ続けている、というのが腑に落ちませんでした。
読了日:7月10日 著者:湊かなえ
さよなら、ニルヴァーナさよなら、ニルヴァーナ感想
読ませるけれど。あまりに実際の事件と重なりあいすぎていて、非常に割り切れない気持ちになりました。虚構の物語のはずなのに現実とこれだけリンクしているという不思議感。少年A、彼に憧れる莢と言う少女、少年Aに殺された女の子のいた家族、そして外枠に作家志望の屈折した女性が出てきます。もしこれが虚構だったら少年法とか被害者とか考えることは出来ます。が、扱いがとても繊細な事件だと思うだけに、実際の被害者一家の心情を考えると安易に言葉を出せません。また性描写はこれだけ必要だったのでしょうか、その部分辟易しました。
読了日:7月9日 著者:窪美澄
時を紡ぐ少女 (創元SF文庫)時を紡ぐ少女 (創元SF文庫)感想
なんて面白い!最初の部分から惹き付けられまくって、刺繍娘に不合格ってなに?刺繍?反抗する両親は?え?と、世界観が全くわからないまま読み進めました。アラスという世界が非常に特殊な世界というこの設定そのものがどきどきわくわくしました。糸を抜く抜糸の作業が何を意味するか、糸を縒り合わすのが何か、そもそも刺繍娘とは何なのか。これらの問いが世界と共に広がっていきます、ジョストとのラブロマンスもまた。三部作と知らなかったので後半冗長に思えるところもあったのですが、序章と思えばこれもまた。にしてもアデリス、やるな!
読了日:7月8日 著者:ジェニファー・アルビン
ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)感想
奇想、SF、異世界(SFですが)と多彩な18編が入っていました。ちょっと意味がわからないというかもしかして私の読み違い?と不安なものもありましたが概ね楽しめました。ただ解説がもっと詳しくして欲しいかも。この中ではフォーレセンの不条理感が好き、歴史改変の私はいかにして第二次世界大戦に敗れ、それがドイツの侵攻を防ぐのに役立ったかも楽しめ(ドワイトはわからなかった調べるまで)、ラ・ベファーナも六本足の生き物?と最初かなり引いていましたが、最後まで読み終わると大好きでした。ラストが光る取り替え子も好き。
読了日:7月4日 著者:ジーン・ウルフ
サキ―森の少年 (世界名作ショートストーリー)サキ―森の少年 (世界名作ショートストーリー)感想
大好きなサキ。少年少女向けですが、非常に良いセレクトで楽しませてくれました。数ある短編の中で、最高峰と思われアンソロジーにもよくとられている、開かれた窓(出だしから最後の言葉まで緊密でオチに震える)、もしかしたらあるかもと思わせる猫がしゃべって人間が辟易する話、トバモリー、電車内で自分の洋服の中にネズミが入り込み美女の前で裸にならざるを得なかった男の顛末のネズミ(これもオチが素晴らしい)、電車内のうるさい子供に語って聞かす話の残酷さが光る話し上手、最後までラストが読めない夕暮れ、の面白さが光りました。
読了日:7月3日 著者:サキ
ブエノスアイレスに消えた (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ブエノスアイレスに消えた (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
厚いのですが意外にさくさく。可愛い娘モイラを誘拐されたファビアンの苦悩がそれは伝わってきました。誘拐といっても、何も脅迫もなくただただの失踪ということで、途中で探偵や刑事達も絡み一つのうねりのような物語になっていきました。誘拐物にしては珍しく長期間の記録にもなっています。ファビアンの妻リラ像が前半今一つつかめなかったのが。後半あああああ・・・そういうことだったのか、とある一つの真相に行き当たり愕然。ファビアンが電車に寸前で乗れなかった様子や。後半単独旅で、秘境のような場所が映像として見えました。
読了日:6月28日 著者:グスタボマラホビッチ
虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)感想
ま・・まさか「らいち」が主人公の連作とは!思った通りいやそれ以上にエロでお下品で・・・・なんですが!一つ一つのミステリの落ちるところが非常に納得するところがあり、汚いーぎゃーぼーううむううむーーーと思っていたら。紫で仰天し、青は海とマニキュアの色で大爆発して(これもシモネタ&エロネタですが大変感心)、そしてラストの章、こ・・・これは!!!脱帽しました、ここまでいくことに。
読了日:6月28日 著者:早坂吝
ドクター・スリープ 下ドクター・スリープ 下感想
大変満足しました、この終わり方に。ダンがアブラとかかわりを持っていくところ、悪の権化真結族との戦い(ローズを罠にはめたアブラに拍手喝采)なども読みどころたっぷりなのですが。更正したダンが折に触れて幼い時の父親とか両親のあり方とかを考えるところ、ディックを懐かしく思うところ、ホスピスに勤務して死に行く人の手を取って救ってあげるところ、の静の部分もとてもとても心打たれました。かがやきを持ったことで辛い人生を歩まざるを得なかったダン。彼は強大な力を持ったアブラにかがやきを持つ人生とは、を教えたと思っています。
読了日:6月27日 著者:スティーヴン・キング
ドクター・スリープ 上ドクター・スリープ 上感想
面白い!なんといってもシャイニングを読んでないと、と言う作品ではありますが(単独でも楽しめますがそこここで疎外感があると思います)、過去の父親を見ているダニー坊やがこんなに大きくなって・・・(涙)。でもまたダニー(ダン・トランス)もまた父のあとを追ってしまうという悲劇もまた・・・かがやきを持つ人間の悲しみ、サガのようなものをひしひしと感じました。そしてアブラ!!という魅力的な少女のかがやきが素晴らしい!少女とのかかわりで、今度はダンがディックになって行くんだなあ・・・というのを感じながら下巻へレッツゴー!
読了日:6月27日 著者:スティーヴン・キング
少女は本を読んで大人になる少女は本を読んで大人になる感想
良かったなあ・・・。読書会の作家さんの語り部分だけれど、思い入れのある本を一冊選んでそれについて語ってくれています。人によって濃淡はありますが、特に良かったのが、嵐が丘の明快な分析とネリーの存在を光らせてくれている鴻巣友季子、第七官界彷徨の角田光代(この作品についてもだが、自作品八日目の蝉への分析も素晴らしい)、彫刻家の父親と高村光太郎との結びつきを書く末盛千枝子(名前の由来にぶっ飛んだ!)、苦界浄土を語る竹下景子(泣けた、言葉の力にやられた、朗読を聴きたかった。)、の方々でした。ところでレシピはいるの?
読了日:6月21日 著者:
地球で生きている ヤマザキマリ流人生論地球で生きている ヤマザキマリ流人生論感想
媒体が色々なせいか、文体が途中で変わって・・・。これが最初の彼女の本だったら詠むところがたくさんあると思います。今までの本を読んできた人なら、重なるところが多くてちょっともやもやっとすると思いました。話そのものは面白いのですが!
読了日:6月21日 著者:ヤマザキマリ
悪魔の羽根 (創元推理文庫)悪魔の羽根 (創元推理文庫)感想
相変らずよく出来た心理サスペンス。E-メールも、怯えているコニーが変貌していく感じも克明に描かれていました。
読了日:6月20日 著者:ミネット・ウォルターズ
歪められた旋律(下) (扶桑社ミステリー)歪められた旋律(下) (扶桑社ミステリー)
読了日:6月20日 著者:ジェニファー・ヒリアー
歪められた旋律(上) (扶桑社ミステリー)歪められた旋律(上) (扶桑社ミステリー)感想
ジェットコースター小説。上巻の途中まで私は非常に忍耐が要りました。イーサンの執拗さに辟易して。何もかも持っている大学の美しい先生シーラが一時の気まぐれで助手イーサンと関係を持った・・・ここから全てが始まるのですが。
読了日:6月20日 著者:ジェニファー・ヒリアー
忘れられた巨人忘れられた巨人感想
アーサー王伝説、竜のいる世界、騎士、もやもやと立ち込める霧、修道院、と、ファンタジー道具立てが揃っています。記憶をなくした老夫婦があたかもイニシエーションの旅のように、いなくなった息子を探しに行く旅の途中で色々な出来事にあう・・・と言う物語ですが。いかようにも読めますこの本、メタファーと思えばどれもメタファーであるし。確かに読ませます、読ませるんですが、私はファンタジーではないカズオ・イシグロのほうが好きかも・・・・。
読了日:6月16日 著者:カズオイシグロ,KazuoIshiguro
霊応ゲーム (ハヤカワ文庫 NV レ 5-1)霊応ゲーム (ハヤカワ文庫 NV レ 5-1)感想
イギリスの名門パブリックスクールでの男子同士の友情、いじめ、少年同士の独占欲、そして尊敬から恐怖に変わる心の支配、これらが先生の話を交えて心理状態を克明に描き出していました。読ませます、全体に。 ただ、私の期待していた感じの話と後半違ったかも、ごめんなさい。あと肝心なゲームをもうちょっと詳細に描いて欲しかったかも。
読了日:6月14日 著者:パトリックレドモンド,PatrickRedmond
さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)感想
とても良かった!ミステリで後半の場面などはトマス・ハリスのハンニバルとクラリス場面を思い出すくらいの濃厚な場面もあるのですが。それより何より青春物語で、人を愛する心を失わないということがどれほど人間の心を救うかというのが見事に描かれていると思いました。主人公ジャズが、異常な環境で殺人犯の父に薫陶を受けてきた・・この悲惨な状況の中真っ当な心を失わないのは、愛するガールフレンドコニーと血友病のハウイーと言う親友がいるから、だと思いました。三人の造型が素晴らしかったです。次作品の翻訳を楽しみにしています!
読了日:6月12日 著者:バリー・ライガ
夏の沈黙夏の沈黙感想
順風満帆の生活を送っていたキャサリン、突然自分が主人公の小説が送り届けられてきた・・・秘密の暴露とともに、というなんとも魅力的な冒頭です。この小説の正体は案外あっさりわかるのですが、そのあとストーカーめいた話にシフトし、視点が増えて行き、色々な人の心が崩壊していく様が読み応えありました。後半の真実はやや弱いのですが、私はそれよりも、最後の最後でのある事実に胸突かれました、だからか・・・と、色々なことが腑に落ちて。ただ一方で腑に落ちないことも多々あって、そういう意味でもどかしいミステリではありました。
読了日:6月6日 著者:ルネ・ナイト
誰でもない彼の秘密誰でもない彼の秘密感想
とてもすぐれたヤング・アダルト小説でした。なぜこの本に興味を持ったかと言うと、あの詩人のエミリー・ディキンソンの少女時代をミステリ小説(あくまでフィクションですが事実も踏まえています、各所に)にしている、というところでした。そして私の中の白い服を着たディキンソンの沈鬱な静かなイメージとは全く違う、生き生きとした少女探偵のエミリーが実に魅力的に描かれていました。ミステリそのものは深い謎とかではないのですが、ミスター・ノーバディとの一瞬の邂逅がエミリーを突き動かしていくその観察眼と感性が素晴らしかったです。
読了日:6月5日 著者:マイケラ・マッコール
夏のおわりのハル夏のおわりのハル感想
「夢」の話が主体になっているといってもいいので、つかみどころがなく、好悪分かれると思います、なんのことだ、と。私は、といえば、ぎりぎりこの人の夢の話が聞ける、という気持ちで案外面白く読みました。前半と後半、二人の人間の話が交錯しているのですが、このリンクの具合も興味深く読みました。このシュウちゃん(ハルのいとこ)、伊吹(ダイチのかつての同級生女子)、双子、うさぎ(アリスを明らかにモチーフにしている)が出てくる奇妙な「夢」の世界については、私はあることを思いましたが・・・・。
読了日:6月4日 著者:畑野智美
世界を変えた100の本の歴史図鑑: 古代エジプトのパピルスから電子書籍まで世界を変えた100の本の歴史図鑑: 古代エジプトのパピルスから電子書籍まで感想
図鑑なので、図を見ているだけかなあと思ったら、とても面白く刺激的な本でした。副題に古代エジプトのパピルスから電子書籍までとあるように、内容的に面白い本、とかではなく、全ての大陸から色々なタイプの本を選ぶ(パピルスに書いてある本とか骨に書いてある本とか)という主旨にのっとって、世界の本の歴史を見ることが出来ました。解説も楽しく読めます。どういう変遷を経てきたかと言う点も面白いし、ちょっと変わったものに書かれた本もまた興味深かったです。グーテンベルクの革命がやっぱり一大事だということもよくわかりました。
読了日:5月29日 著者:ロデリックケイヴ,サラアヤド,樺山紘一
寺山修司のラブレター寺山修司のラブレター感想
意外とストレートな文章だなあと思いました、寺山修司のラブレターは。そこがまた微笑ましかったです。自筆のあの特徴ある字の手紙の写真もあり、その印刷したものもあり大変丁寧に作られた本でした。ラブレターを公開しているけれど、それのみではなく、二人が歩んだ道、恋愛、結婚、そして天井桟敷の設立、そして離婚も炙り出されているのが胸打たれました。九條今日子の若い時の写真を知らなかったので、こんなに可愛いとは!自由闊達な女性、くりっとした目が印象的な女性で、寺山修司が追いかける気持ちがちょっとわかりました。
読了日:5月29日 著者:寺山修司,九條今日子
時計じかけの熱血ポンちゃん時計じかけの熱血ポンちゃん感想
楽しい!相変らずのつっぱしりぶりの山田詠美のエッセイ。毎回楽しみにしているけれど、今回も過去の恋愛の話、村上春樹の本についての感想(とても頷けた)、ロビン・ウィリアムズの映画についての感想、顔面相似形(おおいに笑った)、途中で飽きたらしい水キムチ(でも美味しそう)、今の旦那さんとのやり取り(笑った笑った)・・・・日常を書いているのに自由闊達で面白い話を聞かせていただいてありがとう、という感じ。ところでこれ終わりなんでしょうか?ラストそんな感じで・・・ひとまず終了なので「ひとまず」であることを祈ります。
読了日:5月29日 著者:山田詠美
バタフライ・エフェクト (小学館文庫)バタフライ・エフェクト (小学館文庫)
読了日:5月26日 著者:カーリンアルヴテーゲン
岩窟姫 (文芸書)岩窟姫 (文芸書)感想
さくさく読めます。芸能界と言う特殊な場所で起こったアイドルの自殺、それに伴う友人の蓮美の激動の日々・・・・。自らがいじめたという事実がないだけに、自分の無実も晴らしたいけれど、それと同時に死んだアイドルはなぜ死んだのだろうというのもわかりたい。その気持ちの蓮美に心寄せることができました。ただ、後半急ぎすぎかも、途中までいいのに。ラストが意外、というものだけに惜しい。それはそれとして、最後まで読んでタイトルをみると、(ああ・・・)と納得します。
読了日:5月25日 著者:近藤史恵
死を笑う うさぎとまさると生と死と死を笑う うさぎとまさると生と死と感想
死に実際に直面した中村うさぎと元外交官である論客佐藤優の対談ですが、なかなか読むべきところがありました。 死生観というのも宗教がらみで非常に面白かったし、三島由紀夫の自決、小保方問題(この視点が驚いた)、安部首相のポエムの話(ものすごく納得し不可解なところが全てこの話で落ちた)、と読むべきところが多くて全体に楽しめました。しかしそれにしても佐藤さん、あらゆること(下世話なことまで、Vシネマとかも)を知ってるなあ・・・とキャパの大きさに驚愕。
読了日:5月25日 著者:中村うさぎ,佐藤優
柔らかな犀の角 (文春文庫)柔らかな犀の角 (文春文庫)感想
俳優の軽い手さすびではなく、とても良質な、本についてのエッセイでした。文春に連載当時からファンでしたがこうして一冊になってみると、本の話というより彼自身の老いをも見つめる滋味ある文章です。俳優ならではの視点でシェイクスピアの話とか、訳の話とか、また子供っぽく本屋でお目当ての本をうきうきしながら買う様子とかそれはそれは「本を読む喜び」に満ちていて、読んでいて心地よいものでした。びっちりした活字なので意外に読むのに時間がかかりますが、それでもおおいに最後まで楽しめました。池澤夏樹さんの解説も秀逸。
読了日:5月22日 著者:山﨑努
呪われた町 (下) (集英社文庫)呪われた町 (下) (集英社文庫)感想
面白かった!前半を踏まえ一気に加速していく下巻のスピード感の半端なさは素晴らしいものでした。吸血鬼物の怖さを体現してくれる本。敵である吸血鬼が誰かを襲ったら今まで味方だった人が敵になる逆転現象の怖さもあるし、何より20世紀のアメリカで吸血鬼の存在を信じてくれる人が少数だけしかいないという弱さがこちら側にはあり、もう手に汗握りました。町の人達の綿密な描写、彼らの後ろ暗いところの記述、それらが全て悪となり血みどろの町になったようでした。町の人達の無力感はアンダー・ザ・ドームを思いました。ああ、スーザン・・・。
読了日:5月22日 著者:スティーヴンキング
呪われた町 (上) (集英社文庫)呪われた町 (上) (集英社文庫)感想
これもまた、不気味な館がどーんと町に存在していて、そこに住む人達が・・・問い話でした。面白い。出だしが全く何だか見えず、父子っぽい(でも父子ではないと明記されている)二人組が何かに怯えて放浪していて。これがコーマック・マッカーシー のザ・ロードっぽいんだけど、違うのは「外の世界」は正常であって、おかしいのはただ一点その「町」だけだったということ。スーザンと言う魅力的な女性も出てくるし、賢いマーク少年も出てくるし、セイラムズロットという町の全員を見ているような気持ちにさせられて下巻へ。
読了日:5月22日 著者:スティーヴンキング
時穴みみか時穴みみか感想
SFとして読むと、ここは???と疑問だらけで、そもそもどうして彼女がタイムスリップすることになったんだみたいなところは全てすっ飛ばされておりました。けれどそれでも尚話としては、面白いのです、知らないそれも超大昔ではなく手の届くくらいの昭和、というところがミソ。懐かしい物が満載で(トイレットペーパーがないというのがリアルすぎる、汲み取り便所もだけど)、こっくりさん、まだキティちゃんがいない世界、コンビニがない、黒電話、駅の掲示板・・・。そこで新しい友達づきあいを覚えていくさら(みみか)にも好感が持てました。
読了日:5月20日 著者:藤野千夜
ナイルパーチの女子会ナイルパーチの女子会
読了日:5月20日 著者:柚木麻子
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)三月は深き紅の淵を (講談社文庫)感想
かなりの時を経ての再読。やっぱりこの本面白いー。4つの短編で成り立っていますが、あるところでは、「三月は深き紅の淵を」という本が書かれていない、あるところでは存在している、あるところでは書き始めるところとそれぞれが違った語り(騙り)になっているのです。くっきりとわからない謎めいた不思議な話というのが魅力だった頃の恩田陸のエッセンスがぎゅっとつまっている本。そしてラストでは理瀬が登場(懐かしい)。まだこの本が出た当時にはそれこそ書かれていなかった黒と茶の幻想も本の中に登場。色々な意味で不穏なミステリ。
読了日:5月20日 著者:恩田陸
ジョーンズの世界 (創元SF文庫)ジョーンズの世界 (創元SF文庫)感想
自分の過去の(小生意気な)感想を読んで、この話色々考えないでただ楽しんで読めばいいんだなーと思いました、過去の私よりはるかに今の方が楽しんで読めたので(体調とかその時の気分もあるのでしょうが)。話の食い違いとか、ジョーンズとか途中でどうしたのよ、とか、破綻しているところに色々思うことはあるのですが、今も。でも見世物小屋から始まって、最初の小さい人達の正体とか、不安定な読み心地とか、やっぱりディック。ディック作品の中でどういう位置か知らないけど、読ませる力はものすごくあると思います。
読了日:5月20日 著者:フィリップ・K.ディック,白石朗
日時計 (創元推理文庫)日時計 (創元推理文庫)感想
なんだか好きだわ、このほのぼのとした雰囲気ミステリ(後半は冒険物になりますが)。ネビル・シュートのパイド・パイパーあたりを思い出しました、古き良き時代の爽やかなミステリ。 三歳の子供が誘拐される、という見方によっては陰惨な事件なのに、みーんなのんびりしていて(おいそこは食事をしている場合じゃないだろう!)(おいそこは恋愛している場合じゃないだろう!)と色々突っ込みながら読んでいたのですが、それもまた楽しい。なんといっても、タイトルの日時計、が全ての鍵になるところと、その日時計が何かというのがまた魅力。
読了日:5月20日 著者:クリストファー・ランドン
こころと脳の対話 (新潮文庫)こころと脳の対話 (新潮文庫)感想
箱庭療法は知っていたので、茂木先生が箱庭をやる姿をとても興味深く読みました。全体に面白かった対談なのですが、茂木先生の側の言葉があと一歩なかったような。茂木先生が遠慮していたのかな?大御所だから河合先生。なんとなくの感想ですが、河合先生単独、茂木先生単独の本の方が私は心に響いたかも。
読了日:5月20日 著者:河合隼雄,茂木健一郎
シャイニング〈下〉 (文春文庫)シャイニング〈下〉 (文春文庫)感想
それで、後半も同じ、恐怖の目に見える形としては、庭の刈り込み動物が襲ってくる、過去の血まみれの壁、過去の浴槽の中のぶよぶよの女、過去の奇妙なバーの仮面パーティーとあるのですが。この話、ホラーだけではなく、ダニーの理解されがたい内面、ダニーの父親のどうしようもない破壊衝動と暴力行動と彼の育った家庭、ダニーの母親の育った家庭環境と彼女の持っている屈託、このあたりが並ではないくらいに緻密に描写されていて、そこにおおいに魅せられました。単純な何かが出て怖い!というだけの小説ではないと思いました。
読了日:5月20日 著者:スティーヴンキング,StephenKing
シャイニング〈上〉 (文春文庫)シャイニング〈上〉 (文春文庫)感想
「かがやき」のある5歳のダニーが大人びていて可愛い!!その可愛さの裏で、「見えてしまうもの」があってかわいそうだなあと話にのめりこみながら思いました。両親の心の亀裂があるのになんとか修復しようとしてこの屋敷(ホテル)に住み込み、そこから怪異現象が始まる・・・スズメバチその後がとても怖かったし、それよりも怖かったのは、スズメバチと対峙している時のはしごの上のお父さんの心の動き(過去への追想)も怖かった!なんでお父さんが勤務していた学校を追われることになったのかが滅茶苦茶怖いです。(以下下巻に続く)
読了日:5月20日 著者:スティーヴンキング,StephenKing
夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術)夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術)感想
14歳向けと言う感じで書かれていますが、大人で漱石を読んだことのある人でも楽しめる本だと思います。敷居が高いと思われている作品を、気楽にこういう視点もあるよ、という(そして下卑てはいない)ことを教えてくれてそれはそれは楽しめました。あと、この本、漱石のことだけじゃなくて、本、読書そのものについても語ってくれているところも魅力的。自分が中学生の時にこういう本があったらなあーと夢想しました。
読了日:5月20日 著者:奥泉光,香日ゆら
あぶない叔父さんあぶない叔父さん感想
これってもしかして?と思いつつ読んでいると、途中のある作品で、(あ、違った)ということになるのですが。でもそのあと続けて読んでみると、えっとやっぱり?とちょっと翻弄されました。
読了日:5月20日 著者:麻耶雄嵩
永い言い訳永い言い訳感想
どこからこの本の良さを語ればよいものでしょうか。今年(まだ4月だけど)のベストに入るピカイチの本でした、少なくとも私には。妻を失ったと言うところから始まる物語ですが、安直な心の再生とかそういうものではなく、実に巧みに人の心理状態の「ゆらぎ」のようなものを描きこんでいると思いました。言葉も書き抜きたいような言葉がたくさんあるし、視点が変わっていくこの手法も好きだし、どこからどこまでも大好きな本でした。主人公の嫌な感じが、自分に突きつけられているような気がしてそこもぐっときました。おじいちゃんには笑ったなあ。
読了日:4月20日 著者:西川美和
お引っ越しお引っ越し感想
いやーーーやめて~~~と足をじたばたさせながら読んでいて、それが快感でした。 お引越しにまつわる話が続き、生理的に嫌な感じを出す話と、社内のいじめみたいなところから発する嫌な感じの話とかの連作集です、ホラー寄りかなあ。壁に前の住人がつけた画鋲の穴とか、汗をかき続ける上司とか、ありそうな感じが臨場感増していました。小さな会社に入った主婦の小さな疑問から意外な展開の「机」が私は好きでした、あと「壁」も全く読みを間違えていました。ラストの「解説」が面白かったです・・・(奥付も!
読了日:4月19日 著者:真梨幸子
裏面: ある幻想的な物語 (白水Uブックス)裏面: ある幻想的な物語 (白水Uブックス)感想
面白かったです。かつての旧友が大金持ちになり西アジアの辺境に夢の国を作った、招待を受ける、と言うところから物語は始まります。そこまでの妻と一緒の旅も非常に面白いし、町に入る時のぞわぞわした気持ちもまわかるし、陰鬱な太陽のささない町でのひとこまひとこまにも、奇妙でねじれている不条理さにも引き込まれました。いわばリアリティーのあるしかも終わりのない悪夢の中をさまよっているようでした。後半の瓦解感もすさまじくおぞましく、ぞくぞくしながら読みました。作者自身の挿絵もまた小説の不気味さを増していました。
読了日:4月17日 著者:アルフレートクビーン
ひと皿の小説案内 主人公たちが食べた50の食事ひと皿の小説案内 主人公たちが食べた50の食事感想
小説で出てきた食べ物を再現して写真に撮りましょうというこの本、面白く読みました。絵本的なものでは良く見かけますが、このタイプの本。けれど、この本は、百年の孤独とか変身とか白鯨とかミドルセックスとか大人の本が多数を占めていて、その中に子供の本が入っている、というところが斬新だと思いました。変身のザムザへの料理(っていうか混ぜ合わせ)が強烈で目を奪われました。百年の孤独の写真も、うっと声を詰まらせました。あと左側の四角の中にミニ知識コラムがあるのですが、それもとても楽しかったです。
読了日:4月17日 著者:ディナ・フリード
死のドレスを花婿に (文春文庫)死のドレスを花婿に (文春文庫)感想
面白くて一気読み。その女、アレックスの作者なのでそれはそれは警戒して読んでいましたが・・・いやあ・・・最後驚きました。冒頭も衝撃場面で始まりました。ソフィーという女性が自分の行動が記憶にない、奇行繰り返し、過去どういう人生を歩んできたか、というのが徐々に明かされていくところもスリリング。おぞましいところも沢山あって堕ちていく女というのをソフィーがひたすら体現していました。ソフィーの章のラストとフランツの章のラストがぞくっとするほど面白かったです。ただ、後半が書き急ぎ感がありそこがとても惜しいと思いました。
読了日:4月13日 著者:ピエールルメートル
男役男役
読了日:4月12日 著者:中山可穂
ウェイワード―背反者たち― (ハヤカワ文庫NV)ウェイワード―背反者たち― (ハヤカワ文庫NV)感想
パインズ(前作)読破は必須だと思います。前作の「わけのわからない怖さ」から一転して「わけのわかる怖さ」になって怖さ度アップ。ちょっとキングのあれこれを思い出すけれど、こちらの方がある種のSF寄りかなあ。実に絵が脳内で出るので、映像向きと言うのはわかります。祭りって・・・ひいーーー。アビー・・・ひいーー。ラストの驚きがあり、これが完結じゃないことを知らず、そこでまたひいーーーーー!3巻を早くっ!
読了日:4月11日 著者:ブレイククラウチ
国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)感想
自伝っぽいところもですが、時々で読んできた本というところに私はおおいにそそられました、そして意外でした、三島由紀夫のしかも豊饒の海が語られているなんて!安部公房はいかにも、と言う感じでわかります、無国籍だと思うから。プリニウス、待ってます、次巻を楽しみに!
読了日:4月11日 著者:ヤマザキマリ
グッド・ガール (小学館文庫)グッド・ガール (小学館文庫)
読了日:4月11日 著者:メアリー・クビカ
お葬式お葬式
読了日:4月8日 著者:遠田潤子
悪意の波紋 (集英社文庫)悪意の波紋 (集英社文庫)感想
非常に楽しめました。ラストのところの一歩手前ですら(まあこの終わり方でも面白かったし良かったな)でしたが、その先に仰天。どんでん返しとかではありませんが、想像の斜め上を行く展開で予想だにしませんでした。40年前の強奪事件からずうっと息を潜めて生きている男のところに、一人の勇敢な女性ジャーナリストがなぜか真相を知ってやってくる話が一つ。元彼女を6年間思い続けているのに、元彼女がかつてのラブレターをテレビで晒し物にするという行動に憤慨した男の話が一つ。これが交錯していき、見事な群像劇が出来上がっています。
読了日:4月7日 著者:エルヴェコメール
the SIX ザ・シックスthe SIX ザ・シックス感想
6人それぞれの超能力を持っている子供達、その孤独と苦悩が描かれていました。超能力物大好きなので楽しんで読みました。子供達の超能力が普通考えられる超能力で「相手の思っていることを透視する」とか「テレパシー」とか「テレポーテーションでどこかに瞬間移動する」とかではない、新しい能力が多いのでそこもまた魅力的でした。ただ、続きがあるといいなあと思います、最後ちょっと物足りない感が。あと連作というので最後に大団円と言う形のみではなく、それぞれの話が少しずつどこかで引っかかりがあるといいと思います。
読了日:3月30日 著者:井上夢人
バラの中の死 (光文社文庫)バラの中の死 (光文社文庫)感想
あの日下圭介の本がこんな美しいバラの表紙で甦るとは!なんて素敵なお仕事!時代は古いのです、携帯もパソコンもない時代で。でも内容は改めて古くないなあと思いました。この中で一番巧いなあと思うのは「木に登る犬」で、なぜ木に登る?犬が?まさか?と子供達の話を中心に謎が頭を駆け巡り、そこから意外な結果が生み出されるところが面白いと思いました。個人的に大好きなのが鶯を呼ぶ少年で(懐かしい・・・)、盲目の貧しい祖母のために鶯の音を聞かせようと奮闘する少女と少年の物語、と思いきや、ラストがお見事。
読了日:3月30日 著者:日下圭介
太宰治の辞書太宰治の辞書感想
初々しかった「私」が大人になっちゃった・・・・あの「水を飲むように本を読む」という精神はそのままに、懐かしい円紫さんシリーズが帰ってきました。太宰の話、朔太郎の話、芥川の話、と文学好きには、お!と思わせる話が満載でした。円紫さんはラストに出てきて、そうそう、あの正ちゃんも出てきますっ!懐かしい・・・。ただ、ただですね・・・・個人的には、ずうっと「私」は大学生のままで円紫さんと砂糖合戦(シリーズ中一番好き)のような小さな謎を解きあっていてほしかったなあ・・・。
読了日:3月29日 著者:北村薫
EPITAPH東京EPITAPH東京感想
好みがぱくっと分かれそうなもやっと作品。そして私は好きでした。東京と言う巨大都市を幻視している語り口が好みでした。大きくは3つの部分に分かれていて、「筆者」が東京を題材にした戯曲を書いて悩みつつ東京を回る部分、その戯曲そのものの部分、吸血鬼を名乗る吉屋と言う男の独白の部分、でした。都会の鏡の中に吉屋がぽっといるところとか、尾行しているつもりが察知されているところとか、死の気配に満ちた都会の真ん中のあちらこちらの部分の話とか楽しんで読みました。ただ・・・これだけ装丁に凝っているのに誤植があるのが実に残念。
読了日:3月29日 著者:恩田陸
倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)感想
19世紀ロンドン版ビブリア古書堂のような話。貴族が身分を隠して兄と妹で古書店を開いていてそこに持ち込まれる謎を解いていく・・・ほのぼのと読みました。引き合いに出てくる小説が、HGウェルズとかホームズとかポーとか若草物語とかから、スティーブンソンの自殺クラブまで多彩で楽しめました。特に若草物語のジョーの氷の話は、確かにとても印象深い話なのでそれを上手にミステリに取り込んでいると思います。あと自殺クラブの話も好きです。ラスト次に続く予感で終わっているので(両親の死も解明されてないし)また読みますっ!
読了日:3月29日 著者:久賀理世
号泣 (集英社オレンジ文庫)号泣 (集英社オレンジ文庫)感想
女子高生の自殺をめぐってのミステリ、他殺なのか自殺なのか。ここに描かれている女子高生達の生態があまりに私にはショッキングでした(本とはいえ)。冬姫ちゃんが一番まともでした、彼女以外の四季メンバーと言ったら・・・ううむ。悪意とか男女交際とかいじめとか辛い部分もありました。が、ラストはとてもかえました、ある海外有名作品と基本同じなのですが、全くわからなかったので。
読了日:3月29日 著者:松田志乃ぶ
ぼくが映画ファンだった頃ぼくが映画ファンだった頃感想
面白く読みました。特に映画と伏線のところで、ワイルダー、ヒッチコックからダイハードまで語る部分で細かい小道具の話とか、もう一度読みたくなりました。人生の三冊というのもいかにもこの人らしいかも。 ただ、初出がかなり昔のものもあり(というかそれが多い、1980年代が多い)、あと媒体がばらばらなので文体がまちまちでそこがちょっと違和感ありかも。まあそこが魅力と言えば魅力でもありますが。
読了日:3月27日 著者:和田誠
ソロモンの偽証 全6巻 新潮文庫セットソロモンの偽証 全6巻 新潮文庫セット感想
映画の前篇を見たので、再読しました。やはり生き生きとした中学生達の裁判が素晴らしいし、結末が判って読むと、冒頭の部分がいかに大事かというのもわかるし、全てが計算されたミステリだと思いました。それぞれの子供達が友達と関わっていく中で成長していく姿に胸打たれました。特に三宅さんの孤独な叫びが神原君と言う弁護人に救われたこと(だからこそ最後三宅さんは精一杯の嘘をつき続ける)、野田君も闇を脱出して神原君とともに成長していく様、大出君ですら考えるようになったのです。後半涙がやはり止まりませんでした。
読了日:3月27日 著者:
奴隷小説奴隷小説感想
これを、現実世界を踏まえた虚構の世界のSFと見るか、それとも虚構の世界の形を借りた現実世界への訴えと見るか。それによって読み方がものすごく変わると思いました。一切の予備知識がなかったので、最初の話を私はSFだと思って驚きながら読んでいたのですが、ラストで(もしかしてこれは現代日本ではないだけで現実?)とくらっとしました。小説としてはどれも非常に私は面白く読みました。特に突然拉致されて島に閉じ込められ周りが泥と言う状況の中の女子高校生たちの話は、SF的な視点で見ると読み応えがありました。
読了日:3月19日 著者:桐野夏生
透明カメレオン透明カメレオン
読了日:3月19日 著者:道尾秀介
模倣犯〈下〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)模倣犯〈下〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)感想
犯人像も克明に描かれていて不気味さがこちらに伝わってきました。テンポ良く人間が動いて行って、しかも周りの人達がそれぞれの役割で活躍する一方、実に人間臭いことで悩んでいると言う仕事と心と両方が見事に描かれていました。刑務所の中にいる連続殺人犯とある一人の女性とのやり取りはそれこそハンニバルとクラリスを髣髴とさせ、ここもまたぞくぞくとさせてくれました。今作のミステリ、謎解き重視と言うより、人間の心の動きを読み込む人に向いているかも。しかも前作でドジな人はここでもまた・・苦笑いたしました。ラストが!次巻を待つ!
読了日:3月19日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
模倣犯〈上〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)模倣犯〈上〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)感想
これに限っては前作から読むことをお勧め。なぜなら前作の最後で実に重要なことがオープンになっていて、それをこの作品の中心になっているから。前作も面白かったのですが、なんせ最初に出てくる人物達を把握すると言う頭の中の作業があるので、圧倒的に二作目のこちらの方がさくさくとのめりこめました。そしてここではかつてセバスチャンが捕まえた連続殺人犯と同じような手口の殺人が次々に発生。元の犯人は刑務所にいるはずなのになぜ?非常に面白かったです、自信過剰のセバスチャンの心の崩れ方も読みどころの一つ。(下巻に)
読了日:3月19日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
ノア・P・シングルトンの告白 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ノア・P・シングルトンの告白 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
嫌いではないし最後まで読ませる力もあるのですが・・・・。殺人犯とされて刑務所に囚われている死刑囚ノアのところに、殺された人の母親がやってくる・・・。徐々に紐解かれていくノアの過去とそして現在、そのあたりは読ませました。けれど、なんとなくですが、私の思った方向の話とは違ったような気がしました。
読了日:2月28日 著者:エリザベス・L.シルヴァー
新訳 ハムレット (角川文庫)新訳 ハムレット (角川文庫)感想
仰天しました、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」の訳がはじめてなんて・・・。ということは、私は今までのハムレットでこの訳を脳内変換して読んでいたのでしょうか・・・。非常に耳に心地よく響く訳なので舞台にはいいなあと思いました。字面が美しい訳というのもまた存在して良いし、選択肢がたくさんあるのはいいことだなあと思いました。今回ローゼンクランツとギルデンスターンに注目していましたが、まあお気の毒でお気の毒で・・・・。
読了日:2月26日 著者:ウィリアムシェイクスピア
火星に住むつもりかい?火星に住むつもりかい?感想
とても面白い作品でした。テーマ的に重苦しい監視密告世界、拷問ありの世界、公開処刑のある世界、の話なのでどうしても読むのには時間がかかりますが、それを補って余りある作品でした。冒頭から全てが伏線となっていて、床屋談義、虫擬態の話、魔女狩り、拷問の方法、マジックミラーの逆版、と読みどころ満載でした。警察側の真壁が出てくるあたりから一気にスピード感が加速し謎の武器を操る「正義の味方」の正体が誰か、なぜ救うのに選ばれた人間がいるのか、とラストするすると絡まった糸が解けていくところが圧巻。偽善についても考えました。
読了日:2月24日 著者:伊坂幸太郎
ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館:シーズン1・2公式ガイドダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館:シーズン1・2公式ガイド感想
ドラマ大ファンなので舐めるように読みました。写真がきれいだし、上の世界(旦那様奥様)と下の世界(メイド下僕)がくっきりと分かれている英国貴族の館・・・。ただ、本を読んでいくと途中で話が写真にさえぎられ別の話にさえぎられ、飛び飛びになっているのがとても気になりました。あと語っている人が、役柄なのかその人本人なのか、というのが渾然となっているのでここもちょっとわかりにくいかなあ・・・。アメリカの大金持ちの娘とイギリスの貴族との結びつきが詳細に語られていたのでそこはとてもとても役に立ちました。
読了日:2月22日 著者:ジェシカフェローズ
洋子さんの本棚洋子さんの本棚感想
本について語るところは面白いと思いました。
読了日:2月22日 著者:小川洋子,平松洋子
ウィンブルドン (創元推理文庫)ウィンブルドン (創元推理文庫)感想
若きテニスのスター選手の友情ったら!。もうこの二人が爽やかでそしてイケメンっぷりったら(想像ですが、でもそうも書いてある)!キングはオーストラリアで何不自由ない暮らし、そしてツァラプキンはソ連からの亡命者、いう全く境遇の違った二人がお互いのテニスプレイに一目で魅了される、というところがとてもわかりました。バランス的に決勝戦までが長いのですが(二人でバイクに乗っていく場面も好き)、それが決勝戦のところでとてもきいてきます。タイプの違う二人の性格もまたこちらに伝わってきました。ラスト、まさかあれが!と。
読了日:2月22日 著者:ラッセル・ブラッドン
死と砂時計 (創元クライム・クラブ)死と砂時計 (創元クライム・クラブ)感想
夢中で読みました。架空の国の架空の終末監獄と言う独特の世界観溢れる設定なので乗れるかどうか危惧しましたがなんのその。この作者の作品の中でもっとも腑に落ちもっとも好きです。死刑囚ばかりが集まる監獄での特殊な事件があり、それをシュルツ老人(ホームズのような役割)とアラン(ワトソンのような役割)が解き明かします。謎解きが、宗教や独特の特殊状況の中の謎解きなので目新しくそして斬新で、度肝抜かれました、特に墓守がなぜ死体損壊をしたのかの真相は仰天しました。ラスト賛否分かれるでしょうが、ここも含めて私は大好きでした。
読了日:2月18日 著者:鳥飼否宇
名画とあらすじでわかる! 英雄とワルの世界史 (青春新書インテリジェンス)名画とあらすじでわかる! 英雄とワルの世界史 (青春新書インテリジェンス)感想
名画を通して歴史を知る、歴史の中の人物を知る、こういうのが私は好きみたいです。これもとても楽しんで読みました。各章の最初に男達がいた場所の地図があるのも嬉しいところでした。
読了日:2月18日 著者:
犯罪心理捜査官セバスチャン 下 (創元推理文庫)犯罪心理捜査官セバスチャン 下 (創元推理文庫)感想
面白さ続く!全員(証人、犯人は勿論、捜査官も)が大きな秘密小さな秘密を持っていて、それが徐々にわかってくるところ堪能しました。セバスチャンやるじゃない!と何度も彼の本領発揮っぷりにわくわくしました。また殺された少年像も、いじめのある学校から転校してそこでガールフレンドを作って、と言う姿から、二転三転していくところも読みどころ。そしてラスト全てが解決してやれやれと思いきや、どっかーんと驚くべき真実が!あらーーー(この中で種馬(笑)ハラルドソンがいい狂言回しになって彼が出てくるたびにくすりくすり!)
読了日:2月17日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)感想
楽しい!タイトルはセバスチャンだけれど、他の刑事さんも生き生きと描かれ、そしてまた小さな秘密大きな秘密を全員が持っていて、それがうまくかみ合っている小説だと思いました。協調性ゼロでセクハラ発言連発、セックス中毒のセバスチャンの変わり者っぷりもその心に受けたダメージがまだわからない段階ではなんだか・・・なのですが、あるところでわかった時に、ああ・・これなら・・・と非常に納得できるものでした。「あるよこしまな目的」のために復帰するセバスチャン。下巻に続く・・・
読了日:2月17日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
サンドリーヌ裁判 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)サンドリーヌ裁判 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
知的で美しく皆からも愛された妻を持った大学教授が、妻殺しで疑われた・・・大学教授の夫のいやーな感じが(常に見下しの目線)文章の端々からわかりました。そして過去の二人がいて、大学時代の二人の出会いから愛をはぐくむ様子、どうしてこの夫婦のうち夫がこういう風にねじくれてしまったのか、なぜ妻に小説を書いて欲しいと望むようになってしまったのか。殺したか殺さなかったかということよりも、人の心理状態の揺らぎのようなものを克明に描いている作品だと思いました。
読了日:2月17日 著者:トマス・H.クック
だから荒野だから荒野感想
最初の方の妻のむかつき(夫は勝手、息子達は輪をかけて勝手)が手に取るようにわかって大爆笑してました、お化粧を京劇とか言われた部分には特に!ぷいっと車で逃走していってしまってそのあとの夫からのメールにも(馬鹿だなあ~ここを言うか!)とゴルフクラブを取り戻すことしか考えていないところに大笑い。道中で起こる色々なことも面白かったんですが。次男がよくわからないのと、後半ちょっと違う感じになってきたのが残念無念です、後半こそが大切なところなのかもしれないんですが。
読了日:2月17日 著者:桐野夏生
復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ドラマ化されたので再読。とても良かった。
読了日:2月17日 著者:ヘンリー・デンカー
禁忌禁忌感想
読みやすいけれど難解、というのが率直な感想です。文章は相変らず短いセンテンスで語られて、無駄な装飾の言葉は一切ありません。文字に色を感じる共感覚を持ったドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルクの屈折した幼少時代、そして写真家としての大成のあと、若い女性の誘拐殺害で逮捕され法廷に立つことに・・・・。展覧会の後、彼があるものを持って狂気なのかと思わせる描写が卓越していました。そして意外な結末が。読者を翻弄させ混乱させる物語ですが、好き嫌いでいえば、好きな小説でした。
読了日:2月17日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
賢者の愛賢者の愛感想
ねじれきっている愛。相変らず巧くて読み終わりましたが・・・ただ・・・想像していたものとは大きく違ったかなあ。。タイトルから痴人の愛を当然思い浮かべるわけで、そして小説内でもこれに触れられ、「女性」が、「男性」の「直巳(ナオミ)」を小さい頃から色々な意味でこっそりと育てる、と言う話でした。こっそりは、友人の子供でかつ22歳年下であるから。なぜそれをしているのかというのがわかるところがスリリング。でも直巳(あと諒一も!)の心がよく見えなかったというのと、この文体が私は苦手かも。ごめんなさい。
読了日:2月17日 著者:山田詠美
予告殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)予告殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
ミス・マープル物の中でも大好きな一冊。新聞の記事で予告の殺人が告げられ、そしてその通りに殺人が起こる・・・この物語、ラストの二つの意外性がとてもよく出来ていると思いました。読み返してみると改めて会話、人の考えの一つ一つにいろいろなことが含まれています。あと確かに悪いんだけど、犯人。ちょっと泣けるところもあるんです、実は悪い人じゃないところも。そのあたりの描写も秀逸でした。
読了日:2月2日 著者:アガサ・クリスティー
プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)感想
第三部からの大技があまりにあまりで唖然・・・。これって・・・。私はすごく面白く読みました。既存の作品をいくつか思い出すけれど(そして本文中で作家にも言及しているけれど)それはそれ、これはこれ。一切の情報なしで読むことをお勧めしますが、一切の情報なし、だと、好みか好みじゃないかわからないところが辛いところ。ちなみに帯にジョナサン・キャロルとチャールズ・ユウのお言葉があります!(帯つきを買ったほうがいいと思います~)
読了日:2月2日 著者:ジェイムズレナー
プリムローズ・レーンの男〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)プリムローズ・レーンの男〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)感想
好き好き!最初から、正体不明の隠遁の男が出てきて殺され、指はミキサーでぐちゃぐちゃ、しかも手袋がたくさんある・・・どういうことだろうどういうことだろう?サイコパス?当然読み手はある予想を立てるのですが、全く違った方向に話が進んで行って・・・・。愛妻の死後、ペンを持つことが出来なかったノンフィクションライターが事件解決のため立ち上がるけれど、出てくる人出てくる出来事の色々なところに不思議な一致が・・・・ええええ!そして下巻に続く。
読了日:2月2日 著者:ジェイムズレナー
花野に眠る (秋葉図書館の四季)花野に眠る (秋葉図書館の四季)感想
前作から何年・・・今回は長編小説。離婚した親がいる子供の話、記憶と違う本の話、と日常系のところはとても好感を持って読みました。探偵のようなプロの司書さんたちの話も素敵。でも図書館の隣りの敷地内から白骨死体が出てくるあたりから、なんだか違和感が。この話と日常系の話とが噛み合ってない感じがちょっとしました。
読了日:1月26日 著者:森谷明子
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)感想
面白かった!!二回読み返したけれど、絵も歴史も両方楽しめる一冊で、ブルボン王朝の歴史ももっともっと知りたくなったし、見ていて知っている絵であっても深く知らなかった絵が、こういう背景があったのか、と思うとまた見たくなりました。自分が知っていることでももう一度語られると、なるほどなあと思うところが多かったです。このシリーズ楽しそうです。
読了日:1月26日 著者:中野京子
家蝿とカナリア (創元推理文庫)家蝿とカナリア (創元推理文庫)感想
緻密な描写で眼前にこの時代のニューヨークが広がる、人の心理状態の裏の裏を覗き見るような視点、この部分はとても面白かったです。劇場での殺人と言うところにもぐっときました。が、ヘレン・マクロイの心理サスペンスではなく、本格ミステリということで、タイトルの部分は私には非常に非常に微妙でした。古き良き時代のミステリ、なのだなあと。ごめんなさい、傑作らしいので。
読了日:1月26日 著者:ヘレン・マクロイ
夜の木の下で夜の木の下で感想
地味だけどいい作品を読んだなあ・・・という思いでいっぱいです。フランスの小品を読んでいるような心持がしました。記憶の底を浚っていくともしかしたらあるかもしれない一つの情景、幼い日の思い、そういうものが繊細なタッチで描かれていました。焼却炉は少女達が燃やしているものが燃やしているものだけに、そこで語られる将来の夢、思い、などが後半大人になった時に巧く着地しています。表題作は姉弟の話ですがこれまた胸打たれました、幼い日々を行きぬいた二人の時間が息を潜めるようにこの二人の間に横たわっていました。
読了日:1月18日 著者:湯本香樹実
晴れた日に永遠が・・・晴れた日に永遠が・・・感想
これを読んで一年を終わる、という恒例行事が、ずるっと年始にもつれ込み・・・。しかしこうして時事ネタ、映画、本、芸能界の話題を全て含め読んでみると、ちょっと前の出来事なのに遥か昔のように感じてしまいます。共感しながら、時にプチ反発しながら読んでいくと、この本の滋味のようなものがじわじわ体に染み渡ります。アカデミー賞のゴールディ・ホーンは私も全く同じように思ったので、同感いたしました。あとへレン・ミレンがお好きなようだけど、わかります、だって雰囲気が似てるもの中野翠さんと。今年末も楽しみにしています!この本。
読了日:1月14日 著者:中野翠
家族シアター家族シアター感想
思ったよりずうっとずうっと良かったです。家族の色々な形、姉弟、姉妹、祖父と孫娘、出来の良い娘と母親、etc・・・を描いていますが、特に私の琴線に触れたのが、タイムカプセルの八年でした。わかりあえないと思っていた父親のしたこと、に泣きたくなりました。しかも息子も父親をきちんと見ていたなんて。全ての話を読んで、これと全く同じことが自分にあったわけではないのに、どこかに(これはあったかも!)と思わせる一つ一つの話の作り方が丁寧でこちらに届きました。
読了日:1月14日 著者:辻村深月
絶叫絶叫感想
この日本、一度落ちたら這い上がるのは至難の業と思いました。ラストで驚きました、二重の意味で、だからこういう風な書き方なのかと改めて。生活保護問題一つとってみても、根が深いということがとてもわかりました。コスモ君!途中で二回ほどコスモ君出てきていますが、彼女の末路はこうなったのかと。それより何より時系列が曲者(驚きが!)。ただ社会問題がこれでもかと詰め込まれていますが、ちょっとだけ盛り込みすぎのような気もしたのと、女性刑事さんの像があと一歩。
読了日:1月10日 著者:葉真中顕
ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)感想
青くてまだまだ若いエラリーの推理が冴え渡る作品。
読了日:1月10日 著者:エラリー・クイーン
マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)感想
今、日本は冬で簡単に寒いとか言っちゃいますが、この本を読むと言葉を失うくらいの寒さが感じられました。凍傷の手当て方法、どこかで役に立つかしら?役に立たないことを祈ります(凍傷ということが人生でないように・・・)。この中で、凍りきった道は、チェーンも何も要らない普通タイヤで走れるというのが実に驚きました。あとべろを鉄柵にくっつけちゃった男の子の話も、あいたたた・・・・。テレビ取材で行った話なので、写真の文章は椎名誠さんで得した気分でした。
読了日:1月10日 著者:米原万里
第三の男 (ハヤカワepi文庫)第三の男 (ハヤカワepi文庫)感想
映画館でこの映画の再映を見てそのあとで読みました。良かったです。当時のウィーンがこんな分割統治されているというのが映画でも勿論説明はありましたが、こうして活字になるといかに異常な状態だったのかがよくわかりました。全てその中で起こった出来事なのだと。映画を見越して書いた作品だと最初にあるし、また映画との違いというのも(名前とか人種とかラストシーンとか)も書いてあるのですが、私が一番思ったのは、語り手が警官だったことでした。映画を見る限りでは、警官が敵か見方かかなりの間わかりませんが、本だとすぐにわかります。
読了日:1月10日 著者:グレアムグリーン
ワタシは最高にツイているワタシは最高にツイている感想
三谷幸喜のエッセイは読んでいるので、その裏側バージョンを読んでいるような気がしました。惜しいと自分で思ったのはリアルタイムじゃないこと。ちょっと時間がたってしまっているので、ペットの(だからここは三谷幸喜エッセイの中でおなじみの)とびとかおとっつぁん、とかの話とかリアルだったら・・・とちょっと思いました。あとかもめ食堂の時のロケの話とかもリアルタイムだったらもっともっと・・・。全体には楽しみました。しかしまさかこのあと別れるとはなあ・・・しみじみ。
読了日:1月10日 著者:小林聡美
ラビット病 (集英社文庫)ラビット病 (集英社文庫)感想
可愛い!ロバートをロバちゃんという時点で萌えるし、自由奔放に見えて意外に繊細なゆりちゃんもまたいとおしかったです。自己本位でわが道を行くゆりちゃん、それに翻弄されまくるロバちゃん、二人の間の関係性がハグしたいくらいにぎゅぎゅっと濃縮されて描かれていました。恋ってこうなんだなあ。
読了日:1月10日 著者:山田詠美
女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
何度も挫折したミステリ本。今回読み終わって、(これってミステリとして読むと辛いところもあるけれど、普通小説の中に入ったミステリとして読むと大好きだ!)ということに気がつきました。なんせ描写が綿密でしかも精緻であるし(だから読み易いとはいえない)、冒頭からうおーーっと惹き付けられるわけでもないし。でもでもじっくり途切れることなく読んでいると、全ての場面の情景が浮かぶのです(川下り場面とか最高に美しい)。そしてコーデリアの可憐でけなげなこと!最後の感情爆発場面も読ませるし、既にいないバーニィの存在も圧倒的。
読了日:1月10日 著者:P.D.ジェイムズ

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