2016.01.04 私的読食録


評価 5(飛びぬけ)

読書録ではなく、読食録。
なんて面白い書評集なのだろう!

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雑誌danchuに連載した8年間分をまとめたものだ。
このお二人のそれぞれの「食にまつわるエッセイ」が載っている。
どちらのエッセイも楽しい、後半に二人の100回記念の対談が載っているが、ここでも指摘されているように、
小説家のスタンスで長編小説の一部をしゃべっている感じがすると、堀江さんが指摘しているように角田光代のエッセイはお見事だ。本当にエッセイでもなく小説でもなく書評でもなく、彼女の独自のスタンスで切り取っていく姿が好ましい。

堀江敏幸は彼は彼で、生真面目に本を分析している姿が目に浮かぶ。
こちらはこちらで読んでいてすがすがしい。

どちらが読みたくなったか、というのは、本によるのだが、私の個人的な感じとしては、やっぱり角田光代の書いた本におおいにそそられるのだった。
それほどファンではないと言いながらも、面白い本と断じている海辺のカフカも再読してみたいし、
マキューアンの初夜のあの一瞬が世界を変えた部分もあれだけ熱く語られると再読してみたくなる、そこの部分だけでも、
夫婦善哉の食べ物の話がずうっと続いていて、最後の部分で「本来は相容れないはずの、生活と恋、どちらもの本質であるように思えてくる」と屈折した二人がよく一緒に食べることを見て語るところ、
斜陽の食べ物がなんだかまずくて、冷たそうと喝破するところ(鋭い!と思った)
このあたり本当に角田光代の本を語るうまさがが際立ったところだった。