評価 4.9

全く背景を知らずして読んでいて、途中で(あ、死者のあやまちだ!)と鈍く気付いた。

ポアロが友人のミステリ女流作家オリヴァ夫人に呼び出される、どうやら滞在しているお屋敷で事件が起きそうだと。
彼女はお祭りの余興の犯人探しゲームの台本を作っているのだが、不穏な空気が流れているお屋敷・・・


中篇になっているが、切れ味は素晴らしい。
そして死者のあやまち、は大好きなミステリなので、動機(特に納得できる、クリスティ作品の中でも)、人の動き、そして独特のお屋敷内の様子など、読みどころは多い。
この中篇、ジョン・カランというクリスティ研究家の解説がついているところが非常に大きい。
作品が出来上がるまでのメモ書き、などが解説に勿体無いほど大胆に書かれている。
タイムテーブルも出来ているのも読んでいて頭が整理される。

それにしても、阿房宮と言う言葉、なんとわかりにくいんだろう。
でもこれ以上の訳はないだろうから、受け入れるしかないのだろうがこの絵とか写真がちらりとでもあれば、と思った。
・・・・・・
またとても似たタイトルの短編で、?と思っていたのが、グリーンショウ氏の阿房宮、だが、全く内容はこれと関係がない、とこれは日本人解説のほうに書いてあった。
グリーンショウ氏の方はマープル物。
グリーンショアの方はポアロ物。

以下少しネタバレ

・このミステリ、「入れ替わり」というのが大胆に行われているというところが好きだ。
まずここを買い取った当主が、元所有者で敷地内に住まわせてもらっている女性の死んだ息子(死んでなかったが)だったという事実。
彼は入れ替わってはいないが、死んだとされていて、誰も元所有者の息子とは思っていないので、ある種の入れ替わりとも言えよう。

・一番の入れ替わりは、当主の妻で頭のおかしいふりをしている女。
金のために結婚させたが、息子は既に別の女性と結婚していたので、殺す(そして阿房宮に埋める)
そして金のあるその女性のふり。

更にヒッチハイカーの言葉の通じない女性のふりもして、まんまとお屋敷から抜け出す。

・この女性の従兄弟が来る、というところから破綻が始まる(顔を知っているのでまずい)
更に、村の老人は孫娘に色々なことを聞かせていてその中に「殺人」「当主が元の所有者の息子だ」というのが入っていた。