評価 5

読み始めたらノンストップ状態になった。
どうなるんだろう?どうして?の連続技だ。

移民局の職員が殺された。
そこには子供の手の跡があった・・・
そして更に、この子供と思われる遺体が発見される。
何が起こっているのだろう・・・


(以下多少、ネタに触れます。触れないと語れないので)

そもそも、正義を追求していく女性検事、ヤナが今の言葉で言えば、かなり病んでいる。
病んでいるどころか、クールな彼女の少女時代の過去の記憶すらないというのが、途中でわかってくる。
お父さんは?お母さんは?
一家の期待を背負っているヤナは、家族の集まりにも積極的に出ようとしているのが前半の早い段階でわかる。
でもなんだか薄紙一枚挟まっているようなヤナの全ての事柄に対するスタンスに違和感を覚えるのだ。

ヤナ、の話と同時にある難民の話、それもかなり悲惨な話が徐々に語られていく。
そこではコンテナで死ぬ思いをしてやってきた途端、両親が殺され、子供のみ集められ戦闘目的で教育されると言うあまりといえばあまり、目を覆いたくなるような殺人の特訓が行われているのがわかる。
これとヤナの話と同時並行なので、うっすらと(ヤナはこの子なのかな?)という予兆はある。
ヤナの捜査の方も進んで行って、冷静沈着なヤナが非常に動転したのは、首筋の後ろに彼女もある文字が刻まれていて、殺された子供も刻まれている、という事実だ。
更に、フラッシュバックのように思い出す数字がヤナにはある。
その数字の一つが、ある場所から見つかった・・・・・これにもヤナは大いに動転する。
冷静なヤナ、人と交わらないヤナ、屹立しているヤナが動揺しそして震えていく場面は非常に読ませる。
この人は一体何を抱えているのだろう、自分の心の中に、という興味がどんどん沸いて来る。

そして突き当たった真実。
この前にヤナが実に意外な行動をするのだが、ここがダークなヤナを現していてどきどきした。
また、コンテナでの難民が出てくるが、現実にコンテナでの難民問題を見ていただけに、ここもとても胸が詰まる。
警察内部に目を向ければ、彼らも人間で、妻と巧く行っていない者、巧くいきかけている者、同棲を解消しようとしているものの元の鞘におさまりそうな者、ヤナにやたら反感を持っている者、とそれぞれの生き方が出てくるので、人間がどんどん動いて行っているという感じだ。

まだまだわからないこととか、事件の行方もあるので、
次作品是非訳して欲しい。

以下完全なネタバレ
・ヤナは元難民であった。
殺人兵器として作られた子供だったが、途中で逃げるチャンスがあり、そしてそのあと記憶を失っていた。
のちに、この時に同時に作られた子供と再会する。
この組織はずうっと継続していた、コンテナの中の悲惨な状況も続いていて、あとからコンテナを開けるという作業の時に、死体が山のようにでてくるのだ。

・このミステリ、ヤナが検事でありながら、そして「悪者を追い詰める側」の人間であるはずなのに
途中であっさりと殺人を犯している、相手が悪者であったにせよ。子供の時に培った技が出てついつい殺してしまったのだが、ここがもうダークヒロインたる由縁。