2016.02.12 消滅世界


評価 4

比較的好きな作家さんなので、最初の方は、うおーうおーこの世界面白い!とのめりこむように読んでいた。
が、私の場合途中で失速、かなりの失速になった。

というのは、
この世界、いわゆるSFっぽい世界だ。
っぽいというのは、出産、男女の交わりに関してのみ色々奇天烈な制約があるからだ。
のみ、と書いたが、そこが人間の根幹なので、重要と言えば需要なのだが・・・・
その制約が最初の内は面白く感じ、後半に至っては、夢物語につき合わされていると言った感じがしてきたのは一体どうしたことだろう。
決まりごとが次々と出てきて、その決まりごとを飲み込まなければならない自分がいた。

この世界では、
・夫婦で関係を持つというのは、近親相姦となり非常に気持ちが悪いことになっている。事実主人公はそれで離婚している(夫が手を出そうとしたため)
それどころか、人間同士の交わりというのもさほど重要視されていない。
結婚したカップルがそれぞれパートナーを持つのは全く不自然ではないが、そこで家庭内の欲望を全て満たしているかというとそうでもない。

・アニメとか、絵とかキャラクターへのでの二次元物への思慕とか愛で欲望を満たそうとするのは全くオッケーで、人間と二次元との両立、の人もいる。
・主人公の両親は「普通の交わり」から主人公を生んでいる。それに対して主人公は抵抗感を持っている。
母は、この世界の歪みを指摘している。
・この世界の子供は人工授精で生まれている。
自分たちでいつ子供を作るかというのを決定できるようになっている。

こんなのがどんどんどんどん出てくる。
今の世の中とリンクしている部分もとても多い。
二次元物にここまでではないにしても入れあげている人は多いし、夫婦で関係を持つというのが少なくなってきているらしいし、人工授精もこういう目的ではないにしろ発達しているし。
だから、見たことがある光景なのだが、それが極端になったような世界なのだ。
現代社会への警鐘にも見えるけれど、きっとそれではないのだろうと思う、作者の言いたいことは。

後半男性が生む、と言うところにまで行き(このあたりで私は離脱寸前、妄想について行けない)、千葉市という実験都市の中の子供の異様さ(ここはちょっと面白かった)というのも出てきて、さらにはこちらから見ると実にノーマルなお母さんのその後、というのもグロテスクに描写される。
お母さんがもうちょっとこちら側のいわゆる正常な視点を持ってくれたら、もっともっと面白くなったのではないか。