2016.03.07 異類婚姻譚


評価 5

滅茶苦茶面白かった。

段々顔が似てくる夫婦。
見慣れた夫の顔の鼻とか目がせわしなく動いているところなんか、不気味に思いながらも、(ありえそうなことだなあ・・・)と思ってしまう描写力があった。
大体、夫婦が似てくる、という世間的な通説がある。
実際、兄妹?と思うほど似ている夫婦も現実に存在する。
それを踏まえた上で、「夫と暮らしていたはずなのに、わけのわからないものと一緒に暮らしている不思議感」というのが実にリアルにわかったのだった。
しかもこの夫、前の妻と離婚したのがテレビをずうっと見ているというのが大きな理由らしい。
それを「私」であるサンちゃんに告げてからほっとしてだらだらと会社から帰ってからバラエティー番組を見ている。
何かに取り付かれたような夫が怖い。

サンちゃんがマンションで出会った猫好きのキタエさんもまた怖い。
彼女は実際的な人ではあるけれど、猫が家中におしっこをするので、どこかに捨てに行こうと決心する。
この話が間間に入っていて、最初は猫の問題・・・と思っているけれど、後半になるにつれ、キタエさんは猫と暮らしているのかなんだかよくこちらもわからなくなってくる。
サンちゃんが夫を夫と認識できなくなってくるように、キタエさんも猫を猫と認識できなくなってほとんど姥捨て山のような気持ちになっているのではないか。
キタエさんも猫に取り付かれている。

更に、サンちゃん夫が勤めている分まだましだ、と思っていたら突然休み始め、揚げ物を揚げ始める、それも毎日。
ここも怖い、また夫が取り付かれている!
お互いを食べてしまうヘビダマの話もぐっと心に響く。
夫がサンちゃんの役割を奪うと同時に、サンちゃんも夫の役割になっていく。

そしてラストの驚きといったらどうだろう!
この話、どういう終わり方をするのか楽しみだった。
そして、こういう終わり方をするとは!
突然日本昔話のようになるとは!

(他の3篇も非常に面白かった。特に犬たち、の話が。
ラスト一行の衝撃もあった、犬たち)