評価 4.4

80年代のあれこれがとても懐かしかったのだが・・・・面白いのだが非常に微妙な小説だった。

時は2019年というから、今よりも未来の世界だ。
そこにいる、45歳無職の独身女性が、自殺を図ってタイムスリップしてしまう、時は昭和の終わり、バブル期の1989年に。
何をしたいとまず思ったかというと
自分の大ファンのドルフィンソングというバンドが殺人沙汰を起こした世界を何とか変えたい!ということだった・・・


タイムスリップものなのに、タイムスリップしてすぐに適応してしまうトリコという女性主人公がいる。
彼女の思考があまり好みではないことはさておき(バンドの殺人を止めるだけ?と思うし、痛めつけられた男と再び関係をもつと言うだらしなさがある)、

実際にあった事象、ならまだいい(ロッキングオンとか、タクシーの乗り方とか)
j実際にあった公的なこと、ならまだいい(天応崩御とか、バブル絶頂期の株のあれこれとか)
とても引っかかったのは、実在の人物名をそのまま出しているということだった、特にコンクリートのあの殺人事件に至っては・・・ここでこういうタイムスリップの回避を描くべきだったんだろうか。
軽く扱うような事件ではなく痛ましい事件なので、この取り扱いが私にはわからなかった。

タイムスリップしている周りの様子とかは本当に手に取るようで読ませるし面白い。
でも戸惑わないトリコというのがちょっと小憎らしい感じすらしてくる。
あと・・・品がないか、トリコが。
あまりに唐突な性描写も・・・・
普通のタイムスリップした人は、ここでおおいに戸惑ってそこが可愛らしいのだがトリコにはそれがないと思った。
だから感情移入も出来ないし、この世界にいる存在意義というのも良くわからなかった。

SFの要素がたっぷり入っているけれど(そもそもタイムスリップだし)、昔の自分に会ったらどうなるかとか(どうにもならない)、過去を知りすぎているとか(こんなに覚えているものだろうか・・・)、なぜここに来てしまったのかとか(この話の流れで行くと、夢オチか、薬の飲みすぎのトリップ状態かしか思えないがまさかそれで終わらないだろう・・・)、SFでは解決できないことが多い。