2016.03.16 死体泥棒


評価 4.4

この作品、成り立ちがとてもねじれている。
ブラジルの作者パトリーシア・ネロの作品であり(なので、ポルトガル語)、しかし賞をったのはドイツミステリ大賞の翻訳部門1位だ。
そしてこれは、ドイツ語から訳されている(らしい)

読ませるのだ。

以下のところが髣髴とさせる、シンプルプランを恐ろしいまでに。
自家用飛行機がブラジル南西部に落ちる。
その時点で機内にいた男性は死亡。
誰のものかもわからないうちにそれを偶然発見した男性が、腕時計とリュック一式とコカインをちょろまかしてしまう。
それを誰にも言わずに悶々としている男性・・・・

しかし大きくシンプルプランと違うのは、途中まで全くこのことを本人しか知らず、更に違うのは、
痛いほど寒かったシンプルプランに比べて、ここはブラジル、しかもボリビアに近い偏狭の地だ。
読んでいて、警察もなんだか適当といった感じがした。これがブラジル流なのか。
警察がそこそこにしか機能していないので、犯罪者は犯罪をしやすい。
主人公の恋人がしかも警察で働いている・・・

しかもこの場合盗んだ男は良心がある(かなり適当なご都合主義の良心でもあるけれど)。
良心があるのだが、お金は欲しいのでそのコカインをお金に巧いこと換えようと思ったら、ギャングの犯罪組織になぜか組み込まれていって逆に借金を作ると言う羽目に陥る。
更に、この男、良心はややあるのだが、いとこの女に手を出して妊娠させてしまうというへまをする。
だから女関係と金とダブルパンチだ。
そして、良心があるんだかないんだかわからない男は、「機内で死んだ男」の家族の下で働くことになる。
間近で母親の嘆きを見ている・・・・
このあたりやっぱり良心がある?と思っていると、あにはからんや、今度はお金をギャングに払うため、恐喝を始める・・・
一体どっちなんだ・・・

しかも、警察の死体置き場で過ごしている恋人の家も複雑で
お金のない両親と障害をおった妹と暮らしている。
彼らは男と結婚させたいのだが・・・・

・・・・・・・・・・・・・・
読ませる。
そして話の転がり方は面白い。
が、どう考えたって、緻密とはいえないプランだ。
適当適当と言うのが透けて見えるし、常に良心を持っているんだかないんだかわからない男の姿そのものが適当だ。その場の行き当たりばったりで考えている男が情けないし、いとこの女が胎児の写真を送ってくる話は、一体最終的にどうするのか、ここも適当か。
本当の息子さんの遺体はピラニアに食われてしまって終わりか。
しかも途中でピラニア料理が出てくるのは皮肉じゃなく日常なのか?(考えられない・・・この流れでピラニア料理って)
息子さんはコカインを持っていたがそれはどういうことだったのか、彼も軽くギャングと繋がりがあった人なのか。
息子さんの恋人の登場は何か意味があったのか。

そしてこのラスト。
ううむ・・・・・と考え込んだ。
そんな真面目な受け取り方をしてはいけないのか。