評価 4.5

いい話、だと思う。
しかも読みやすい話、だと思う。
さらには、そこここに、本好きの心をくすぐるキーワード(本にまつわる話とか本そのもののタイトルとか、本の主人公とか)がちりばめられていて、わくわくもする。
さらにさらに、ミステリ部分もあり、「なぜこの子はよりによってこんな島の書店に捨てられたのか」「最初の方で盗まれたポーの稀覯本は誰が盗んだのか」という謎が最後の方で明かされる。
そこはとても驚いたりする。
そしてそれぞれの章の扉の本からの引用。
完璧、ではないか・・・・

なのだが、私はこの小説、数か月すると忘れそうな気持ちがしてならなかった。
話の展開が、わかったようでわかっていなくて、自分自身が呑み込めていない部分が多いのだろうと思った。
限りなく優しい物語ではあるのだが・・・・。
ちょっと全体に緩いし(そこがいいところと言われてしまえばそれまでだけれど)、ご都合主義っぽいところも見受けられる。
最後、こういう終わり方もどうなんだろう。


・・・・
事故で妻を亡くした書店主フィクリーがある島で唯一の本屋になり来る日も来る日も一人で本を売っている。
そこで大切にしていた稀覯本のポーの本を盗まれ精神的にも大打撃を受ける。
ある日、そこに一人の赤ちゃんが置き去りにされている。
マヤと名付けられたこの女の子は、フィクリーに育てられることになり、すくすくと成長し、いつしかフィクリーの生きるよすがともなっていく・・・


冒頭の方で、出会いの場面がある。
それはのちにフィクリーが思いを馳せるアメリアとの出会いだった。
後半でフィクリーがアメリアを思い出し、彼女に心を寄せていくところが、私には唐突に思えた。
また子供が書店に置かれ、その子を育てていく決心をするまでももうちょっと書いてほしいなあ・・・・と感じたのだった。