2016.05.06 忘れな草



評価 4.5

そして丸美中毒にかかった私・・・・
なんだかんだ言っても雪の断章はインパクトがあった。
毒になる小説というのは感想にも書いたが、毒にやられて中毒になった・・・

なんせ、文章の中毒性が強い。
誰も彼も小難しいことを話していて、違和感たっぷり(だってまだ学生の人たち・・・?)なのに読んでいると(そこがいいんだ!)という気持ちになってくる。
もしかしてこの人の話すこと頭にしか存在していない上っ面の言葉?とか思っていても、ついついこの語り口に引き込まれてしまう。

そして物語そのものも・・・・

・・・・
今回は、またしても親がいない二人の子供、泣き虫葵と美しい弥生、の話で、まあ・・・やたらめったら二人が反目しあってるのだ。
ダブル孤児ということで雪の断章の孤児バージョンがさらにパワーアップしている。
こんなに孤児ばかりいるのか!と突っ込みたくなる。
小さい時にはひっかきあったりとっくみあったり、ひがんだり貶めたり、まあこれも子供だから・・・と生ぬるく見ているが・・・。

けれど、大きくなってからさえも変わらない。
さらに面倒なことには、一人の少女の方には小さい時から悔しくて涙を流していると、必ずどこからともなく現れて慰めてくれるという奇跡のような男の人がいる(ここは少女漫画っぽい)
当然ながらこの人に心を寄せるようになる。

そしてある日、驚愕すべきことがわかる。
大企業の継承権を持つのが、葵なのか、弥生なのか、どちらかを見定めるための作業が始まる。
そして二人は屋敷に閉じ込められる。
常識でいえば、もうほとんど犯罪だ、学校はどうした!この子たちの人権はどうした!とここまた突っ込みたくなる。
しかも途中でやめました、とか言って、片方が楊子さんになる・・・ああ・・わかりにくいっ!
突然名前を変えて、それをやめることができるのかっ!

大企業の話がまた、ややわかりにくい。
誰が誰やらわかりにくいし(5人もかかわっている大人の人たちがいる)、継承権がどっちだ、と言われ、小さい頃の思い出をたどっていくがこれまた怪しくて、泣き虫と言っても小さい時に泣き虫だからと言って大きくなって泣き虫とは限らないしなあ・・・と思いつつ読んでいた。
どうやら二人は権力闘争の駒として扱われているのだなあ・・・というのが途中でようやく見えてきた。

教育係の高杉というクールな男がまた二人の心を引き付ける。
どちらもイケメンらしい彼に好意を寄せる。
しかし・・・閉ざされたこんな空間にいてイケメンが一人いたら、それは疑似恋愛でも何でもするだろう・・・
更にに驚くべきことに、片方がいきなり知らない男の人と結婚させられる(これも当時の少女の夢、なんだろうか・・・)
氏名の名前が高杉と同じなので、結婚させられた方は、高杉がその当人じゃないか!黙っているだけじゃないか!と心震わせている(少女としてこの気持ちはよくわかる)

・・・
この中で、雪の断章のトキさんが再び出てくる、それもかなり重要な役で。
しかも!
雪の断章とこの話どうやら並行らしく、雪の断章の方の出来事を愚痴ったりしている、つまりは、雪の断章で出なかったトキさんの本音が出てくるのだ。
もっと私が驚いたのは、この最後の方で、まさかの史郎さんが出てくる、雪の断章の最後の局面の前の史郎さんが!
もう権力闘争とか、誰が誰を好きだとかそっちはどうでもいいような気がしていたが、私のご贔屓の史郎さんの出番で一気に盛り上がった、テンションが(雪の断章の中で唯一惹かれた男の人)。
こうだったのか・・・
雪の断章の裏側にこういうことがあったのか・・・とそこが非常に面白く読めた。