2016.05.06 GONE



評価 4.6

ある町に住んでいる子供たちが、学校で授業中にいきなり大人が消えたのに気付く。
そのうちに、町全体をバリアのようなもので覆われていることに気付く。
更には、15歳になると、そこにいる子供がぱっと消えてしまうということにも気付く・・・


これって小松左京のお召し、と、スティーヴン・キングのアンダー・ザ・ドームの合体版じゃないか!
特にお召しの12歳になると消えてしまうというのが年齢が違うけれど、同じ発想だ。
どこに行ってしまうのかいまのところはわからない。
また、途中から子供たちの中でもいい子供、悪い子供と分かれてきて権力闘争のようなものが始まる。
ここは蠅の王、じゃないか!
プラス、生き残った子供たちの中に、サイキックな力をもった子供たちがたくさん現れてくる。
これは・・・もう色々な小説で・・・・

というように、面白い小説のエッセンスがたくさん詰まっている。
詰まりすぎじゃないかと思うくらいに詰まっている。
こういう話、私は好きなので、楽しんで読めた。
秩序の崩壊した世界で、段々と人間関係がぐらついていってそこで階級社会が生まれてくる構造は、読んでいてとても恐ろしい。

・・・・・・・・・・・・
この話、地味に私が好きなところは、ハンバーガーを淡々と焼いている男の子の話だ。
感謝祭の準備をする、なんて発想がこの地獄のようなところで出てくるのがすごい。
たくさんの兄弟に囲まれて育って、食事を作るのが何ら苦痛でない男の子。
この場面になると、異次元で異常な状態なのに、(あ、まだマックがある)という安心感が漂ってくる。

拒食症のマリアが小さい子供たちを必死で育てている様子もまたいじらしい。
どんなに大変なことだろう、この子のやっていることは。

一方で善側のサム、と、悪側のケインの思わぬ繋がりも途中で出てくる。
ちょっと問題児童だけ集めたケインの学校という設定もまた読ませる。
自閉症の弟をかばい続けている「天才アストリッド」の女の子らしい情景も忘れ難い。

手で炎を出せる子。
治癒力のある子。
瞬間移動できる子。
念動力がある子。
子供のうちの何人かがこういう力を持っていて、それが善側につくか悪側につくかで用途が変わってくる。
手で何かをやるというのが多いだけに、悪側のケインが、その子たちの手をコンクリートで固めた場面は震えがくるほど怖かった。
けれど、もっと怖い場面はあった。
最後の方で、コヨーテが出てくる。
コヨーテの場面は、治癒力のあるラナとともに出てきていたのが後半でこの街に食い込んでくるのだ。

そしてこの町、原子力発電所があるのが一つの肝になっている。
そしてアストリッドの弟も一つの大きなカギとなるのも臭わせている。

ゴーンシリーズ、といってまだ続くらしい。
一体この世界、誰が何のために作ったのか。
先にあるものは、神なのか、悪魔なのか。