2016.05.14 教場


評価 4.8

前の教場よりさらに楽しめたと思う。
なぜなら、教場、という警官を育成する場所、という特殊な場所に私自身が慣れたからだろう。
今まで、警察小説で、警察内部、の話とかはあった。
でも警察学校そのものが舞台で、そこでの非常に厳しい訓練と鍛錬がどのようなものかというのは想像すらしたことがなかった。
そして、この小説のひとつの勝因として、強烈なキャラクターの風間の造型にあるだろう。
推理力をあらゆる場面で発揮し、これから警官になろうとする生徒たちの一挙手一投足を見逃さない目、しかも隻眼である。

ちょっと惜しいなあと思ったのは、風間造型が、先行しているジョーカー・ゲーム(柳広司)の結城中佐をやや彷彿とさせてしまうところだ。ただ、いるだろう、風間のような人は、警察学校にということで納得はできる。

場所が教場で、出てくる人たちが警官の卵なので、見えにくいが、このミステリって日常の謎の警察学校版という感じでもある。
なくしてはいけない自分のある私物がなくなっている、なぜだろう、誰かの過去に自分がかかわっていることに関係があるのか。
色々な備品ががなくなっていく、なぜだろう、一つ一つが単独では使い道がないものなのに。
刑事になりたくて仕方がなくその研究に余念がない人間がいるのだが、彼が突き付けられた現実とは。
などなど、ミステリとして見たら弱いのかもしれないが、そこに至る過程のようなものが読ませる。
・・・・
群像劇のようになっていて色々な人がちょっとした謎を抱えている。
それは深い謎でもある時もあるし、ちょっとした手違いのような日常の謎もある。
この中で、医師から転身したという異色の経歴を持つ桐沢という男が、何度も出てくる。
彼も愛すべきキャラクターだ。

何かがあれば、風間から引導を渡される恐怖と戦っている教場の人達・・・・