評価 4.9

「海外のママ友たちのトラブルから発展した殺人事件の話」というおおざっぱな前知識で、どうかなーどうかなーと思いつつ読み始めた。
だってママ友の話?しかも海外?
子供の話?
あんまり興味ないし・・・・・
これが面白かった。
まず、幼稚園のママ友のヒエラルキーがあり(公立だがハイソもいれば普通の人もいて合体)、
その中で、張りきってはしゃいでいるブロンドボブ集団がいて(笑えた、想像できて)
更には、勢いのいいママ、遠慮がちなママ、息をのむほど美しく夫も子供も完璧に見えるのになぜか鬱屈しているおとなしいママ、働いているママ、訳アリのママ、掃除に燃えるママ、再婚して幸せなのだが自分の子供が元夫の新しい家庭に入りびたりでイラついているママ、再婚した当の相手のママ、

その人たちが織りなすドラマというのは日本のママ友界(界?)でも同じようなことがあるだろう、と想像できる。
そして、途中でママたちの話が入ってくる。
このやり取りもリアルさを増している、本音が出ていて。
一人一人の人物像がくっきりと描かれているので、最初の方でぐっとのめりこむように読めるようになっている。
あ、これはマデリーンらしいとか
あ、これはセレストらしいとか、
読んでいるうちにどの人がどういう行動をとるか見えてくるのだ。

・・・
ここに一人の異分子、といってもいいママ、ジェーンが来る。
彼女はシングルマザーであり、彼女の子供の父親については、この物語のかなり後半にならないと出てこない。
そしてそのあとまた爆弾があるのだが・・・
ジェーンの子供、ジギーがオリエンテーションでまさかのほかの子供の首を絞めたというのが問題になる(これもありそう、日本幼稚園で)
白い目で見られるジェーンと子供だが、ジギーはやっていないと言う。
もしやっていないのなら、なぜやられた子は嘘をついたのだろうか。
誰が真犯人なのか、なぜそのような行動をしたのか。
ここ、子供が主体のところでどうでもいいや、ではなく、子供がそういう行動をしたのはまだ小さいので母親の、または家庭の何かに起因している、というところが読むべきところだと思う。
更に、ジェーンがなぜここに来たかという謎も最後まで残る。
また、ジェーンの父親が誰かということも、マデリーンの調査でわかるのだが、ここも大きな反転がある。

そして何よりも、
「誰が殺されたのか」
というのが全く見えてこない、最後まで。
誰かは殺された、保護者懇親会の日に。
その日は騒然としていたらしいというのは初期にわかるけれど、この母親たちの一体誰が誰に恨まれて殺されたのだろうか。
これをずうっと心に抱いたまま、読者は読んでいくのだが。

ラスト、非常に納得がいった。
こういうことなら!

・・・・・・・・・・・・・
以下ネタバレ

・美しくお金持ちの完璧な家族の中のセレストは激しいDVを夫から受けていた。
保護者会で殺されたのはセレストの夫。
偶然が殺すということになったのだが(バルコニーのようなところで押されて転落した)、押したのはボニー(マデリーンの元夫と再婚した妻、彼女は幼い時母がDVを父から受けていたのでそのトラウマがあり、セレスとの夫が本性を見せた段階で切れた)

・子供の首を絞めていたのは
セレスト双子の息子の一人マックス。
彼は、自分の父親が母親を痛めつけているのをこっそり見ていたらしい。
そして心に傷を負っていた。

・かつて罵倒しながらひどい関係をジェーンと持った男が名乗った名前は
セレストの夫の従弟の名前だった(マデリーンがネットで調べたが、ジェーンには伝えてない)
これだけでもセレストもマデリーンもジェーンの友人として動転していた。
ところが、
最後の場面で、ジェーンが目の前の男を認識したのだった、これこそが自分と関係を持った男だと。

セレストの夫がジェーンをレイプした犯人だったのだ。
しかも卑怯なことに従弟の名前を名乗っていた。
この時にジェーンは、セレストの夫が将来住む(現在住んでいる)場所のパンフレットを見つけたのだった。
そして、ジェーンはその子供とともに(セレストの夫の子供)その地にやってくる、いつの日か男に会うために。