評価 4.4

冒頭場面で女性の湯浴みの場面がある。
ここが非常に印象的であり、子供たちは別の場所で固まっていて、女たちはうすものを着て静かに外の天然の湯場で体を沈めている・・・
なんだろう?
ここは一体どこなんだろう?

と思っていると、物語が一気にSFだということがわかる。
人は交わらず、食料は作られ、奇妙な生物が横行している・・・
ものすごく面白い出だしではないか!!

・・・
連作集だが、それぞれに独立した物語で、ゆるやかに繋がって、この中の話というのが徐々に分かってくる。
地球の話らしい、とりあえずは。
更に設定が続く。
・ヒトというのは、・・・科に属していて、死ななければ科目がわからない。あるヒトは、ネズミだったり、あるヒトは、カンガルーだったりする。
・ヒト達はいくつもの集団に分かれている。
・大きい母というのがいるというのもわかる(大きい母とはなんだ?と最後の方まで思っている)
・見守りというヒトたちを管理するようなヒト達がいるのもわかる(世襲制とある)。

・子供たちは集団で育てられていて、それもまた共同で育てられている。
・ヒトの寿命はとても短い。
・ヒトの名前がなく、番地のような数字で管理されている。
・人ならざるもの、もいるのだが(三つ目とか)、これらの遺伝子は調べてみると人間の遺伝子であった。
・そして人ならざるものとヒトが交わるというのもあり得ることだ。
・走査ができる者(相手の感情を読み取る者)などの異能力者も少数だが出現する。
・タブーもあり、集団で育ってはいるが、近親での結婚はご法度とされている。

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出だしは面白い!と思ったのだが、後半やや心の中で失速した。
楽しめた部分もあったのも事実だ。
ただ、この物語というのは、詩、を強く思った。
SFの形をまとった詩。
簡単に言えば、全体が人が夜に見る「夢」なのだ。
夢の話というのは、人が話すと色合いを失せ面白くないのが相場だ。
この物語は、その部分もまた色濃く持ち合わせていると思った。
こういう物語になってくると、宗教色も最初の方から感じていたのだが、やはり後半になって宗教も前面に出てきた。
私がこの中で好きなのは、イアンとヤコブが出てくる、Rememberだった。
彼らはこの中で自分たちの状況を把握しているヒトたちだ。

夢、なので、次々と出される設定(たまに断片に見える、詩だからか)にこちらが乗り切れるかどうか、が楽しめるかどうかに繋がる物語だと思う。
そういう意味で、私は乗り切れなかった、最後の規模が大きくなる話で特に。
(『運命』で、すべてがわかる仕掛けになっている。
わかったのだが、ここがとても微妙だった。
ぼわーっとしたまま終わらせても良かったのにと思った次第。)

以下ネタバレ
・ここは人口が少なくなった地球であり、人間たちがなんとか生き延びようと科学の力(人工知能)で生きていく物語だった。