2016.06.08 記憶屋


評価 4.3

大学生の遼一が、先輩杏子に思いを寄せる場面から始まっている。
極端に夜道を怖がる杏子。
彼女に付き添って、何度も送っていくのだが・・・そして恋心も募るのだが・・・・
ある日、全く彼女が遼一の記憶をなくしていることが分かる。
そして、遼一は「人の記憶を消してしまう」記憶屋という都市伝説を信じるようになる・・・・


記憶をなくした人。
それが何人も連続で出てくる、このあとに。
そしてネットのサイトでそれを探していくうちに、徐々にその人たちですら記憶をなくしていく。
記憶をなくしてしまわせること、それはできるのだろうか。
そしてそれは自分が頼んでいるのか。
不自然に記憶をなくしていく人たちを追っているうちに、かつての自分のある光景も蘇ってくる遼一・・・・

記憶をなくさせる記憶屋の存在が面白い。
ただ、記憶をどの部分をなくすのか、という細かい設定がない。
この部分(たとえば杏子の場合だと、夜道を怖がるのをなくすという部分)で、「どこからどこまでが消えるのか」というのがよくわからない。
杏子だったら、遼一が送ったことは夜道を送ったのでなくなるだろうが、一方で大学で友達と平然と話している。
ということは友達との記憶はあるわけで、だったら、送っている遼一ではなく大学にいる遼一というのは記憶に残っているはずなのではないか。
また、夜道を送る前の友達とのやり取りは残っているのだろうか。
こういう細かい設定のところが腑に落ちなかった。
記憶と言っても連続しているわけで、どの部分というのが特殊な体験のところだけ、というのでなければ、非常に難しいと思うのだ、すぽっとある一点をなくすというのは(たとえ物語上でも)

ただ、そういう話ではないのだろう。
記憶を消すということが善なのか悪なのか。
その人にとって記憶とは何なのか。
このあたりを描きたかったのだと思う。

最後遼一の昔の記憶と、記憶屋の正体も暴かれていく。