海外文学から。



「未来の」2016年が出てくるというだけでも読んでいて面白いです。
ある作家がある村で平穏な日々を送っている、それは退屈ではあるけれど実に穏やかな日々だった・・・
というところから綻びが見え始め
そこからさらに
ある女性と出会うことで綻びが決定的になっていって・・・
という話。
SFジャンルなんでしょうがミステリ要素もおおいにあります。
意外に読みやすく、二転三転する敵味方にわくわくどきどきしました。

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読むまでは誤解していました、ヒトラーに関しての重い話なのだろうと。
なんせヒトラー。
それが・・・
なんと現代に過去のヒトラーがなぜかわからないけれど戻ってきてしまって、彼の過去の目、で現代のドイツを見る、
という笑いの要素を含んだ実に面白い本でした。
事実ヒトラーがこの世界現代では、お笑いの人、になってしまうのですから。

しかし、ほろ苦くもあります。
彼の目で、EUを斬ったり、彼の目でインターネッツ(彼はこういってる)を見たり、
情報戦が非常に巧みだったヒトラーのある面をとらえているのです。
また人心掌握の具合、人を見る目の確かさ、興奮した時の演説、どれをとっても(ああ・・・ヒトラーだ・・)と思ってしまうような言動がそこここに見られ、ぞっとするところもありました。
一方で、くすっと笑えるところもあり、犬の糞を拾っているのは頭のおかしいオバサンたちだとか、敬礼の仕方が違うと文句を心で言ってみたり、彼は全うなことを言ってるつもりなのに相手からするとそれはタブーなので驚いたり、とともかく多彩なのです、ヒトラーの顔が。
この話、行き違いの面白さがあると思いました。

日本文学から


杉村三郎シリーズ最新刊(ペテロの葬列のあと、になります)

この中で特に、表題作の死ぬ間際の男性が残した言葉、自分は人を殺したという物語の希望荘、と行方不明になった夫の物語砂男が良かったです。
希望荘は、なぜその人が人を殺すに至ったかというのを説明している言葉に胸打たれました。
更にそれだけじゃあ虫が良すぎる(だってどんな理由をつけようと人を殺している大罪を負っているわけですから)
ここを片手落ちにせず、殺された側の悲痛な叫びも入れているところが非常にかえました。

砂男、は読みやすいのですがとても複雑な話です。
ある人気そば店のおしどり夫婦の夫が突然失踪する。
いったいなぜ?
というのを探っていくうちに意外な真実にぶち当たる。
ところが本当の真相はそのあとにあった・・・・
二層三層の壁に包まれている真実・・・・
非常に苦い物語ではありますが、人間のある真実の面を炙り出しているところに非常に好感が持てたし、こちらの予想の裏切られ方を面白く読みました。
往時の松本清張短編作品を彷彿とさせました、書く手法は違うにせよ。