評価 4.8

冒頭から大騒ぎしている一般人がいる、いわく、「自分は死体を間に挟んで車で移動している人たちを見た」と。
そして案外早く、車で移動した人たち(つまり犯人たち)は誰かということが分かる。
運の悪いことにホテルで、この大騒ぎ一般人と車で移動した人たち(犯人たち)鉢合わせしているからだ。
犯人と目された人たちは、いわゆる名家の人達であった・・・

このあとなぜそういうことになったのか、という経緯が描かれていく。
可愛く美しかったジェニー。
彼女が結婚前に書いた数通のある役者への手紙に関して脅迫が行われていた。
そしてジェニーは家族全員の前で自殺するのだった、どうにもできずに。
残されたのは、ジェニーの父、ジェニーの妹、ジェニーの夫、ジェニーの夫の親友、そしてジェニーの母だった。


このミステリ、途中で、は?と何度も思った。
なぜなら、人が一人死んでいる(自殺した娘にかかわっていたらしい)のに、その隠蔽にあまり頭も使わない。
ホテルでまずくなれば逃げる。
もう一人この一家にとっての憎き相手がやってくると彼を軟禁する。
更にまずくなれば、金持ち一家はなんと船で逃げ始めるのだ、しかも軟禁している「彼」を連れて。
は?
船と言ってもクルーザーだ。
どうしたって戻ってこなければならないだろう、いつかは。
警察を甘く見ているのか?
しかもここには運転する人とか食事を出す人とかの他人がいる。
は?
このあたりが、は?ではあるのだが、なんだか微笑ましくて笑えるのだ、くすっと。
馬鹿だなあ・・何の計画もないんだな・・・と読者は思っている。
全員がおたおたしていて、犯罪に慣れていない人たちなんだなあ・・・となまぬるい気持ちで読めるのだ。

でもちゃんと色々とミスリードも仕掛けられている。
途中でもう一人殺されることになるのだが、もうここで私なんかは(こいつが殺したんだ!)と思っていた(が違っていた全く)
また警察もヴァルクール警部補を出し、この捜査にあたっていく・・・

ラスト、犯人に驚いた。
なんと!
1893年生まれの作者、良き時代の良きミステリと言えるだろう。

以下ネタバレ
犯人は最初の通報者だった。

途中のミスリードで、小さいころに怒りに任せて暴力をふるったという、ジョナサンの姿や、故意に殺してしまったと思ったあとにジョナサンが浮かべる満足げな笑顔とか(リディアが見ている)、でジョナサンが犯人?と思わせている。

また最初のうち、殺されたと思った人間は殺されていないであとからこの通報者が殺していた(このあたりもそんなばかな・・的なところがあるが)


私の疑問。
最初のジェニーが自殺した時に、なぜ母を排除したのだろう?
なぜこの一家、母を常に排除しようとするのだろう?
うるさいから?ショックを受けるから?