評価 4.9

楽しんで読めた。
SFだけれど、とても読みやすい。
記憶の物語だ。

最初の方で、記憶が突然なくなって戸惑う一人の少女の物語が書かれている。
女子高生の結城梨乃がその少女だ。
彼女は自分の記憶がなくなっているということに気付き、なんとかそれを打開しようとしている。
いわく、メモを取る。
いわく、SNSを見る。
いわく、メモを取ってもそれを見ることを忘れるので見ろと言おうメモを作る。
けなげになんとかなんとか何が起こっているのかを把握しようとするのだ。
そして全世界でこれが怒っていることが徐々に分かっていく・・・・

壮大な法螺話ともいえるけれど、そこに至るまでの経緯が非常にち密に描かれているので面白く読めるのだ。
全世界が大忘却という記憶障害にかかっている人たちであふれているという現状。
そしてそこから発展して、記憶の外部メモリーを作る、
更には、その外部メモリーは体のどこかにさされているのが普通の世界になっている、
また更に、その外部メモリーを人にさしたらその人の記憶はどうなるのだろうというところまで踏み込んでいる。

・・・
後半、人格がこの外部メモリーなのかというところにもなっていく。
記憶がその人の人格そのものなのだろうか。
メモリーの取り外しができることにより、体と頭がバラバラになった感じだ。
そうすると、この今ある自分はいったい誰なのだろう・・・?
そして数十年後、「複数の他者の記憶を持つ」人が登場していく壮大な物語だ。