評価 4.9

ああ・・・このところの川上弘美、合わないなあ・・・と思っていただけにとても嬉しい。
これは大好きだ、ヘンテコな話だけれど、大好きだ。
どれもとりとめのない夢のような話だ。
SFでもなく夢でもなく未来小説でもなく、「わたし」が勝手に(のように見える)小学生の時代に行ったり、昔を振り返ったり(つまり今は大人)している連作集だ。
一編一編は短くてあたかも枝を積み上げて大きな木ができあがっていくような小説だった。

たくさんの不思議な人たちがいて、たくさんの不思議な出来事が起こる。
それでそれで?ともっと話を聞きたくなるような話ばかりだ。
おばあちゃんが地獄は肝油のにおいがする、という話、
かなえちゃんが(この子は狂言回しのように多くの話に出てくる)突然不良になる話、
まんまるのおなかの丸じいの話、
どの人も、どの話も不可思議な話だ。
そしてとらえどころもないのだが、こちらの心にすとんと何かを落としてくれる。