2016.09.16 ささやく真実


評価 5

古き良き時代(1941年)のオーソドックスなミステリだ。
誰が女性を殺したのか。
しかもその女性は多くの人に憎まれていると来たものだ。
今の目、から見れば、自白剤のような薬がずるいとかあり得ないとか感じるだろう。
けれど、これは古き良き時代。
これはこれであったのだ、きっとそういう薬が、自分の本心を洗いざらい話してしまうという研究中の薬が。

美女クローディアは悪魔のような心を持った女だった。
自分の美貌を鼻にかけ、男を手玉に取り、今の夫もそうして得たものだった。
富と美、この二つを持っているので怖いものなしだ。
その彼女がある非常に悪趣味ないたずらを自分の家に来た人たちに仕掛ける。
それは「自白剤」を全員に飲ませるということだった。
ここで皆の本心が洗いざらい白日の下に出てきたのだった・・・

そして次の日にクローディアが殺されているのが発見される・・・
偶然居合わせた精神科医ウィリングは捜査に乗り出すのだった・・・


クローディアの傍若無人っぷりが、普通の夜の宴を大暴露大会にするところがすさまじい。
この話の中で、クローディアの今の夫と元の妻がここにいるというのがわかってくる。
そして二人が何を考えているかということもわかりクローディアもさすがに顔色をなくす。
しかもこの自白剤の薬を盗まれた当の研究室の男もまたいる。
更におどおどとした若い娘ペギーもなぜか招待されている。
耳が遠いとされているチャールズという会社経営の男もいる。
プラス、ウィリングが偶然見た不審者も外をうろついている。
執事もいる。
このミステリの面白いのは、大暴露大会(ほぼ全員が自白剤を飲んでいるので)で皆が自分の心を暴露しはじめて、これから!という時に見事な場面転換があるのだ。ここがえええーーもっと聞きたい!もっと暴露を聞きたい!これは一体?と大きな引っ張りの力になる。

また伏線があらゆるところに張り巡らされている。
最初の殺人が起こった時点でウィリングがそこに駆けつけているのが非常に大きい。
ここから音ひいては犯人の聴力、というのが大きなポイントになってくるからだ。
また、黒こげの紙片に書かれた文字も大きなヒントになっている。ここから類推するとは。

以下ネタバレ
・クローディアに横恋慕していて、彼女に利用されただけの生化学研究員ロジャーが犯人だった。