2016.09.29 四人の女


評価 5

言ってみれば単純なミステリだ。
でもこの単純さこそが身上で、とても面白いミステリだった。
ラストまで一気呵成に読ませる。

人がマンションのバルコニーから落ちて死ぬ、どうやら殺人らしい(そしてこの段階で、すれた読者なら落ちた人がわかる)
その家では集まりがあった、いわく人気コラムニストのラリーという男がいる。
集まりのメンバーは、前妻、現夫人、愛人、現在のフィアンセと4人の女だ。

大体この部分で、(一体全体どうしてこの人たちが全員存在していて、ここに集結してるんだ?現在の夫人と現在のフィアンセあたりまではまだわかるが他の人は一体?)と思うだろう。
そしてこう思うことはとてもラスト、重要なことにもつながっていく。

ラリーという人気コラムニストがいわば成り上がりでのし上がっていくストーリーでもある。
彼がどういう方法でのし上がっていくのか。
富と名誉をどのように勝ち得ていくのか。
あさましいまでに有力な人とパイプを持とうとする姿が最初のうち腹だたたしい。
途中途中でその時代の奥さんというか寄り添う女性が出てきて、最初の妻シャノンは実に良妻で、彼の全てを受け入れ、彼の出自までも受けれいた女性だった。
ラリーは本当はイタリア移民の両親を持っていたのにそれを隠していたのだった。
そして父親との葬儀に出ることもしない。
一方シャノンはラリーの妹と母親とすら仲良くして、取り持とうとするのだった。
ラリーは徹底的に自分の過去というのを排除して、なんとかなんとか自分の力で生まれ変わろうとしている。
最初のうち腹立たしかったのが、徐々に(可哀想な人)という目で見るようになってきた。

・・・・・・・・・・・・・・・
また次の奥さん(現在の奥さん)クレアは美人さんである。
でも頭とか情感はシャノンにはかなわない。
ラリーは自慢に思っているクレアではあるが、シャノンの目というのが彼の中にあり、シャノンンの目で見ると実にクレアが軽薄で美しいが頭はなくラリーを何も理解していないで、彼の自慢の小説ですら聞けない解釈できない(シャノンはそれができた)という状況になっているのに気付いてしまうのだ。

一緒に本を出している愛人マギーは醜い。
けれども本を出す夢を持っていたラリーはマギーをも利用しようとしているのだ。
そして4人の女性が集まった部屋では、マギーが辛辣な言葉を吐いて息まいている。

さて現在の恋人フィアンセは妊娠しているともっぱらの評判であった。
だからラリーは幸せの絶頂のはずなのだが・・・・
実は彼女の妊娠はラリーの子供ではなかった、というのをラリーのみが知っていた。

・・・・
最初の方でバルコニー手すりが壊れているのに気付いた人が一人だけいる。
彼女が一体殺されるのは誰かと何度も頭を巡らせる。
そして・・・

最後の最後まで油断のならない作品であった。


以下ネタバレ
ラリーが殺そうとしていたのはシャノン。
いつも彼女のものの見方が頭について離れなかった。
こうした催しに彼女を呼ぶ方法は全員今までの女性を呼ぶ、という方法しかなかったのだった。

そしてラリーは自ら手すりから身を投げる。