2016.10.06


評価 4

すまない、私にはこの本の良さがあまりわからなかった。
二段組の本なのでそれはそれは時間はかかったのだが・・・・
段々に状況が分かってくる様子は読ませるし、誰が犯人かということよりもそこに至った経緯というのにも非常に興味があったのだが・・・
なんだか肝心なところが私にはこれなのか・・・とちょっと惜しいと思った。
ジェリコのばら、が非常に効果的に使われている。
この水のない世界、でジェリコのばらの言葉はなんて象徴的なのだろう。
(ジェリコのばらは100年水がなくても耐えられると言われている。復活草)

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まず監禁の小説ということは知っていたので、普通の「悪い人が女性を監禁ミステリ小説」と思っていたら、そうではなく。
状況が徐々に分かってくる、なぜこの女性が見張り三人付きで監視されているのか、この女性は精神状態がおかしい危険人物なのか。
そしてその状況というのはすぐにわかるのだが、これってSFの要素もあったのだ。
このイギリスの世界では(911以後とはあるが実際の年号は記載されていない)旱魃が起こっている、全土で。
誰も彼もが水を求めて右往左往している、当然樹木は育たず野菜も不足している世の中だ。

という前提があり、引っ越しした先に泉があり、なぜかその地域だけこんこんと水が沸きだししかも雨まで降る、という夫婦の物語だ。
なぜ引っ越したかというのも早い段階で出てくる、夫が幼児性愛の容疑で捕まって釈放されたということだ。
いたたまれなくなったのだった、その目で他人から見られている状況に。
再起をかけて移ってきた土地は恵まれた、恵まれたという以上の神秘的な土地だった。

夫婦には一人の娘アンジーがいたが彼女は放浪の生活を送っていて、夫婦とは疎遠になっている。
ところが、子供ルシアン(男の子)を連れて、ある宗教団体と戻ってくるのだ「泉」のある夫婦の元に。
ここから物語が動き出す・・・・

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宗教団体に傾倒していく妻の姿が痛々しい。
それと同時に、現在幽閉されている家の様子も克明に描かれている、ボーイと呼ばれる若い男性に心惹かれるところや、無個性、3、と呼ぶあとの二人が常に見張っているということも描かれている。
またここにたった一人訪ねてくるのを許されているヒューという司祭がやってくる。

また世間はここだけ水があっていい思いをしやがって、と日に日に攻撃が激しくなってくる。
それは実際に来るという行動もあるが、ネットで叩かれまくる夫婦の姿がある。

常に常に現在では誰が殺したのか?というのが妻の頭の中を巡っている。
誰が殺されたのか。というのも最初は出てこないのだが、割合初期の段階で、この人が殺されたんだ、というのがわかってくる。
妻は自分ではないかという自問自答もある。
そして過去のことを思い出し総点検しているのだ。
複雑なのは自分の夫であるマークが完全に白とは信じきれないのだ、なんせ移ってきた理由が幼児性愛の罪の疑いをかけられて、なのだから。

以下ネタバレ
・怪しい新興宗教にのめりこんだ妻の悲劇?
結局落としどころってここなのか?
頭のおかしい新興宗教の女性が犯人だった、というこの終わり方でいいのか?

・娘は妻と夫の子供ではなかった。妻と他の相手との子供だった。
それを夫は知っているので子供に冷たい。
そして娘はドラッグをやり、反発し放浪生活へ・・・
娘との関係がなぜ崩れたのかというその説明が非常に乏しいと思った。