評価 4.9

上巻はほぼ興奮状態で読み終わった、そして転がるようにして下巻へ。
事態は二転三転でどんどん思った方向とは違った方向に動いていく。

過去に監禁という異常な状態を経験し、今もトラウマを持っているダンテという男性と、
過去の捜査で何らかの心に傷を負った今のところ元捜査官のコロンバという女性の
二人の事件の洗い出しが非常に読ませる。

特に、11年間幼児期をダンテがサイロという特別な場所で監禁されて生活のすべてをパードレ(父親)と言われる人物に支配され、命からがら逃げてきた悲劇が物語の面白さを増長させる。
ダンテは、閉所恐怖症のようになっていて、外にも出られないという状態だ。
ダンテは今ローマで失踪人捜索専門のコンサルタントを請け負っている。
ローマで女性が惨殺されて、その6歳の息子が行方不明になった・・・・
警察幹部が二人にその事件をひそかにゆだねた・・・

・・・・
ダンテの推理が的を射ていて、さながらどの場面もシャーロック・ホームズのようでここがまた読みどころの一つだ。
彼の優れた頭脳でいろいろのことを分析して、これこれこうだからこうだろう、という推理が痛快なのだ。
コロンバはコロンバでとても気が強く、手も早く、ついでに行動も早く、ダンテを常に外に外にと引っ張っていく。
しかしなんといっても極秘任務なのでほかの警察官からこの二人はかなり疎まれている。
だから勢い、喧嘩をしながらも二人は結びつくしかないのだ。

この話、『ダンテがかつて見た、かすかに見た、という人物は、監禁した男なのか、そしてその後に捕まえられた男はダンテの言うように真犯人ではないのか』というところに全てがかかっている。
これがダンテの心の病であったからきたことの妄想、と思うのは警察官ならずとも普通だろう(なんせダンテは外にも出られないくらいの心の病なのだから)
また、パードレがまだ生きていて、何十年もたってから同じような事件を起こしている、とダンテが考えるというのも、本当なんだろうか?と警察官ならずとも考える、そんなに時がたっても同じことをするのだろうか?
追いかけていく側の二人の精神状態がとてももろいだけに、上巻ははらはらしながら読んでいった。
誰も信じてくれないもどかしさ、をダンテの描写から感じた。
そこに僕を監禁した男がいるというのに・・・・

そして後半わずかな糸の先(残された靴、暗黒街の仲間・・・)をたどるように探っていくと、実はこれが私が思っていたのとは全く別の物語ではなく、全く別の様相を帯びてくるということがわかる。
このあたりから、私は驚いたのだった、こういう方向の話だったのかと。
ここが非常に苦い方向の話だ、私が思っていた普通の監禁の話も苦いといえば苦いのだが・・・

そして案外真相はあっさりわかってしまうものだなあと思っていたら!
ラストにこんなどんでんが!

帯でディーヴァーが褒めているように、ちょっと作品全体がディーヴァーっぽい感じもする。
続編を楽しみにしている。