2016.12.09 望み


評価 4.5

ああ・・・辛い。
そしてとてもわかる、もし自分の子供が殺人犯だったら。
もし自分の子供が殺されていたら。

普通の平凡な家族、いや平凡以上に恵まれた環境の家族が、その家の息子が悪い仲間とつるむことによってもろく崩れていく。
妹もいるのだが、妹すら存在が危ぶまれてくるのだ。
息子はサッカーの選手であったが怪我で引退した、そこから転落が始まっていくようなのだが・・・
この本当の出来事、というのが途中で語られていく、ほかならぬ息子の元彼女によって。
真実は実に苦いものであったし、それを両親は知ることもなかったのだ。

そのどちらも考えられる状況の中、母は殺人犯であっても生きていてほしいと思い、父はそれだったら殺された方が・・・と一瞬思ってしまう。
被害者か加害者かということなのだが、家族の心情が揺れ動いて見えてくる、たった一つの事件で。
加害者側なら世間の目は残ったものに対して厳しい(これでも途中まで加害者と想像されていて、かなり嫌がらせをされていたし、父の仕事面まで影響が及んでいた)
けれど被害者側だったら同情してくれる、世間は。その代わり二度と息子は帰ってこない。

どちらなのだろう。
もし、自分だったら。
もし自分の息子だったら。
勝手なのだが、親にとって子供が死ぬことが最悪のことなので(殺されるにせよ自殺するにせよ)やっぱりどんな形であっても生きていてほしいと思った。

以下ネタバレ
・息子は犯人ではなく殺されていた。