2016.12.23 猿の見る夢



評価 4.5

途中で何度も(この馬鹿・・・)と苦笑していたのだった、主人公薄井に。なーにが、みゆたん、だ!!(愛人に向かっての若ぶりメール)
なーにが、女の勘がおそろしくなった、だ!!お前が隙だらけなんだ!!
そして一気に読んでしまったのだった。


馬鹿と思いつつ、なんだか笑ってしまう気持ちもある、主人公の薄井に。
あまりの哀れさに、この初老のうろうろしている姿に、笑ってしまうのだ。
自分が招いたこととはいえ、右往左往している姿が情けないったらない。
会社では張り切って会長にすりよっていて、仕事もしているのだがこの私生活の情けなさと言ったらどうだろう。

夫婦二人で息子が二人無事育っている。
愛人がいる。
銀行からの出向とはいえ、役員待遇の会社にも勤めている。
最初のうち、意気揚々だった彼が(調子に乗っていた)、途中からどれもこれも行き詰っていく様子が読んでいて苦い笑いが出てくる。
詰んだ、といった人生になっていく姿が真にこちらに迫ってくる。

愛人には愛想をつかされ
奥さんには真実を見抜かれしかも占い師を家に連れ込まれ
息子にもほぼ相手にされず
おまけに会社の中で新しい愛人と思った女性が意外に食わせ物というのがわかり
追い打ちをかけるように介護されていた母親が死亡して介護していた妹に非難され財産問題が出てきて
極めつけは会社が吸収合併される・・・・

・・・
この話、あり得る話だから苦い笑いになる。
愛人云々はともかくも、どの人でも薄井の部分ってあるだろうから。
そこを読ませる力を持っているのがこの作者だと思った。
この中で、苦い笑いと言ってられない部分は、遺言書を破棄したところだ。
ここはなんだかひどいなあ・・・・と思ったのだった、全く介護に参加していないのにもらうだけもらうのに妹が怒っても無理はないなあと。

占い師の長峰ってなんだったんだろう?
この人の言うことが本当だったのだろうか?
ただの詐欺師か?
ここは薄井が主張して、怪しい人間というのがわかる。
この真相はわからないまま、とりあえずこの人の言うことは当たっていた・・・