2017.01.21 2016年読了本
2016年の読書メーター
読んだ本の数:144冊
読んだページ数:45289ページ
ナイス数:3625ナイス

猿の見る夢猿の見る夢感想
一気読み。なーにがみゆたんだ!と主人公の薄井に苦笑しかありませんでした。家族がいて、愛人がいてそして更なる愛人を求めて・・・どこまで元気なの、この男は・・・(苦笑)保身の気持ちが強いながらも前半会社家庭愛人と意気揚々としていますが、中盤から詰んでいきます全てに。右往左往するその姿に哀れを感じながら、薄井は全ての人の中に形の大小はあるにしろ、いるんだろうなあとも思いました、それを描く桐野さんがやっぱり巧いです。ただ、占い師の位置がよくわからなかったのと、遺言書の扱いがこれだけは笑えなかったです。

読了日:12月23日 著者:
【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)感想
とてもよくできていると思いました。最後まで楽しめました。ハリーの息子アルバス(屈折してる!)とドラコの息子スコーピウス(なんていい奴!)の友情物語でもあるのですが、しっかりとしたSF仕立ての脚本になっていました。結構複雑なのでよくやったなあと感嘆の思いが。過去に戻るので過去の懐かしいメンバーも勢ぞろいして現在と過去が同時に楽しめる感じでした。小説を読みたいという気持ちもありますが、これだけのレベルだったら脚本でも十分満足します。ただ・・・長太郎の訳はちょっとないなあとそこが惜しかったかなあ。
読了日:12月23日 著者:J.K.ローリング,ジョン・ティファニー,ジャック・ソーン
ドウエル教授の首 (創元SF文庫)ドウエル教授の首 (創元SF文庫)感想
再読。ロシアのジュール・ヴェルヌと言われている著者が書いた長編SF小説。タイトル通り、ドウエル教授の首が生きてしゃべってと前半は静の部分、後半になると全く色合いが違って活劇のような展開になります。
グロテスクな部分もあるので人を選ぶとは思いますが。解説の犬の話に驚きました。
読了日:12月23日 著者:アレクサンドル・ベリャーエフ
二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)感想
自分の名前を騙る男を追いかける、奇妙なパーティーに出くわす、殺人事件が起こる、パーティー会場の誰もが犯人になりえる状況、トリック、そして被害者のなぞめいた言葉「鳴く鳥・・・・」。導入部から解決までお見事の一言。大好きです古典的なこういうミステリ。途中の文学的引用も楽しくて!発表の時代(1951年)ということを考えると比較的早く犯人は特定できるのですが、なぜ?とかどうやって?とかこれは?とかそれでも謎が続いているところが素晴らしすぎます。そして今でもこれって(特にバーディタ嬢)ある問題だと思いました。
読了日:12月15日 著者:ヘレン・マクロイ
熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
非常に満足の一冊。今年の一冊かも、ミステリ的にも。強盗犯ではあるけれど知能犯でもあるので、強盗のやり方とか練習方法の綿密な描写も面白かったし、現在が語られ過去がまた語られ、しかも追う側の警部もまた暴力という過去に苛まされている、という二重構造の話でもありました。レオが幼い三男を助けていた姿も忘れられません。だからレオを憎むことなんてできないんです。そして後半意外な展開に・・・。父と子、兄弟間、恋人、と家族と人間同士の絆の物語でもありました。あとがきを読んで驚きました、知らなかった・・・・この作者・・・
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
最初の方ちょっと読みづらいです、何が起こってるのか誰なのかよくわからないままの暗中模索状態。けれど!!!150ページあたりから一気に爆発するように面白くなってきます(のでそこまで頑張った方がいいと思います)。三兄弟プラス幼馴染の銀行強盗の話ではあるのですが、過去に暴力に支配された家のことが語られるにつれ、三兄弟の強烈な繋がりを肌で感じて、幼き日々の出来事が現在に至っているというのも痛いほどわかります。読んでいるうちになぜか犯人側に同化している自分がいました。まだ上巻では謎が多々あるのですが・・・下巻に続く
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)感想
軽めのジャブって感じの本。楽しかった~。ちょっと前のドラマを見て興味を持って読んでみましたが、新しい発見とかはなかったもののドラマを思い出しながらところどころでくすり。本格的な漱石の何か、を求める人には違う本なのでしょうが楽しんでこういうのを読んでみたいなあ~悪妻じゃないのになあ~と考えてみたい人には入門書としてよく出来ていると思いました。にしても、癇癪持ちの旦那さんって大変だなあ~。
読了日:12月15日 著者:植松三十里
一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)感想
こういう感じの本、特にローマ帝国ものというのが多くありますが、この本面白かったですとっても。大上端に構えることなく、わかりやすく描いていってくれてローマ帝国の衰亡も目の当たりにしたようでした。なんといっても皇帝のそれぞれのスタンスが目を見張りました。狂気、愛欲、知性が絡み合い戦争があり平和があり、時代が進んでいきます。写真と図版が多いのも魅力的。あまりに頭にさくさく入ったので、この作者の本、もっと読んでみたいです。
読了日:12月15日 著者:本村凌二
望み望み感想
辛い、本当に辛い物語でした。そしてある問いを投げかけられます、自分の子供が犯人側(殺人犯側)でも生きて残っていた方がいいか、それとも死んでいることがあっても被害者側のほうがいいか。これが家族の中で違っている、特に父と母とでは違っているというのが印象的な話でした。自分の進路を心配する妹、加害者だと決めつける親戚、そして周囲の仕事関係者と多くの人たちが色々な立場から考えを持っています。
読了日:12月13日 著者:雫井脩介
静かな炎天 (文春文庫)静かな炎天 (文春文庫)感想
カズレーザーお勧め本(彼のチョイス本どれもいいです)。何と言っても驚いたのが、葉村、四十肩か!と。そこに私は年月を感じました、なんてこったい!不運がやってくる葉村晶探偵が、今回は奔走する姿が印象的でした。表題作がとても面白く、息子を死なせた男の素行調査をしていると次々に違う依頼が舞い込み・・・その真相は・・・というあっという最後のめくれ方が秀逸でした。またラストの聖夜の話はあちこちに依頼され東京中を駆け回る葉村の姿と最後のにんまりに拍手。このレベルで文庫本ってありがたいです。ただ、ややマニア向けかも。
読了日:12月13日 著者:若竹七海
拾った女 (扶桑社文庫)拾った女 (扶桑社文庫)感想
読みやすいノワール小説、金もないアル中の二人のダメ男とダメ女の酔いどれ小説、でも愛情たっぷりの男が織り成す恋愛小説、と思いきや!とても面白かったのですが、何を書いても触れそうです、ある部分に。予備知識ゼロで読むことをお勧めします。再読必至。特に192ページ、よくわからない比喩だったのですが、ああーーと。非常に良かったです。
読了日:12月13日 著者:チャールズウィルフォード
ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)感想
短編集ですが、なんといってもジュリエット三部作が読ませました。人生における岐路って自分ではその時はわからないのですが、そこを鮮やかに切り取り美しい文章で綴ってくれる相変わらずの手練れのマンローがいました。非常に印象深い列車内でのある出来事、そこから派生する事故、そして運命的な夫との出会い、夫との生活、子供との齟齬、そして成長した子供の行方など、映画にしたら・・・機微のある映画になるだろう、と思うような作品でした(と思ったら映画になっていました)
読了日:12月13日 著者:アリスマンロー
カムパネルラ (創元日本SF叢書)カムパネルラ (創元日本SF叢書)感想
前半、宮沢賢治研究していた亡き母(この世界自体も今の世界ではない世界なのですが)の散骨のために花巻を訪れた『僕』が不思議なワールドにはまり込み、異常な殺人事件に遭遇する、そしてすべてが歪んでいる世界、というところまでは非常にワクワクして読み進めました。が、途中からやや私の中で失速。面白いには違いありませんが、広げすぎのような感じがしました。にしても銀河鉄道の夜、読み返してみたい!!という気持ちはふつふつと。
読了日:12月6日 著者:山田正紀
ジェリーフィッシュは凍らないジェリーフィッシュは凍らない感想
面白かったのです、が。SF設定になっている上に海外名前が横溢、更に国名もU国などそのあたりが読みにくかったです、私には。小型飛行船の発明をめぐって最終確認試験の段階で次々に人が犠牲に・・・しかも密室の中で。ということで、本格ミステリ好きなら吉。構成も謎の魅力も話もとてもよくできていると思いました、そして後半のある一つの質問が非常にパンチがきいてます。ただ・・・動機がなあ・・・とうっすらとそこは疑問。
読了日:12月6日 著者:市川憂人
生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
大変読みやすくそして最後ぐっときたミステリでした。ミステリであり恋愛小説であり『義』の話であると思います。主人公オーディがなぜ出所1日前に脱獄したか、ここがポイントになりますが、過去場面が非常に美しく抒情的で、特に父親と兄との回想場面、魂を寄り添った女性との恋愛場面はミステリということを忘れるほど堪能しました。あるところで、あ!とそれまでのことが一気にわかり、前のところで交わされた会話を読み返し、こういうことを言いたかったんだ!と思いました。ラストシーンもまた印象的で映像が頭に浮かびました。好きな本です。
読了日:11月30日 著者:
Dの殺人事件、まことに恐ろしきはDの殺人事件、まことに恐ろしきは感想
江戸川乱歩の作品群を現代のIT技術を駆使して今の物語にした作品群。ベースになった乱歩作品を知っていると更に比較ができると思います。一番驚いたのが、、陰獣幻戯、執拗にあることが書かれていますが、最後に(ああ・・だからだったのか!)膝を打ちました。スマホと旅する男は、基本はスマホ技術のあれこれなのですが、乗り物の不思議さ、よくわからない感じがぞくっとさせてくれました。赤い部屋~は原作も好きですが、これもラストがとても良かったです。表題作は展開が面白い。ただ、乱歩の怖さとは全体に違った怖さだとも感じました。
読了日:11月30日 著者:
本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド感想
愛すべき馬鹿(ミステリ馬鹿・誉め言葉)でおおいに楽しめました。博士が女子高生とともに多くの古典ミステリをばしばし斬っていく部分も読ませたし未読本で読んでみたいと思った作品が数多くできました。ネタバレなしでこれだけ語れるってすごい!!みつをのもじりのみすを、には毎回毎回笑わせてもらったし、文字のなぞり書き(ミステリの一文)も笑ったしそのあとの一文もとても良かったし漫画もいいし。国樹由香の探偵の日常も犬愛とミステリ愛に満ちた喜国雅彦の日常が垣間見え楽しめました。トークショーにも行きましたがこれまた極上でした!
読了日:11月28日 著者:喜国雅彦,国樹由香
黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)感想
一般のタレント本とは一線を画した本だと思いました。原宿に住むということ、原宿で遊んだ思い出、彼女のボーイフレンド、複雑(と私には見えます)な家庭環境、ちょっとやさぐれていた中学時代、アイドルであるということ。この中で、別のアイドルのことについて書かれているところが一番胸に刺さりました、そしてそのことを持ち出したファンに食って掛かるところも。生き残りの激しい芸能界という中で、芸能人であり続けるということは自分を問い続けることでもあると感じました。
読了日:11月28日 著者:小泉今日子
罪の声罪の声感想
最後の場面のエピローグで胸詰まりました。グリコ森永事件(ここではギン萬事件となっている)に子供の声が使われていること、未解決のこと、社長が誘拐され途中で解放されたこと、警察の失態があったこと、事件そのものが子供の食べるお菓子をターゲットしていること、など本当の事件とリンクして非常に綿密に描かれていました。この小説の成功は、子供の側の疑問で(それも育った子供の視点)始まっていること、だと思いました。かつてその声を録音した記憶すらないのにふっと見つけてしまった自分の幼い声・・・ここから全てが始まりました。
読了日:11月28日 著者:塩田武士
あひるあひる感想
表題作とともにあと二作品が入っていました。非常に読みやすくそして心のどこかをざわざわとさせる作品群でした。あひる、は、普通の家であひるを飼う(だけの)話、なのにこの不穏さと言ったら!まず語り手が資格試験の勉強をしているけれど謎であり、更には最初微笑ましくやってくる小学生たちの群れが徐々に変化していく様子も怖いし、両親も謎だし、でも一番怖いのは、あひる・・なぜ?なに?どこかが歪んでいる世界が非常に読ませました。あとの二作は緩やかにつながっていて、これまたおばあちゃんが優しいけれど不安感に満ちていました。
読了日:11月28日 著者:今村夏子
パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
二転三転するストーリー展開、そしてなんといっても度肝を抜くような開き方が読ませました。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
11年間幼少期に農場のサイロに監禁されたという異常な過去を持つダンテの造型が見事でした。彼の推理が際立っていて、さながらシャーロック・ホームズのようでした。加えて、これまた過去の捜査で心に傷を負った女性捜査官コロンバとの出会いにより、自分の過去と向き合うと同時に現在でも生きているらしいかつての犯人を追い詰める・・・下巻へ。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
危険なビーナス危険なビーナス感想
読みやすいし読ませる、相変わらず。けれど、ミステリ云々の前に、私は白朗の女性に対する視線とか態度が薄気味悪くて仕方ありませんでした、すみません。
読了日:11月16日 著者:東野圭吾
秘匿患者 (ハーパーBOOKS)秘匿患者 (ハーパーBOOKS)感想
面白く読みました。重大事件を犯した患者の入る精神医療施設に送られてきた一人の男性ジェイソン。彼を診る側の医師リーサは、彼が全て来歴を隠してこの病院に来たということを知り何とかその精神状態を探ろうとします。彼の生育状況、事件、それを聞き出しているうちに・・・。いくつかフックがあり、そこに引っかかりながら読んでいくと最後であ・・・!これはこれだったの?とかあれはあれだったの?とか色々人と話し合いたくなる本だと思いました。場面展開が非常に多いのですが全く気にならず読めました。まだ腑に落ちないところはあるものの。
読了日:11月12日 著者:ジョンバーレー
何様何様感想
前作の何者も読んでいるけれど特に読んでいなくてもこれはこれで・・・。アナザーストーリーかなあ。ちょこちょこと何者の人たちが遠くで出てきたりします(瑞月のお父さん!!しっかりして!!。)強烈に前の何者と関連しているのは最初のコータローの話で、これは高校時代の模索のあれこれで若者の心の揺れとか良かったと思います。しかも光太郎が『何者』でなぜあんなに出版社にこだわったかというのがこれでわかってきます(遠くできっとこのことがあるのでしょう)。烏丸ギンジもある人の叔父さんとして出てきます。ただ・・展開的には・・
読了日:11月12日 著者:朝井リョウ
夜行夜行感想
衝撃的に良かったです。はじまりは、かつて英会話教室のグループで行った京都の鞍馬の火祭りに10年ぶりでメンバーで集まって・・・という話です。ところがその10年前に長谷川さんという一人の女性が姿を消したというところから、夜行という連作の絵がモチーフとなり・・・。全体に漂う不思議感、京都の夜のもやっとした感じ、夜行列車のイメージ、加えて独特の語り口で物語が語られます。全体が茫洋とした靄のようなものに包まれた優れた作品だと思いました。某乱歩小説も思います。そしてあるページで本を取り落とすほど私は驚きました。
読了日:11月12日 著者:森見登美彦
九十歳。何がめでたい九十歳。何がめでたい感想
笑いました、もうそこここで。おっしゃてることがただの「怒りの愛子」ではなく実にまっとうだから、うんうんと頷きながら笑えるのです。以前からのファンですが、お嬢さんもはやこのお歳・・・あら・・・。しかし90歳を超えてもそれを受け止め、しかも世の中の理不尽に目を向けられるという頭を持っていることに驚嘆しました。流されていない、ということが素敵なことですね。犬の話だけはもうじいんとしました。いつまでもお元気で!!(トイレの流すところのわからなさも実にわかりました)
読了日:11月12日 著者:佐藤愛子
ゴールドフィンチ 4ゴールドフィンチ 4感想
ラスト・・・ここがこの物語を好きになるかどうかの分岐点だと思いました。自己認識の内省が続いて・・・。私は最後まで物語で終わらせてほしいと勝手ながら思いました。ボリスが大好きなので(どういう人間であるにしろ)、彼が出てくると物語が輝くような気がします。全体に一気に読めましたが、途中もラストも非常にもやもやしました。これって映像化の方が圧倒的に面白い気がします。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 3ゴールドフィンチ 3感想
少年テオは青年テオになり、ニューヨークに戻りましたが・・・。絵に翻弄される人生が哀れでもありました。骨董商としてなんとかなんとか・・・と思っていたのですが、これでは・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 2ゴールドフィンチ 2感想
この巻、全体を通してみると一番私は好きな巻かもしれません。大人に見放された二人の少年が心を通い合わせる場面が特に好き。好き勝手にしている父親と義母には怒りしかありませんが、生涯の友になるボリスと結果的に出会ったので相殺かぐらいにまで思いました。しかし父がまたしてもネックに・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ1ゴールドフィンチ1感想
大切な母をニューヨークの美術館で、テロの巻き添えになって失ってしまう、そこから物語は始まりました。しかもこの時に瀕死の老紳士からある絵を託されて・・・この絵が話全体を引っ張ります。少女の造型が素晴らしく一気読み。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
分かれ道ノストラダムス分かれ道ノストラダムス感想
ノストラダムスの大予言を使っているのはかえますが、全体に盛沢山すぎる、感じがしました。前半の基(もとき)君の死がもしこちらの道だったら、と考える部分と、後半のサスペンス(?)部分がすみやかに移行していない感じが。ごめんなさい。
読了日:10月27日 著者:深緑野分
三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手感想
祝800回突破!今回も楽しませていただきました。今回は特に真田丸裏側を読みたくて。学校の先生の歴史の原因と結果の話、とても参考になりました。先生も嬉しいだろうなあ、自分の話をこんなに覚えてくれていて、しかも今大河を書いている教え子なんて。自意識の強い話が多いのですがそこもまた三谷流。お子さんの話もちらほらっと出て、しっかり親馬鹿していました。
読了日:10月25日 著者:三谷幸喜
その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)感想
一編の美しい詩を読んでいるようでした、残虐なシーンもあるのに。場面場面が映像的で非常に印象的です。殺し屋として生きてきた一人の男性の愛に目覚めた心が奔流のようになだれ込んでいく場面場面が読ませました。裏切り、暴力、死に囲まれながらの静寂観があります。彼が家庭環境を語るのがあるのですがこれも重要。最終章の一歩手前、(ああ・・・こうだったんだ・・・)と思ったら、最終章で(あ!)と、ここもとてもグッド。ミステリとして読むより文学作品として読んだ方が吉かも。だから好みは分かれると思いますが、私は好きです。
読了日:10月25日 著者:ジョー・ネスボ
メビウス・ファクトリーメビウス・ファクトリー感想
出だしから途中までは、(P1って何?お巡りさまって何でいうの?お身削りって何?)と興味津々で読んでいました。最終的に工場で何が作られているか全く誰も知らないという不思議な工場に、外の町から来たアルト一家が町の謎に徐々に気づいていくのです。町が閉ざされた感じもグー。視点も新人鑑定士とか、熟練工とか、外に運び出す人とか変わっていくのも面白かったです。ただ・・・中盤から失速感が。私はラスト消化しきれませんでした、ごめんなさい。
読了日:10月25日 著者:三崎亜記
QJKJQQJKJQ感想
ページをめくる手が止まらないほど楽しみました。前半と後半と一気にテイストが違いますが、どちらも堪能しました。最初、文章の「、」が多いのでそのリズムに慣れませんでしたが、あとは一気呵成に。帯にもあるように「一家全員猟奇殺人鬼」で秘密を共有しながら生きていく女子高校生の目線で語られていきます。全体がペダンディックで思弁的なところが多いのですがそこすら好きで、全体が私には衝撃的でした。伏線回収も丁寧でありました。強烈な殺人場面よりも、私が怖かったのは後半のある一場面。夢にうなされそうに怖かったです。
読了日:10月18日 著者:佐藤究
校閲ガール校閲ガール
読了日:10月18日 著者:宮木あや子
傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)感想
面白く読みました。前作2作を読んでいたので目を凝らしていたのですが全く分かりませんでした、258ページまで全く。281ページの会話で釣瓶打ちの驚き。今回残虐シーンは少ないのですが、カミーユ警部の心の内に沿って読んでいくことができました。繊細なカミーユ警部が思わず我を忘れてしまうほどの逆上にとらわれ暴走するシーンが読ませます。人物の語りが途中で変わるのも楽しめました。私はラストシーンがとても好きです、美しくも悲しい描写だと思いました。長編は終わりのようですが中編楽しみにしています!!
読了日:10月11日 著者:ピエール・ルメートル
許されようとは思いません許されようとは思いません感想
表題作が賞候補になった作品のようですが、今一つ現代の都会に住んでいる私には、動機が腑に落ちませんでした、ごめんなさい。それよりも!「姉のように」が非常に面白かったです。最初の新聞記事から始まり、憧れだった姉が犯罪を犯しそれを知り段々壊れていく妹の姿、と思いきや!!ラストでええええ!という驚きが。伏線がたくさんのところにちりばめられています、もう一度読み返すと。ああ・・そうだったんだと。
読了日:10月10日 著者:芦沢央
お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人感想
「男の人がステキだなあと思うのは、お金を出す時と、髭を剃る時と、死ぬ時ですね」などの名言(!)が飛び出してくる楽しい対談集でした。対談のお相手がお亡くなりになっているのも多い対談で古いのが多いのですが話そのものは全く古びていないのです。向田邦子の人となりが分かり、肉声がその場から聞こえてきそうです。ここには「生活を愛し、猫を大切にし、仕事をバリバリとして、ちょっとユーモラスで頭が良いお料理好きの向田邦子」の姿が見事に焙り出されています。それにしても死にまつわる話を読んでいると彼女の悲劇的な死を思うので涙。
読了日:10月10日 著者:向田邦子
スタフ staphスタフ staph感想
最後の最後まで違和感が・・・。
読了日:10月10日 著者:道尾秀介
ルキノ・ヴィスコンティの肖像ルキノ・ヴィスコンティの肖像感想
写真とそれにまつわる文章にうっとりしました。書いている時期はまちまちでそれを集めた感はありますが、全く古びていない文章に驚きました。書いている人たちも淀川長治に始まり、海野弘、佐藤忠男、荻昌弘、円地文子(!)、そして澁澤龍彦等々、ヴィスコンティ作品に魅せられた人たちの様々な声が圧巻でした。
読了日:10月10日 著者:淀川長治,海野弘,河原晶子,石田美紀,増村保造,佐藤忠男,荻昌弘,倉橋健,寺山修司,高崎俊夫,斎藤龍鳳,唐十郎,三島由紀夫,澁澤龍彦,松田修,円地文子,巖谷國士,由良君美,ルキノ・ヴィスコンティ,白石かずこ,寺岡裕治,山内由紀人,渡部幻
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
傑作。恩田陸のいいところが全開になった作品で一種の興奮状態で読みました。ピアノコンクールの話で、音楽の話であると同時に、激しく美しい青春群像劇でもあるのです。天才肌の風間塵、かつての天才少女栄伝亜夜、優勝候補のマサルの三人が非常に魅力的に描かれています。そして冒頭で、風間塵の推薦状を音楽界の亡き重鎮が書いているのですがそこに謎めいた一文があるのです、ギフトか災厄かと。これが後半にわかるのです。コンテスタント達の逡巡、怖れ、祈り、懊悩、それらが伝わってきます。また市井の人高島明石も見逃せません。
読了日:10月8日 著者:恩田陸
泉
読了日:10月8日 著者:キャサリン・チャンター
女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密感想
愛からず楽しい・・・昭和ネタ満載と脱線話のあらゆる方向の蘊蓄満載でここが楽しめるかどうかの肝かも。毎回大爆笑させてもらってます、ヤクドシトリオの突込みに。とりあえず殺人事件はあって、それを解く美女大学院生桜川東子さんは毎回いるのだけれど、横道が多すぎてたまになんだっけ?謎は?と思うこともしばしばで、でもそれがまた楽しいのです。ウィスキーの蘊蓄なんか素晴らしいです。今回宝塚歌劇の演目が出てきますが、これだけエリザベートとかを簡潔にまとめたものってないだろうなあ。
読了日:10月7日 著者:鯨統一郎
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
良かったです!もうぐりぐりに良かったです!!小惑星が半年後に地球に衝突する、この事実が分かって人々がどうするかという、主人公以外の周りの様子がとても面白く読ませました。狂信的になる人、ドラッグに走る人、自殺する人、好きなことをしまくる人・・・・。自殺者が多い世の中で自殺とされた一つの事件を殺人事件ではないか?と愚直に追い続けている刑事パレスの姿にも胸打たれました。騒然としている世の中で、職務を全うする人達がいるという救いが。文章も短文が連なっていて小気味よく読みやすく、三部作だそうなので次に行きたいです。
読了日:9月30日 著者:ベンHウィンタース,BenH.Winters
霧に橋を架ける (創元SF文庫)霧に橋を架ける (創元SF文庫)感想
ものすごく好みの作品と普通の作品とに分かれました。ものすごく好みは、以下の三作品。26モンキーズは消失する猿たちの謎、で、謎は謎のままですが非常に印象深く読ませます。絶望している人に1ドル渡しもいいなあと。スパーがもう怖くて怖くて、宇宙で遭難してこんなことになりたくないもんだ!とぞくぞくしました。最後は希望なのか新たな絶望なのか?表題作は霧が全てを決定づけている世界観が素晴らしく、プラス恋愛がほのかに混ざっている好みの作品。連綿と続く渡し守一族の姉弟造型が素敵でした。
読了日:9月30日 著者:キジ・ジョンスン
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)感想
またまた再読。懐かしいし、安西水丸さんがお亡くなりになったということを考えると絵を見るだけでぐっときました。ちょこちょこっと軽く書いたように見えるけれど(実際そうなのかもしれないけれど)こういう大上段に構えていない気の張らないエッセイって貴重だと思いました。そして村上春樹、ぶれてないなあ・・・とも感じました、言ってることが。ウォークマンの記述とかは明らかに古いけれどね。
読了日:9月30日 著者:村上春樹,安西水丸
四人の女【新版】 (創元推理文庫)四人の女【新版】 (創元推理文庫)感想
有名コラムニストに成り上がるまでのラリーの姿に最初のうちは(最低の男!!)と思っていましたが、後半なんだか哀れで可哀想になってきました。あくまで自分の出自を隠すラリー。コネゼロの中なんとか強力なコネをつかもうとなりふり構わぬ姿をさらすラリー。これを一番理解していたのが最初の妻シャノンであり、次の現夫人クレアは美しいけれど頭足らず、次の愛人マギーは本の共著者でラリーにとっての重要人物、そしてフィアンセのディーは若くて妊娠中。この4人がラリーのそれぞれの時代を語りながら、話は進んでいきます。傑作。
読了日:9月29日 著者:パット・マガー
新 怖い絵新 怖い絵感想
このシリーズ大好きなわけは、いわゆる怖い絵を語るだけではなくそこから派生する小説とか映画をも縦横無尽に語ってくれているところです。今回も非常にそこが楽しめました。どうしたって幼年期の終わりをある部分を確認するために再読したくなります。また表紙の絵の話から、ハムレットは勿論のこと、漱石の草枕、椿姫にまで辿り行くのがお見事。またゲイシー『自画像』のピエロの絵が、キングのITのピエロのモデルの人だというので驚愕しました。暗鬱な修道院の絵から、ゴシック→オースティンのノーサンガー・アビーに移っていくところも良く。
読了日:9月29日 著者:中野京子
鳥肌が鳥肌が感想
穂村弘の笑える部分と怖い部分がミックスされたようなエッセイでした。ほむほむの目で見ると、世界はこう見えているのだなあ・・・。(あ、私もあるある!)(こういうことあるある!)とあるある感を持たせるのが天下一品に巧い人、だと思います、穂村弘という人は。この中で、現実ではこうという、子ヤギの話と千人針の話とが怖かったし、似た奥さんと結婚した人の話も怖かったし、あと、子役の話を語りつくしている話のオチが最高潮に怖かったです(と同時に笑いました)。ところでこの栞、乙一のある種の本の栞と同じですが、怖すぎます!!!
読了日:9月29日 著者:穂村弘
ささやく真実 (創元推理文庫)ささやく真実 (創元推理文庫)感想
とても優れた本格ミステリだと思いました。美女クローディアが悪魔のような心を持ち、ただのお遊びで自宅パーティーで全員に自白剤を飲ませ本当のことをしゃべらせる・・・そして殺される・・・誰が一体殺したのかというミステリでした。告白大会のある部分で切れているのでその先が非常に気になりました(後半分かります)。随所に伏線が潜んでいて、それを読み解きながら進んでいくのが楽しい読書でした。探偵役になっているウィリング博士のお手並みご披露がお見事の作品でした。最後まで行くと最初に戻って読みたくなりました、確かに。
読了日:9月29日 著者:ヘレン・マクロイ
終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
読んでいてとてもつらい物語ではありました。なんせ少女監禁レイプが話の軸になっているので。冤罪でひどい監獄に閉じ込められていた元刑事エイドリアン、監禁された少女チャニングを助けるために犯人射殺が過剰防衛ではないか問題視されているエリザベス、それぞれが自分だけの強烈な秘密を持っているのです。そしてまたこれはジョン・ハートお得意の家族の物語でもありました。この中でなんといっても魅力的なのは、エイドリアンでもエリザベスでもなく後半出てくる老弁護士でした。彼の映画を撮ってほしいと思うほど大好きでした。
読了日:9月29日 著者:ジョンハート
ミスター・メルセデス 下ミスター・メルセデス 下感想
そして下巻へ。面白かったです!犯人は早い段階で名前すらわかっているのですが、追う側が段々増えていく、というところに妙があると思いました。年取った男性(元刑事なので足場がしっかりしている捜査をする)、若い男性(だからIT系に強いし頭冴え冴え)、若い女性(これまたIT系に強く尚且つしぶといので食らいついたら離さない)の三つ巴が魅力的でした。ホラーの要素はありません、ほぼ。ミステリとしてまた心理サスペンスの側面もちらほらあって非常に楽しかったです。続巻があるようなので、ぜひぜひ!この三人にまた会いたいです!
読了日:9月29日 著者:スティーヴン・キング
ミスター・メルセデス 上ミスター・メルセデス 上感想
職探しの列に車が突っ込んだ・・・というところから始まる掴みから、定年退職してまるで何もやる気のしない元刑事ホッジスと、彼に今どきの挑戦状をたたきつける犯人とのやり取りが読ませます。ただこの巻の前半から中盤あたりまではやや、ですが、乗り切れませんでした。しかし。後半から一気に加速、ぶぅーーーん!下巻に続く。
読了日:9月29日 著者:スティーヴン・キング
テロテロ感想
サッカースタジアムの7万人を救うために、そこに突入しようとしているテロリストを含む乗客164人の飛行機を撃墜した・・・その空軍少佐は有罪か無罪か。法廷劇でありました。最初の方ですぐにサンデル教授の講義にあった「トロッコ問題」を思い出しました。具体的な例とともに進んでいく法廷の場。弁護側と検察側との丁々発止のやり取りが考えさせられました。ただ、娯楽性は非常に薄いかも。
読了日:9月7日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
夜を徹して読むほど引き込まれました。この世界本当はどうなってるのだろう?自分という人間は誰なのだろう?系(本の虚構の男、映画のトゥルーマンショー系)が好きな人なら吉。冒頭でピストル自殺をまさにしようとしている男の元に実に奇妙な依頼をする人間が飛び込むところから、え!?第一部で腰が抜けるほど驚いていたら、第二部冒頭で更にえ!!!これは・・・誰が誰を殺したの?息を持つかせぬ展開で、第三部第四部に突入で、更にえーーー!!各部の冒頭に登場人物表があり、それが実に感慨深いのです。着地点は全く全く読めませんでした!
読了日:8月31日 著者:フェデリコ・アシャット
その先は想像しろ (集英社文庫)その先は想像しろ (集英社文庫)感想
面白い!悪意の波紋が「あることが起きることによって野連鎖反応」ミステリとすれば、これは「各自の思い込み」が思いもかけない展開を生む面白さがあると思いました。最初の方で、世界的なロックスター、ニノが失踪した事件が書かれ、そのあと全く違った二人の街のチンピラがどのように破滅の道を辿ったかが描かれていました。ニノは?と思っていると、ああ・・・こういう繋がりが!!しかもページをめくるごとに、え!そうだったの?この人は実はこう考えていたの?という驚きがありました。そして、私は開いたすがすがしいラストが大好きです。
読了日:8月30日 著者:エルヴェコメール
帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (4)帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (4)感想
相変わらずの菅野彰節炸裂、楽しい!お友達の月夜野も全く知らない人なのにこちらまでお友達気分になりました。そして大爆笑。お爺ちゃんの胸に書く墨の話で一番笑ったかなあ。気持ちの弱い弟君の千羽鶴にも大爆笑。しかし・・・情弱の話の中で、くまモンに驚愕!情弱の私でも知ってる!というか逆にくまモンをどうやったら遮断できるんだろう・・・・。ただ、ですね、私のせいか慣れかわからないのですが、前回より笑いは減った気がします。きっと私のせい。
読了日:8月23日 著者:菅野彰
伯爵夫人伯爵夫人感想
日米開戦の前夜の物語。官能小説のようで、英語で言う4wordsの連続でありました。しかしそこここにそこはかとないユーモアがありくすり(と笑えるかどうかが受け入れかどうかの基準になると思います)。話として面白くて、伯爵夫人とはいったい誰だったんだろう、という根本的なことから、挑発する彼女に翻弄される二朗さんがけなげ(と私には見えた)であり、更に、物語全体が幻想的で迷宮的なのです、卑猥に隠れているので見えにくいのですが。擬音も印象深く、何度も出てくるココア缶(是非調べるといいと思います)も迷宮に拍車をかけて。
読了日:8月23日 著者:蓮實重彦
このあたりの人たち (Switch library)このあたりの人たち (Switch library)感想
良かった~。このところ川上弘美の話がぴんとこなくてどうかなと危ぶみながら読みましたが、これはとてもとても良かったです。いわゆる不思議話で、書きようによってはただの夢のような話でつまらなくなりそうなのに、それが心地よい不思議さがあり心癒されたのです。「わたし」の視点が過去になったり未来から過去を見たり(つまり今は大人)変化し、狂言回しのようなかなえちゃんがたくさん出てきたりの非常に短い話が積み上げられた連作集。不思議な人と不思議な出来事がたくさん起こり、うっとりとしました。
読了日:8月19日 著者:川上弘美
クララ殺し (創元クライム・クラブ)クララ殺し (創元クライム・クラブ)感想
アリス殺しを読まなくてもわかる本です。が、読んでいると懐かしいビルとか井森とかこの奇妙奇天烈な世界観とか理解するのが簡単なのでその面は楽でした、前作よりも(前作は話は非常に面白かったのですが世界観になじむまで時間が私はかかりました)。ただ、アリスの話は多かれ少なかれ知られている話ですが、これは・・・前作知っている人の方が少数派でしょう、知っている人が。巻末のガイドに従って全部読んでからもう一度再読してみたいものです。
読了日:8月19日 著者:小林泰三
人生の真実 (創元海外SF叢書)人生の真実 (創元海外SF叢書)感想
幻想の部分は濃くはなく、それよりも家族の物語だと思いました、そして非常に面白い!アメリカのドラマBrothers and Sistersを私は強く思い出しました、強烈な家長がお母さんで、それぞれの子供達の問題が惹きつけられる問題です、どちらも。笑える部分もたくさんありました(死体が起き上がったところにも笑ったし、ベッドでフランク取り違えのところも大爆笑)。フランクという一人の男の子が8人の女性に育てられていく過程も読みごたえありでした。コヴェントリーの爆撃で『犬は勘定に入れません』がふっとよぎりました・・
読了日:8月4日 著者:グレアム・ジョイス
失われた過去と未来の犯罪失われた過去と未来の犯罪感想
記憶の物語。いわば大いなる法螺話(褒め言葉です)を楽しんで読めました。冒頭の何が何だか分からなくなっちゃったでも賢い女子高校生の物語からしてとっつきやすく、SFだと妙に構えなくても読むことができました。後半になって、自分が何者かという哲学的なところまでいくところも面白く読みました。
読了日:7月28日 著者:小林泰三
自分を好きになる方法 (講談社文庫)自分を好きになる方法 (講談社文庫)感想
リンデという一人の女性の物語でした。各年代で切り取っていて、リンデが自分と心から一緒にいたいと思う人を求めてやまない姿にぐっときました、わかるなあと。学生時代はそれは友情であって友達を求めていく姿であるし、長じては恋愛でのずれ、結婚でのおおいなる齟齬、決断と後悔がないまぜになった感じがそれぞれの年代で色濃く描写され、この世界に引き込まれました。途中三歳のリンデが出てくるのですが、ここのみ満たされたリンデがいるというのもまた胸打たれました。孤独は底辺に流れていますがリンデの常に何かを求めていく姿が好きです。
読了日:7月28日 著者:本谷有希子
エレンディラ (ちくま文庫)エレンディラ (ちくま文庫)感想
堪能。短編もまた素晴らしいのだと改めて思いました。幻想的で魔術的で呪術的な世界。現実とそういう世界が並列に並んでいる、しかも登場人物がそれを平然と受け止めていることに感動すら覚えました。タイトルのエレンディラは他の作品に比べてやや長い中編ですが、一度読んだら忘れ難く、娼婦のエレンディラのラストに戦慄しました。また海底の村を描いた失われた時の海も大変好きでした、海に行くたびにこの物語を思い出すでしょう。木村榮一先生の解説もこれまた素晴らしく、エレンディラのみならず他の作品への温かい道標になっていました。
読了日:7月21日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
不変の神の事件 (創元推理文庫)不変の神の事件 (創元推理文庫)感想
妙な言い方ですが、のんびりとした気持ちになったミステリでした。古き良き時代のミステリで好きです。全編に漂うふんわりとしたユーモアにくるまれ、冒頭から死体を運ぶ車の中を見た、と大騒ぎの一般人が出てきます。更に車の中の人達と一般人がホテルで遭遇・・・。なぜこういうことになったのかという経緯がこのあと語られていきます。かなり初期のここで読者は犯人も動機も方法もすべてを知るのです。は?と思うところは多々あるには違いないのですが、それでもラストは驚きました、完全にミスリードされていたので。
読了日:7月21日 著者:ルーファスキング
犯罪は王侯の楽しみ (創元推理文庫)犯罪は王侯の楽しみ (創元推理文庫)感想
なんてたってアルレー。ところがこの本、全体が私の考えているアルレーっぽくないなあ・・と思いながら最初のうちは読んでいました。お金持ちの男が暇に飽かせて現金輸送車を襲うという計画を立て、その綿密な計画の元色々な人を動かしていく、ある時は脅迫である時は誘拐で。非常に映像的で話はわかりやすくするすると進みます。が!私はこのラスト2ページで(あーアルレー!)と思い直しました。特にラスト2行の衝撃。ここに至るまでのダブルダブルの妻の心理描写が非常に読ませます。ためらい迷い決心する、そして悔悟の念とがないまぜに・・・
読了日:7月21日 著者:カトリーヌ・アルレー
『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)感想
とても面白かったです。ベルばらファンはもちろん漫画とともに楽しめますが、そうでなくてもフランス革命に少しでも興味があれば入門の一冊としてわかりやすく紐解いてくれています。漫画で描かれなかったこと、描かれたけれど多少事実と違うこと、など細かいところが読ませどころでした。ベルばらを読んだ頃にこれがあれば片手にこの本、片手にベルばら、とできたのに、と今の人を羨ましいと思う気持ちでいっぱいです。
読了日:7月21日 著者:池田理代子
珠玉の短編珠玉の短編感想
作者の大ファンですが・・・この哄笑と諧謔のつまった一冊、私には合いませんでした、申し訳ありません。合う人にこの本が届きますように。
読了日:7月21日 著者:山田詠美
ジョイランド (文春文庫)ジョイランド (文春文庫)感想
ノスタルジックな物語。青年時代のひと夏の思い出、それは海辺の遊園地ジョイランドで大学生のデヴィンがアルバイトを始めたことによって引き起こされたことだった・・・。この話、失なった恋があり、友情があり、ホラーがあり、ミステリがあり、超常現象的なことがあり、たくさんの要素がふんだんにつまっていました。特に、デヴィンと二人の男女大学生の友情物語は読んでいて心地よく楽しかったし、デヴィンの新しい恋も胸をきゅっとつかまれたような気がしました。アンとデヴィンとマイクの三人場面が美しいこと。
読了日:7月12日 著者:スティーヴンキング
囀(さえず)る魚囀(さえず)る魚感想
虚実混ざった一冊。とても魅力的な出だしなのですが・・・
読了日:7月9日 著者:AndreasSéché
偽りの書簡 (創元推理文庫)偽りの書簡 (創元推理文庫)感想
当時のスペイン情勢を呑み込むのまでに時間がかかりました、そしてそれはこの物語に非常に重要な事柄なので最初の方で苦戦。また探偵役がこの二人になるというのが意外でありました。それならば、もっと早くこの二人を出せばいいのに、と中盤で思いました。アナが上流婦人たちに探りを入れるところとか、代書屋さんをして色々な階層の人に会うところとか、そういう細かいところは非常に好きでした。
読了日:7月9日 著者:ロサ・リーバス,ザビーネ・ホフマン
戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)感想
読んで良かった!と思った一冊でした。そもそもこんな風に戦争中にアメリカの図書館員たちが軍も巻き込んで戦地の兵隊さんたちに本を送っていたという事実すら知りませんでした。冒頭のヒトラーの焚書の顛末からおおいに引き付けられ涙し、そしてこれに対抗するように(事実対抗していたのですが)本を送り続けそして読み続ける兵士達。表紙の写真にも圧倒されますが冒頭の写真の数々にも心打たれました。そしてラスト、この戦地から戻ってきた人たちがどういう人生を歩むか、ここにも大きく戦地の本が関係しているところにもぐっときました。
読了日:7月6日 著者:モリー・グプティル・マニング
亀と観覧車亀と観覧車感想
申し訳ない、作者の大ファンでありますが、よくわかりませんでした。
読了日:7月6日 著者:樋口有介
帰って来たヒトラー下帰って来たヒトラー下感想
ラスト、私の予想があったのですが見事裏切られ、こういう結末に・・・。でもこの結末が非常にまた納得できるのです。ヒトラーの言葉にいちいち、えっと驚愕しながらも思わず引き込まれていく本でした。過去を踏まえつつの現代の演説もこれだったら人が惹きつけられるだろうなあ・・・と思わせるものでした。またラストの註は一般的な知識しかヒトラーにない私にはとてもとても読ませる註で、初めて知ったこともたくさんありました。この表紙も秀逸、髪型と髭だけで(髭はタイトルだし)ヒトラーと分かるなんて!さあ、映画館へ行きます~~!
読了日:6月30日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)感想
映画のために読み始めたのですが・・・いやあ・・・面白かったです。あのヒトラーがなんだかわからないけど現代に甦って、「彼の目」で現代のドイツの現状を見て憂えたり悲しんだり考えたりする、というある意味荒唐無稽な話なのですが、読ませます。ヒトラーが物真似している人、と捉えるマスコミと一般大衆側、と、本当のヒトラーとの齟齬が笑えました。わからないゼロのところから、ヒトラーの看破力のすごさからどんどん新しい知識を吸収していく、というところも読ませました。EUが問題になっている現在、更にこの本、楽しめます。(下巻へ
読了日:6月30日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)感想
大好き。二転三転の展開に取りつかれたように読み進めました。ある映画を思い出すし、このところのある小説も思い出します(だから話としては既存である話)。けれどこの話の面白いところは、こちらが(こうだろうなあ)と思っている展開と違う展開になっていくところ。小さな村にそれなりに暮らしている小説家のアランが隣人リーとのほのぼのとしたやり取りや、村の人たちの温厚な様子とか、最初をよく読んでおくと、後半で、ええええ!の連打が始まりました。しかし1965年に書かれた小説とは!そして小説家が書く小説の設定が2016年とは!
読了日:6月28日 著者:L.P.デイヴィス
魔法の夜魔法の夜感想
色々なものとか人が一気に動き出す月夜の魔法の物語。
読了日:6月28日 著者:スティーヴン・ミルハウザー
ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学感想
非常に刺激的であり読ませるエッセイでした。翻訳者という立場から、アメリカ文学を縦横無尽に語ってくれています、そこはかとないユーモアとともに。目から鱗という部分が非常に多く、どの文章も一つ一つ頷けたのでした。具体的な署名がたくさん載っているのでそこもまた魅力的、村上春樹にも言及していてその部分も膝を打つと言った感じでした。読んでみたい本がたくさんできて、更にはそれを読んでからもう一度この本を読んでみたいです。
読了日:6月28日 著者:藤井光
希望荘希望荘感想
最初から最後までページをめくる手が止まりませんでした。杉村三郎シリーズの最新刊。衝撃の結末のペテロの葬列以来なので杉村三郎がどうしているかという興味もありました。4編入っていますが、特に表題作の希望荘が秀逸でした。施設に入っていた父が人殺しをしたという告白を残して死んだ、その真偽は、という話ですが、なぜ彼が告白をしたのか、そしてこの中に出てくる人間の一つの姿に対する言葉など忘れない文章がたくさんありました、更にラストも含蓄ある終わり方。次の砂男も実に忘れ難い名品でした、想像していたのを超えていました。
読了日:6月24日 著者:宮部みゆき
ささやかな手記 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ささやかな手記 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
解説にあるように、どんでん返しとか派手なパフォーマンスのあるミステリではありません。じわじわじわじわと主人公と一緒に心を蝕むような監禁がこれでもかと描かれていきます。でも私はこの小説とても好きでした。妻を兄に寝取られ暴力をふるって刑務所に入れられたテオ。前半ある部分までは美しい山歩きでテオが徐々に人間の心を取り戻していき、そのあと老兄弟によって監禁され働かされるという絶望状況が始まります。とことん人間が堕ちていく設定がすさまじく、飼い犬になってしまう人間とそれでも生きていくことを選択する姿に戦慄しました。
読了日:6月21日 著者:サンドリーヌコレット,SandrineCollette
埋葬された夏 (創元推理文庫)埋葬された夏 (創元推理文庫)感想
20年前にイギリスの小さな田舎町で起こった一つの殺人事件。逮捕されたのは問題の多かった少女コリーン。20年後に弁護士に依頼され私立探偵のショーンが再捜査を始めるのです。現在と過去が交互に出てくるミステリで「誰が殺されたのか」というのは最後に至るまで全く分かりません。過去の学生生活場面が非常に読ませます、一人の転校生によって壊される友情、恋の行方、人を支配していく雰囲気がよく描けています。そして最後驚きました、こういうことだったのかと。惜しむらくは、ショーンがキャラクターとしてやや弱いように思いました。
読了日:6月21日 著者:キャシー・アンズワース
スクープのたまごスクープのたまご感想
出版社の週刊誌記者のお仕事小説。わかったこととかそうだったのか、というのは多くあったのですが。日向子があと一歩心に響きませんでした。
読了日:6月21日 著者:大崎梢
あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)感想
この素晴らしき本!エッセイの全てに奥ゆかしいユーモアがあり、涙もあり、根底には愛がありました。どの話もどうやったらこんなにうまく書けるのかと思うくらいにエッセイとしても短編としても素晴らしい作品でした。イスラエルに暮らすということ、日々自分がユダヤ人ということを認識するということ、その中で息子が生まれ、ゲットーを生き延びた父が癌のため余命いくばくもなくなり、優秀だった兄がいて、と強烈な家族の物語でもありました。ポーランドのゲットーから抜け出して食料を求めていた少女(作者の母)の話にも涙。奇縁の住居話も涙。
読了日:6月10日 著者:エトガルケレット
記憶屋 (角川ホラー文庫)記憶屋 (角川ホラー文庫)感想
都市伝説でもある人の記憶を消す記憶屋。記憶屋の有無をめぐって、大学生の遼一が探っていくのです、記憶屋は一体いるのかいないのか。そして探っていくうちに幼い日の記憶も鮮やかに甦ってきて。面白く読みました、現代の都市伝説の探り方ってサイトをめぐっていくのだなあというのも新鮮だったし、オフでその人たちに会うという手法もいかにも今、だし。最後多少の驚きもありました(予測していたものの)。が、物語とはいえ記憶がどの部分を消すのかという細かい設定をしてほしいと思いました。記憶って連続なのである記憶のスポットだけ消す?
読了日:6月8日 著者:織守きょうや
大きな鳥にさらわれないよう大きな鳥にさらわれないよう感想
冒頭の静かに外の温泉場で湯浴みをする女性集団、その傍らにいる子供集団の姿に圧倒されました。そしてこれが現在の日本とかではなくSF的世界であると分かった時に、非常に引き込まれました。この世界ではヒトが科目に属していて死なないとわからない(ネズミとかカンガルーとか)、ヒト同志交わらず工場で人や食べ物が作られている、見守りと呼ばれる人が存在。連作集で薄紙をはがすようにこの世界の成り立ちがわかってきます。ただ、私は途中で世界観にのめりこめず非常に微妙な気持ちになりました。この小説、詩なんだと思います。
読了日:6月8日 著者:川上弘美
タマゴマジックタマゴマジック感想
エッセイと小説のサンドイッチ(交互に出てきます)なのですが、このエッセイが不思議と効果を上げていて(日常で見る不思議な話が多いです)小説の方も楽しめたし、エッセイも楽しめたというお得感溢れる一冊でした。ものすごいガツン!はないものの、さくさくと読める恩田ワールドが広がっていました。ブリキの卵(小説)は、途中大いに盛り上げてくれました。また冒頭に魔術師(象と耳鳴り)が置いてあって懐かしい関根多佳雄に再会しました。最後の魔術師は地震後に書かれた作品で仙台の希望のようなものを受け取りました(関根春がここに!)
読了日:6月8日 著者:恩田陸
砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)感想
途中までは「高校で壮絶ないじめを受けている後輩女子」を救う先輩の男子の話と思いきや、途中で反転しました。いじめは表面に見えている小さな問題なのだと。もっと山のようにそびえる大きな問題があったのだと。あくまで玻璃を救おうとする清澄の姿が印象的です。ある作品とコンセプトが似ているなあと強く思いました。なんですが!ラスト20ページで?一応の解釈は出しましたが、まだ咀嚼しきれていません。あと、UFOとか、真っ赤な嵐とか、!!とか、特有な言葉遣いが連発するので私にはなんというか・・・。あ、尾崎姉妹はいいなあ。
読了日:6月8日 著者:竹宮ゆゆこ
たましいのふたりごと (単行本)たましいのふたりごと (単行本)感想
川上・穂村の両人と編集の方が出したお題に対して、二人が対談していくという趣向。一番の驚きは、作家と歌人が個人的に親しいということでした、違う雰囲気の二人だったから。でもこの対談を見ていると、二人の違っているところはもちろん大きくあるのですが、もしかして理解度ということで深く理解しあえる何物かが二人にはあるなあと思いました。二人の話、必ずしもぴったりと噛み合っていないのです、齟齬があるのです。そこが面白いと思いました。ただ・・・お題に対して、文章の多少があるのはなぜでしょう?ちょっと掘り下げが少ないかなあ。
読了日:6月6日 著者:川上未映子,穂村弘
ささやかで大きな嘘〈下〉 (創元推理文庫)ささやかで大きな嘘〈下〉 (創元推理文庫)感想
「誰かが殺された」というのは途中の会話文で間違いがないのに、最後の方に行くまで一体誰が殺されたのか、そしてもちろんのこと誰が犯人なのかというのもわからず、状況もわからずという構成が面白かったです。しかも途中で私は違った人が殺されたと思い込み(あーあ)と思い込みました。それぞれの秘密を抱えたデスパレートな妻たちじゃなくて(このドラマをちょっと思い出した)、ママ友たち。予備知識ゼロであらすじも見ない方が楽しめると思います。私は驚きました、この事件の全貌が見えた時に。そして爽快でした、読み終わって。
読了日:6月6日 著者:リアーン・モリアーティ
ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)感想
微妙かなあ・・・と思いつつ(ママ友トラブルから発展した殺人事件の話という事前情報)、読み始めたら、これが意外に面白かったです。ママ友トラブルは海外でもあるんだなあ!と感心していましたが、そこよりも、それぞれのママの生活が浮き彫りになっていって、ついでにその人の性格もくっきりと現れていて、すぐに誰が誰かというのが頭に入りました。公立なんだけどいわゆるセレブ幼稚園に一人のシングルマザーの異分子がやってきた・・・。なぜ彼女はここに来たのか。彼女の子供は本当にいじめをしているのか。そしてなによりも、(以下下巻に)
読了日:6月6日 著者:リアーン・モリアーティ
SFのSは、ステキのSSFのSは、ステキのS感想
楽しい~!池澤春菜なのでほとんどSFまみれの本ですが、本の話だけではなく彼女の日常もまた描かれています。SFの知らない本が出てくるとばしばし読みたくなるし(そして一緒に笑いたい、引用で多分笑いがあるんだけど知らないのは笑えないという悲劇が)読んでいる本だと、そうなのよそうなのよ、とほっこりしていました。何しろ註(用語解説)が素晴らしくてじっくり読ませていただきました。いい意味でのオタクワールド全開で、彼女らしさの溢れた軽妙な文章でした。乙女の読書道も楽しいけど、COCOさん付きもいいな!ピンクの紙も重要!
読了日:5月30日 著者:池澤春菜
古城ゲーム (創元推理文庫)古城ゲーム (創元推理文庫)感想
読ませはするし、若者達が14世紀を疑似体験する体験型ゲームに入る、という魅力的なストーリーなのですが。どちらかというと、ミステリ部分は薄いと思いました。それぞれの若者が秘密を抱えていて、それが大きくこの物語に関係していきます。あるところで意外な真相はわかるのですが・・・そして私はごめんなさい、乗り切れませんでした。決してつまらなくはないんだけども!も!
読了日:5月30日 著者:ウルズラ・ポツナンスキ
バトル・ロワイアル 下   幻冬舎文庫 た 18-2バトル・ロワイアル 下 幻冬舎文庫 た 18-2感想
クラス内のお互いの立ち位置、知力、体力、人望のようなものが全てこの殺戮ゲームに関係しているというところが非常に読ませました。特に秋也グループは思わず頑張れ!と応援したくなる三人組。女子委員長のグループの場面は印象的でこの話の中でも際立っていました。三村班と秋也班が合体すればなあ、とずうっと思っていました。桐山の怖さがひたひたと迫ってきました。杉村の切ない話も大好き。ただ、文章とか、人によってあと一歩内面を描いてほしいという人がいたり、難はある作品だと思います。でも作品から熱のようなものが伝わってきます。
読了日:5月25日 著者:高見広春
バトル・ロワイアル 上  幻冬舎文庫 た 18-1バトル・ロワイアル 上 幻冬舎文庫 た 18-1感想
初めて読みました。そしてとても面白かったです。ただただスプラッタ的に人が死んでいく話、と思って敬遠していたのですが、実はSF学園小説であり(架空の国の架空の統治になっている)、中学三年生の子供達のそれぞれの背景などが際立ってぐいぐいと読み進めました。修学旅行中にバスごとの拉致である島に来た一つのクラス。そこで殺戮を始めろと言われる。今の目で読むと、ハンガーゲームに似ているとも思いましたが、大きな違いは、これは『日常生活を知り尽くしている教室の子供達』がお互いに殺戮しあう話だ、ということだと思います。
読了日:5月25日 著者:高見広春
太陽がいっぱい (河出文庫)太陽がいっぱい (河出文庫)感想
贋作の前に再読。この話、アラン・ドロンの映画と比べると、きっちりトムがゲイであるというのを打ち出している、とまず思いました。トムのディッキーに対する屈折した愛憎の思いが心理描写として非常に細かく描かれていて物語としての厚みがありました。白眉は、これは映画でも印象深い場面ですが、洋服ダンスからディッキーの服を着て自分に見惚れる場面です。ここをディッキーに発見され気持ち悪がられる、一つの分岐点だと思いました。またマージの存在も大きく、彼女がいるがためにトムになったりディッキーになったり。ラストに唖然。
読了日:5月22日 著者:パトリシアハイスミス
十五歳の課外授業 (集英社文庫)十五歳の課外授業 (集英社文庫)感想
なんだかっ!理解できたのでしょうか、私。この作者の作品いつもいつもこういう感じで自分の中で終わっています。つまらなくはないのです、一種の青春物語で、恵まれた環境の十五歳の卓郎が非の打ちどころのない美人女子に愛されるという男子にとっての夢物語です。その青春部分に、冴えない教育実習生が来るというところから話が展開していきますが、後半ぐるっと話が変わっていきます、そして卓郎も変わっていきます。ミステリ要素もあり。メッセージ性もあり。が・・・下ネタっていうか下半身っていうか、そうところが多いのが私はちょっと。
読了日:5月22日 著者:白河三兎
ロマンティックあげないロマンティックあげない感想
とても面白いエッセイでした、私には。折々に大爆笑し納得しつつ読み終えました。著者がいい意味でオタクなのです。フィギュアスケートを見ていてのちょっとした考察、映画のマッドマックスへの愛、ある舞台への中毒っぷり、そして最初と最後に出てくるテイラー・スウィフト愛。映画とか海外ドラマとか本とかファッションとかそういうものに目が向いている人なら、わかるわかる!の連続だと思います。前の本についてのエッセイも楽しかったし、ここで著者の小説(英子の森、スタッキング可能)をもう一度読んでみたい、と強く強く思いました。
読了日:5月15日 著者:松田青子
世界の不思議な図書館世界の不思議な図書館感想
奇妙な感動すら覚えました、色々な不思議な図書館に。普通の図書館も勿論含まれていますが、ラオスとかバングラディシュなどの開発途上国の図書館も含まれていて、本を運ぶのが象だったり船だったりしているのを見て、そしてそこで目を輝かせている子供達の姿に涙が出ました。またアメリカの電話ボックスの中の図書館とか、カンザスの図書館の駐車場の壁が本の巨大な背表紙とか(セレクトが非常に良い)、面白く見ていました。図書館、を見るというよりも、その周辺で図書館を楽しく使う、真剣に本を読む人たちの姿に心打たれる、そういう本でした。
読了日:5月14日 著者:アレックス・ジョンソン
教場2教場2感想
面白く読みました。教場という警察学校の話に私自身が前の本から比べると慣れたからかもしれません。風間という厳しい教官がなにも見逃さないのがお見事で、話は警察学校の内部の話なので見えにくいのですが、日常の謎系だと思います。ただ非常に苦い味わいの結末もあります。厳しい世界で鍛え抜かれた警察官の人たちの姿がくっきりと浮かび上がります。医師から転身した桐沢という異色の経歴の持ち主が群像の中で何度も出てきてひときわ目立ちました。まだ風間のこれまでの経歴の謎というのは出ていないので、楽しみにしています!
読了日:5月14日 著者:長岡弘樹
GONE ゴーン 下 (ハーパーBOOKS)GONE ゴーン 下 (ハーパーBOOKS)感想
ゴーンシリーズの第一弾ということで、ここで終わりというのが悲しいです・・・続編お願いします・・・。善側のサムの苦悩と段々増していく指導力を見るのが楽しみで、天才少女アストリッドが自閉症の弟を庇う姿に涙し、ケインの邪悪さの源って何だろう?と思い、ドレイクにおののき、クインの人間らしい心の揺れ動きに心奪われ、拒食症のマリアが子供達を見る姿に涙し(この子大変だと思います・・・)、あの二人の過去にはいったい何があったのか、原子力発電所のあるこの町に何が起こったのか。知りたいものです。
読了日:5月6日 著者:マイケルグラント
GONE ゴーン 上 (ハーパーBOOKS)GONE ゴーン 上 (ハーパーBOOKS)感想
小松左京のお召し、を思い出しました、同時に、アンダー・ザ・ドームも、蠅の王も。ある日学校で突然大人が消滅してしまい、子供だけの世界に。当然善側の子供と悪側の子供との間で闘争が起こり、階級社会が出来上がって・・・・。プラス、様々な超能力を持つ子供達の苦悩というのも語られていて読ませます。登場人物の中で淡々とマックでバーガーを作っているアルバートの姿にいつも癒されました。下巻に続く。
読了日:5月6日 著者:マイケルグラント
忘れな草 (創元推理文庫)忘れな草 (創元推理文庫)感想
丸美中毒なのでしょうか・・・私。雪の断章から二冊目。必ずしも読みやすいとは言えないし後味悪いのですが・・・。ここでは二人の少女(またしても孤児!)が大企業の継承権をめぐっての駒にされている物語です。突っ込みどころは大いにあって、こんな所に軟禁状態でいいのか、とか、クールな高杉の立ち位置は微妙、とか。でもでも、雪の断章のトキさんがこう考えていたのかというのが再登場で見えているのと(同時進行です、雪断と)、私のご贔屓史郎さんが後半で思いもかけぬ登場をするので、そこで満足。
読了日:5月6日 著者:佐々木丸美
カエルの楽園カエルの楽園感想
カエルが主人公の寓話。
読了日:5月6日 著者:百田尚樹
雪の断章 (創元推理文庫)雪の断章 (創元推理文庫)感想
初めてのの佐々木丸美作品。今現在大人になって読んだのと、自分が10代に読んだらどうなのかというのは全く違うと思います。いい意味でも悪い意味でも『毒』のある作品だと思います。天涯孤独な少女と心ある青年の心象風景が、札幌の街を背景としながら叙情豊かに語られていきました。独特の文章で好み分かれると思います。
読了日:4月30日 著者:佐々木丸美
書店主フィクリーのものがたり書店主フィクリーのものがたり感想
本好きの心をつかむキーワードに溢れている本でした。
読了日:4月30日 著者:ガブリエル・ゼヴィン
グランドフィナーレ (ハヤカワ文庫NV)グランドフィナーレ (ハヤカワ文庫NV)感想
映画を見たので、その場面場面の確認のために読んでみました(映画は好みはわかれる映画ですが、私は非常に好きな映画でした)。これは原作ではなく「監督が映画を小説化した作品」なので忠実に映画をなぞっています。スイスの高級ホテルに、かつての有名作曲家とか有名監督とか有名スターとかが集う・・・・エピソードの連なりがあり、そのエピソードを改めて読み直して満足しました。ただ、単体よりも映画の後に、または映画の予習のために読むとより一層深みが増すと思いました。
読了日:4月30日 著者:パオロ・ソレンティーノ
ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日 (幻冬舎文庫)ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日 (幻冬舎文庫)感想
頑張れ!と応援している、どちらかというと好きな作家さんです。話は、作家志望の女性が祖母のお葬式で故郷に戻る、旧友に会うというところから始まります。正確に言えば、その前にプロローグでよくわからないスイカの中のおぞましい幻影を見るところから始まって・・・。人の名前がわかりにくかったかなあ・・・でも、読ませます。それぞれの連作が苦い味わいなので好き嫌い分かれると思います。途中のミステリ小説とかミステリの話は楽しめます。ラスト、あ!とは確かに思ったし驚きはしたのですが・・・・もやっと感がちょっぴり残りました。
読了日:4月24日 著者:彩坂美月
心理療法士ベリマンの孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)心理療法士ベリマンの孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
心理療法士であるシリ・ベリマン(女性)が患者と向き合う傍らで何者かから脅迫を受けていて、段々それがエスカレートしてついに一人の患者が殺されるという事態に。読ませるのですとてつもなく。特に心理療法の部分は患者とのセッションが読ませます。ミステリとして見た場合、犯人像のインパクトが今一つ大きくないように私は思いました。ベリマンの心の秘密も徐々に提示されていきますが、ここも割合想像の範囲内。前半から後半に至るまでどちらかというと静謐なのにラストのばたばたっとした感じが・・・。
読了日:4月23日 著者:カミラ・グレーベ,オーサ・トレフ
世界を動かす巨人たち <政治家編> (集英社新書)世界を動かす巨人たち <政治家編> (集英社新書)感想
政治家編で、今現在の6人の政治家たちの生い立ちから思想からを語ってくれている本でした。池上さんらしく相変わらず平易に語ってくれて、ちょっと興味を持っているけれどどこから入っていいかわからないよという人向け。とてもわかりやすいです。テレビで散発的に語っていることとかぶってはいるのですが、本なので何度も納得するまで読み込むことができる利点がありました。個人的には、プーチン、エルドアン、アリー・ハメネイの項が知らないことも含めて非常に刺激的に面白く読みました。
読了日:4月23日 著者:池上彰
あの日あの日感想
読み終わってもなお、よくわかりませんでした。スタップ細胞ってあるのでしょうか?ここが解明されない限りは・・・・。確かに嫉妬とかはめられた部分とか加熱したマスコミ報道とか実際にあったとは思います、実名をこれだけ出して糾弾しているのだから。ただ・・・なんとなく心の中でもやもやがあるのは、これは著者側の話、なので別サイドの話というのも読んでみたいという気持ちがあるからだと思います。
読了日:4月23日 著者:小保方晴子
体の贈り物 (新潮文庫)体の贈り物 (新潮文庫)感想
数年前に読んで号泣したのですが、今回再び読んでみてまた号泣。ただ解説にもあるようにこの短編集の良さ、非常に説明しがたいです。死を目前に控えた患者と向き合っていくホームケアワーカーの視点で語られていく話、なのです。もうここだけで暗いっと思われそう。でも違うのです、それぞれの贈り物の構成が見事だし、死を通じて「生きる」とは何かというのを語ってくれています。ゆるやかに登場人物もあちこちに散見されます(それがまた病状変化でぐっときます)。特に動きの贈り物の最後の光に満ちたラストが素晴らしく涙が止まりませんでした。
読了日:3月18日 著者:レベッカブラウン
シンドローム (ボクラノSFシリーズ)シンドローム (ボクラノSFシリーズ)感想
ある日謎の物体が山のふもとに落下するのをクラスの全員が見ていた・・・ここから物語はスタートします。触手が出たり、陥没が始まったりと、SF小説の趣を持ちながら、その実しっかり青春小説であって、自意識の非常に高い屈折した思いを持つ一男子高校生の理屈の捏ね回し方がすごいと思いました。女子の久保田への思い、現実的な平岩との三角関係、なんでもかんでも映像に置き換える頭脳の持ち主倉石と登場人物も多彩です。非日常から日常、そんなに距離はないのかも。あと挿絵が素晴らしく、文章と一体感のある挿絵でした。ただ人は選ぶかも。
読了日:3月16日 著者:佐藤哲也
死体泥棒 (ハヤカワ・ミステリ文庫)死体泥棒 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
シンプルプランと出だしのあたりはとても似ていると思いました、飛行機事故の中からあるものを取り出してお金にしようとする・・・こちらの方が途中まで単独で全く孤独ですが。あと暑いし。読ませるし話の転がり方は面白いのですが、どこもかしこも適当すぎる感じが・・・・。ブラジルミステリ(ドイツで賞を取ったらしい)初めてだと思いますが、熱気と偏狭の地の怖さは(ブラジルでもボリビアに近い地域)印象的ですが、ラストまで読むと、あれは?これは?と疑問がふつふつと沸いてきました。
読了日:3月16日 著者:パトリーシアメロ,PatriciaMelo
ドルフィン・ソングを救え!ドルフィン・ソングを救え!
読了日:3月12日 著者:樋口毅宏
殊能将之 未発表短篇集殊能将之 未発表短篇集感想
未発表作品3作とデビュー当時の様子を友達に送った「ハサミ男の秘密の日記」が収録されています。どれも、くすっと出来るユーモア、どこか物悲しい感じ、最後ちょっと驚く展開と、作者の原点があると思いました。鬼ごっこが私は一番面白くて、「その筋の方」に追われている誰かの物語と思っていたら最後、(こ・・・こういうこと?)と度肝抜かれました。ハサミ男の秘密の日記は、受賞当時のてんやわんやがしのばれます。お亡くなりになられたのがつくづく惜しまれます。
読了日:3月12日 著者:殊能将之
謎の毒親謎の毒親感想
毒親。しかも謎の毒親。作者の実体験というので驚愕しました。少女の頃からの親からの罵声とか、意味のわからない叱責とか、友達への干渉とか、体へのタッチ。虐待、ではないところがなんとも言えません。相談と言う形式をとっているのが巧いし、その答えと言う形になっているのも巧いと思いました。読ませるのです、こんなことあり得るの?と思いつつも。辛いのは、両親ともにそういう親であると言うことと、一人っ子で目撃者が他にいないということだと感じました。異常な行いが一人以外誰にも理解されていない信じてもらえない怖さがありました。
読了日:3月7日 著者:姫野カオルコ
異類婚姻譚異類婚姻譚感想
面白かったです怖いけど。夫婦でよく顔が似てくるという通説のようなものがありますが、この物語はそれを越えての物語でした。何かに取り付かれたようになってくる夫、違和感を覚えつつ夫の顔の目鼻口がせわしなく動くのをじいっと見るサンちゃん、そして猫の尿害に困っているキタエさん、と登場人物も多彩で会話も読ませます。自分の夫がなんだかわからないものになっていくぬめっとした感覚が非常に私は高くかえました。ラストどうしめるんだと思ったらここも驚きました、このしめかたかと。残りの作品の中では犬たち、が好み。ラスト一行に仰天。
読了日:3月7日 著者:本谷有希子
放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)感想
あ、好きだなと思った一冊でした。日常の謎を友人の彼氏の親友がさりげなく解いていく、と言う福岡が舞台の物語で、円紫さんシリーズのパターンを思い出しました。謎そのものは日常の謎なので強烈なものではありません。だけど学生生活がとても魅力的なのです、学園祭での劇のひとこま、親友との待ち合わせ、その親友の彼氏の友達とダブルデート、席替えでの出来事、と友人達との会話も含め、読んでいて楽しめました。惜しむらくは、あと一歩親友朝名の内面を描いて欲しいということです。ラスト、あることでとても驚きました。シリーズ化希望。
読了日:3月7日 著者:吉野泉
自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)感想
とても面白く読みました。心理学の本なのですが、練習問題がありそれに自分の中で回答を出して次のページに行くとそこに正解とそれをなぜこうなったかという脳の思考の癖のようなものがわかります、同時にそれがどう心理学で名づけられているかと言うこともわかるようになっています。それぞれの章タイトルが有名作品をもじっているもの、またはそのままのものが多くそこも笑えました(対称の耐えられない軽さ、とか失われた時を求めてとか、高慢と偏見とか)。自分の脳の動きってわかっていると思っても曖昧だったのだなあ・・・・
読了日:2月29日 著者:池谷裕二
鏡の国のアリス (新潮文庫)鏡の国のアリス (新潮文庫)感想
連続で読んでみて、こちらの方が慣れてきたせいもあるのだろうけど、私は好きかもしれません。チェスが基盤になっていて(そこはおおいに不思議~とは違う)、それはそれはハチャメチャな出来事が繰り出されていく、というのは不思議~にも通じるのですが、最後の方で話がまともにアリスと通じる白の騎士(騎士なのでチェスの駒)が貴重な存在です。ハンプティダンプティ、双子、ぐるぐる回ってしまうお茶会など印象深い場面も多々ありました。アリスが途中で、自分の今の状態が王の夢の中?と自問自答するところが非常に面白く思いました。
読了日:2月29日 著者:ルイスキャロル
不思議の国のアリス (新潮文庫)不思議の国のアリス (新潮文庫)感想
ディズニーとか子供向けは知っているけどちゃんとしたのは読んだことがないなあ・・・と思って手に取りました。穴に落ちていくところが長いのでまずびっくりして、そのあとも言葉遊び、ナンセンス荒唐無稽な出来事の数々、次々と出てくる生物と読み進めました。ナンセンスがやや苦手な私としては、途中でうっと詰まったところも多々ありました。この本、たくさんの訳が出ていますが、大好きな矢川澄子訳というのと、あとテニエルではない金子國義の魅力的な挿絵に惹かれ新潮文庫にしました。
読了日:2月29日 著者:ルイスキャロル
Xのアーチ (集英社文庫)Xのアーチ (集英社文庫)感想
難解、だと思います、少なくとも黒い時計の旅より。でもこうしてメモを取りつつ読み終わってみる、とエリクソンの幻視が非常に楽しかったということに気付きました。時制が飛び、人も輪廻転生のようにあらゆる場所に出てきます。最初は美貌の黒人奴隷のサリーが、トマス・ジェファーソンの愛人になる、そして奴隷制のないパリに一緒に行って、パリに残るかトマスと行動を共にするかという二者択一を求められます。このあと、場所と時制の転換点があり、未来都市に行くのです。最後は混沌としているベルリン。どこにもサリーがいてラブがありました。
読了日:2月29日 著者:スティーヴエリクソン
部屋 下・アウトサイド (講談社文庫)部屋 下・アウトサイド (講談社文庫)感想
監禁という重いテーマもあるのですが既存の監禁物とは違います。そこでの残虐非道な監禁というよりも、その後、がとても大きなテーマだと私は感じました。見るもの聞くものが全てはじめてというジャックの無垢な心がこちらにぽんと飛び込んできます。当たり前と思っていたものが全てジャックの眼と耳を通すと新鮮で驚きに満ちたもの、に映ってくるのです、自分自身も新たな目で外を見たくなります。上巻に小さくインサイド下巻にアウトサイド。ラストで、アウトサイドにいるママとジャックとのお互いの精神的分離の姿にもおおいに胸打たれました。
読了日:2月29日 著者:エマ・ドナヒュー
部屋 上・インサイド (講談社文庫)部屋 上・インサイド (講談社文庫)感想
映画になるというので(そして予告の映像がとても良さげ)読み始めました。事前情報が入ってしまっているので、最初のほうの語りがどういう状況かというのがわかってしまっているのが我ながら惜しかったです。けれど、それがわかっていたとしても。一人の男の子ジャックとママがある部屋にいて規則正しい生活をしていて、勉強もして体操もして、ご飯も食べて。なんだか楽しそうでというのは上巻でとても伝わってきました。大好きなママと一緒の楽しい生活は絶望と隣り合わせで。映画のライフ・イズ・ビューティフルを強烈に思い出しました。
読了日:2月29日 著者:エマ・ドナヒュー
真実の10メートル手前真実の10メートル手前感想
ジャーナリストの本質を問うていたような王とサーカスに通じるミステリ短編集。小気味良いテンポで進んでいく物語がどれもラストに至る道筋で、はっとさせられました。いつでも太刀洗万智の目が澄んでいるのです。表題作は真実を色々な物から探り当てていくシャーロック・ホームズのような過程が読ませます。「正義漢」も大好きで電車の飛び込みの場面から始まり、その視点が変化する面白さを味わいました。「ナイフを失われた思い出の中に」はミステリそのものもですが、太刀洗と行動を共にする人に注目しました。「名を刻む死」も心に残りました。
読了日:2月18日 著者:米澤穂信
羊と鋼の森羊と鋼の森
読了日:2月18日 著者:宮下奈都
少女の時間 (創元クライム・クラブ)少女の時間 (創元クライム・クラブ)感想
ちゃんと殺人事件もあるミステリなのですが、兎にも角にも永遠の38歳の柚木草平の格好良さが前面に出ていて、なぜ彼がモテモテなのかというのが痛いほどわかりました。本当に素敵。会話も素敵だし佇まいも素敵だし、美女に囲まれる柚木草平にぼーーーー。娘の加奈子ちゃんも永遠の12歳。もうこれだけでこの小説読んだ甲斐が私はありました。ただ、ミステリ部分については、ちょっとだけ浅いかなあ。あ、でもそれはもういいんです、草平ちゃんがいれば!ぼーーーーーー。シリーズで読み落としている作品があるので是非読みたいと思いました。
読了日:2月15日 著者:樋口有介
消滅世界消滅世界感想
最初この世界面白い!と冒頭から少しの間のめりこむようにして読みました。が、途中で失速・・・、ごめんなさい。夫婦で関係を持つのが近親相姦の世界、二次元のものを愛するのは正当な行為、子供を人工授精で生む、ちょっとだけ現在とずれた世界なのですが、現代世界ともちょっとだけリンクしていることが多く見受けられます。ただ、次々とこの世界の「決まりごと」が出てくるあたりで妄想についていけず、ラストの方で唐突に(と思える)新しい実験都市が出てくるあたりで、は?唯一正常と思われるお母さんの末路も・・・なんだか・・・。
読了日:2月12日 著者:村田沙耶香
黄昏の彼女たち〈下〉 (創元推理文庫)黄昏の彼女たち〈下〉 (創元推理文庫)感想
下巻である大きな事件が起こるのですが、犯人側の気持ちの移ろい、ジレンマ、葛藤というようなものが裁判場面とともに心に染み込んできました。特に後半、犯人もそして読者も全く予想していなかった意外な展開が待ち受けていました。 美しい印象的な場面も数多く、特にスケート場面は心が寄り添っていく様を見事に描いている場面でおおいに堪能しました。誰かと誰かが愛し合った事で周囲の人が傷つく。周囲の人が傷ついた状況(事後)と、ただ二人の世界で愛し合っていた状況(事前)とは世界が違ってしまっていると言うのを痛感しました。
読了日:1月31日 著者:サラ・ウォーターズ
黄昏の彼女たち〈上〉 (創元推理文庫)黄昏の彼女たち〈上〉 (創元推理文庫)感想
猛烈に私好みの小説でした。文字数が多いのと卓越した心理描写の上下巻なのでやや読むのに時間が掛かりますがこの時間の豊穣なことと言ったら!上巻と下巻と趣が違いました、上巻は愛の物語、そして下巻は実に意外な展開が待ち受けていました。戦争後の生活苦のため、上流階級でありながら部屋を貸すことになった母と一緒に暮らしているフランシス、そこに下宿人として現れる美しい若い夫婦。最初の出会いから家の中の共有スペースで折々に出会い、それに慣れないフランシスの姿が途中で変貌してくるのです。喪失感をどの人も持っている物語。
読了日:1月31日 著者:サラ・ウォーターズ
Ker 死神の刻印 (集英社文庫)Ker 死神の刻印 (集英社文庫)感想
ある意味病んでるダークヒロインのヤナの姿がどうしようもなく人を惹きつけるのです。女性検事として冷静沈着であるヤナ、人と交わらないクールなヤナ。でもヤナが崩れ落ちるくらいに動揺する事件が起こるのです。途中で非常に驚いたヤナの行動があるのですが、それをもぶっ飛ばすくらいに後半勢いがありました。警察の中の人達も生き生きと描かれ、折々に挟まっているコンテナの話から続く物語が胸詰まりました。過去にようやく対峙するヤナのこれからを読みたいので、是非是非続編を訳していただきたいものです。何度か首筋を私は撫でました・・・
読了日:1月20日 著者:エメリーシェップ
世にも奇妙な君物語世にも奇妙な君物語
読了日:1月20日 著者:朝井リョウ
カールの降誕祭カールの降誕祭感想
面白い。淡々としたいつもの短い文章の中に、「悪い予測」というのをひしひしと感じました。それがもしかして悪い予測でしかなく、勝手に胸をざわつかせていたのかも、と思った瞬間にどかん!どの話もとても良かったのですが、表題作が一番ラストまでの展開に引き込まれました。版画とも合っていて、本当にブラッククリスマスプレゼント。
読了日:1月19日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
新訳と言うことで本当に久々に熟読。おおいに楽しめました。スタイリッシュな都会の雰囲気は今の世の中でも健在で、しかもただ一人の幻の女が見つからないために死刑になりかけている男、のありさまがあまりにこちらの心に突き刺さりました。たまたま町で出会った名前を知らない女性とお酒を飲んだり、食事をしたり観劇をしたりする・・・このあとの悲劇を考えると読み込んでしまいました。奥さんの笑い、というのが今回読んで一つのキーポイントと思いました。しかしラストの驚愕(犯人もですが、それよりも幻の女)と言ったら!
読了日:1月18日 著者:ウイリアムアイリッシュ,WilliamIrish
キャロル (河出文庫)キャロル (河出文庫)感想
映画を見る前にさくっと。「あの」ハイスミスなのですが、サスペンスでも意地悪な視点の物語でもなく、二人の女性の強烈な恋愛小説でした、どきどきするくらいに切ない(そしてわかる)二人の出会いの場面から、お互いどうしようもなく惹かれあっていく様子までが克明に描かれています。途中、なぜかページをめくるのが怖かったのは、破綻が見えている二人の愛の悲劇性をずうっと遠くに見ていたから。恋人がいようと、子供がいようと走っていくような二人の愛に心打たれました。そしていい意味でラスト驚愕!ハイスミス、やるな!!
読了日:1月18日 著者:パトリシアハイスミス
ポアロとグリーンショアの阿房宮 (クリスティー文庫)ポアロとグリーンショアの阿房宮 (クリスティー文庫)感想
全く知らないで、死者のあやまち、と途中で気づいて・・・・(原型の中篇です)。でもこの話、大好きなので全てをわかっていても楽しく読めました。ただ・・人物像があと一歩なんか欲しい、だから死者のあやまちはそういう意味でとても良い意味で膨らんだミステリだと思いました。作品そのものは死者のあやまちを読んだほうがいい気もしますが、クリスティー研究家のジョン・カランの解説がとっても貴重で読ませます。
読了日:1月18日 著者:アガサクリスティー
夕暮れ密室夕暮れ密室感想
青春ミステリ部分は好き。でもでも殺されちゃった女の子が、なんでこんなにモテモテなのか、というところがよくわからなかったです、だって出てくる場面があまりに短いから。そしてそのあと語ってくれる人達の言葉でも絶賛は出てくるんだけど、なんで?というのがよくわからなかったです、最後まで。単純に元気で可愛かったから?謎解きが多重で出てくるのですが、これがムラがあるのも惜しい。ちょっと長くて惜しい。すごく良くなりそうなのに、なんだかかんだか惜しい。
読了日:1月18日 著者:村崎友
追いかけるな 大人の流儀5追いかけるな 大人の流儀5感想
伊集院先生ファンなので大喜びで読みました。このシリーズも毎回襟を正したくなります。無頼でしかもおしゃれで、男として格好いいなあ・・・・と憧れます。言っている事のわずかなブレもないので、読ませるのかも。
読了日:1月18日 著者:伊集院静
さようなら、オレンジ (ちくま文庫)さようなら、オレンジ (ちくま文庫)感想
今まで読んだ本と毛色の違う本を読んだという印象でした、そして本当に読んで良かった。一見、二人の英語の出来ない人の自分探し、の本に見えますが(実際葛藤しているし)、実は人間にとって母国語とは何か、否、言語とは人間にとって何か、という非常に深い物語のように見えました。片や元難民の語りと、一方で日本人女性が大学の先生の夫についてやってきたオーストラリアの語りと、が交錯しています。途中で英語の手紙の文章であまりに悲惨で泣けました。割合初期で名前の不思議に気付くのですが、ラストそのわけがわかってまた涙。
読了日:1月18日 著者:岩城けい
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集感想
もしこれを村上春樹の名前を伏せて出したとして。年齢を間違えると思います、それほど文章から「若さ」が伝わってくる一冊でした。村上春樹の紀行文集、久々でしたが、変わってないなあ・・・というのが強い印象でした。ボストン、アイスランド、アメリカ、、ギリシャ、フィンランド、トスカーナ、熊本と日本も含めて多彩ですが、どこの土地に行ってもやっぱり村上春樹がいるのです。彼流の切り取り、彼流の物事の考え方。特にかつて住んだ場所の再訪というのは作者にとっても思い入れが深いものだと実感しました。写真も豊富で楽しめた一冊でした。
読了日:1月18日 著者:村上春樹
私的読食録私的読食録感想
面白い!堀江敏幸が指摘しているように、二人の読書のスタンスは違うのです、どちらに惹かれるか、というとそれはもう私は角田光代でした。スクエアな切り取りの堀江敏幸のお勧め本は「読んでみたいけれど、いつかね」の感じで、角田光代の方は、「一刻も早く読まねば、または再読しなければ!」と思わせる新たな視点の書評でした。食べ物が出てくる物語、として特化していますが、どの本もそれ以上のところに深化しています。とりあえず伊集院静のクレープを是非読みたいと思いました。danchuで連載中と言うことで次まとまるのを待ってます。
読了日:1月18日 著者:角田光代,堀江敏幸
戦場のコックたち戦場のコックたち
読了日:1月18日 著者:深緑野分

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