評価 5

た・・・楽しい!!楽しすぎる!!このミステリ!!
どうなんだろう、私の苦手とするコージー&ユーモアミステリに入るんだろうかこれって?
もしそうだったら私の苦手じゃないコージー&ユーモアミステリだ。
寄宿学校生の少女たちをめぐる極上のミステリになっている。

まず少女たちの生き生きしているところがとてもとても読んでいて楽しい。
しかもそれぞれの分野(?!)で難事件にあたるというところが微笑ましい。
難事件、と書いたけれど、実際には難事件を糊塗したことをいかに続けていくか(つまり死体を隠したのだ)ということに全員が腐心する。
なぜなら、この少女たち全員が、『多少この寮に問題があったとしても、家には帰りたくない事情』を抱えている少女達だからだ。
それは、最初のこの物語には登場しない、少女たちの親戚及び知り合いたち、の項で語られる(ついでに言えば、もうここからして抜群に笑えるし導入としては秀逸の導入になっている)
だからこの少女たちは、警察が介入することによって、全員がばらばらになり帰りたくもない家に帰されるということを最も恐れているのだ。

聖エセルドレダ女学院には12歳以上の少女7人が寄宿学校生として勉学に励んでいる。
ある日夕食の席で、校長先生とその弟が突然死んでしまった。
この謎を解く前に、まず二人を片付けてしまわないと、全員が帰りたくない家に帰らされることになる。
苦肉の策で、埋めてしまうことにしたのだった・・・・


少女は7人いる。
キャサリンは、気転のキティ。この中で一番目立ち、屋台骨を背負ったという形になる少女。
メリージェーンは、奔放すぎるメリージェーンで、男好きでどの男の子も魅了されてしまうテクニックを持っている、早熟な少女。
ロバータは、愛すべきロバータで、ひょろひょろと背が高く気はきかなないのだが、おっとりしていて親切心があり裏表がない少女。
マーサは、ぼんやりマーサで、人に騙されやすいが歌声が素晴らしく優しい少女。
アリスは、たくましいアリスで、寛大さに富んでいる少女。
エリナは、陰気なエリナで、異常に死とか葬儀と死体に関心を持つ少女。
ルイーズはあばたのルイーズで、器量は良くないが、科学への豊富な知識と関心があり一番小さい少女。

この中で、アリスの演技の才能が思わぬところに眠っていた、と言えるだろう。
なぜなら、アリスは死んだ校長先生のたくましさと似ているのでメイクをして彼女に成りすます。
ありえないだろう~とは思うものの、話の妙に惹かれてついつい本当にある?あるかも、あるだろう、に心が変化していくのが不思議だ。
うまく医者とか手伝いの人を騙せたことに調子づいて、最初はベッドに眠って声をまねしているみたいな感じだったのに、いきなり外に出ていくというところまで発展するのが笑えるし、ここまたあり得ないんだけど、騙されてあげようという気持ちにすらなる。
しかもアリスはこのために自分が気に入った男の人との逢瀬を犠牲にする精神も持っている(この恋愛模様もほのぼのとしていてそれでいて笑える)

恋愛もこの中に入っているし、あくまで死に対する興味が失せないエリナに笑った笑った!
大好きだ、エリナーーー。しかも途中でメイクの技術が素晴らしいという新たなる才能を見出していく(しかも亡くなった人に似せるという・・・)

この寮に来てほしくない人たちが何故かたくさんやってくる、死体を埋めた後で。
少女たちは、誰が殺したか(毒殺というのはルイーズのおかげでわかっていた)ということに心を砕く間もなく、怒涛のように押し寄せてくる人々への対応に追われまくるのだった。
ここが読んでいて大爆笑だ。
やれ、校長先生はどこに行ったとか
やれ、校長先生の弟はどこに行ったとか(嘘が嘘を呼び大変なことになっていくのに当初は気づかない・・・)
やれ、このパーティーが開かれるはずだとか
来る大人それぞれが色々なことを言っていく。

キティの対応がとても光る、たまにどぎまぎしているけれど、なんとか仲間の助けを借りて全ての事態を切り抜けていく。
思わぬ事態にも気転をきかえていくキティはまさに少女たちの羅針盤だ。
一方で、我が道を進むのはメリー・ジェーンであり、彼女が男の人がいると突然本領発揮!というところにも爆笑した。

それぞれのキャラクターの描きわけが見事にできているので、読んでいてほどなく7人が生き生きと動き始めた。
本当に楽しいミステリだった、ラスト、犯人なんかどうでもよくなったといっては言いすぎか。