評価 4.5

ラノベレーベルで出ている本だけれど、カフカの一文字とこの作者なので読んでみようかと思った次第。
そして面白かった、いろいろと思うことはあったけれど。

深海楓(ふかみかえで)は中学時代あらゆる男女関係の修羅場を潜り抜けている(早熟な!)
モテモテだった深海楓。
高校生になったら天然を装って過去は封印していたが、自分が女を落とせるという自信は崩れない。
そんな彼の前に現れたのが、架能風香(かのうふうか)という読書家のカフカ好きの女子高生。
彼女は自信満々の深海楓に全くなびかないどころか、もし好かれたいならば
「カフカにおなりなさい」
と言い放つ・・・
そして彼はカフカもどきの小説を書き始めるのだが、現実で次々に不可解な事件が持ち上がっていく・・・


もし、カフカをゼロの知識であっても、カフカをよく知っていても、カフカ部分はとても楽しめると思った。
それぞれの作品(変身のみならず、かなりコアな作品まで網羅している)に即した話で、それぞれの作品への言及もとても楽しい。
どうやっても、そこは本好きとして、カフカもう一度(または初めて)読んでみようかなあ!!と思う気持ちに掻き立てられる、それほど魅力的なのだ。
城、流刑地にて、審判、橋、といろいろ出てくるが、この中で流刑地にてへの考察が楽しかった。
橋、も考えさせられた・・・・

一方で、キャラクターという面では、主人公が中学校でこれだけ男女経験があるというのがまずしっくりこなくて、プラス、自信満々だった彼がなぜ突然カフカ好きの女の子に強烈に惹かれていったのか(ふられたからとはいえ・・・)というのがよくわからなかった、私には。(女子学生の風香にあまり魅力を感じなかったからだろう)
ただ前半と後半、だんだんに成長していく姿は印象的だったのだが。
また、女子学生のほう、風香の位置づけもよくわからない、根本的なところだけれどなぜ彼女はカフカにこれだけ惹かれているのか。両親のことがあったので不条理をこの世に感じているのか。
彼女のヘルメットも理由はわかったが、なんだかよく呑み込めなかった、おかしな人?なぜ誰も突っ込まない?女子とのかかわりは?
お兄さんの存在も・・・
あと放火の話も・・・
なんだかぽっと出てきてぽっと消えた感じがするエピソードの一つのような気がしてならなかったのだ。

これって、次があるのだろうか。
次を是非読みたいのだが、もしあったら、そのあたり彼女の心の部分を書き込んでいただきたい。
カフカ部分がとても良いので、そこは継続してほしい。

謎という面ではたわいもない謎、が多くてそれはそれで微笑ましいけれど。
一つだけ、うおーーーっと驚いた謎は198ページのひっくり返るような展開だった、見抜けなかった・・・・