2017.03.17 神様の裏の顔


評価 4.3

視点がころころ変わる展開だ。
軽妙でちょっぴりくすっと笑えるミステリ。
それぞれの人がそれぞれの思いを抱えて吐露していく形式だ。
最初の方は、通夜で始まる。
そのあとは、一連の通夜からの流れに沿って、人の思いが語られていく・・・

神様のような男、坪井誠造の死去。
その通夜には多くの関係者が参列した、もちろん教師だった坪井の教え子もまた。
参列者が彼を神様のような人間だった、と言っている中
思わぬ彼の一面が現れてくる・・・


最初の方から途中まで、あまりにこの人がいい教師だったので、読む側としては、このタイトルも相俟って
(胡散臭いなあ・・・)
とまず疑惑の目を向けるだろう。
生徒にも近所の人にも、そして同僚にさえ優しく親身になっていた坪井。
坪井の娘の後悔の念も続いていく・・・

しかし、ここからが読者のみ、あれ?と思うことが徐々に重なっていく。
あれ?これはもしかして坪井がやらかしたこと?
あれ?これはもしかして坪井が悪意を持ったこと?
ここが巧みだと思う、読者のみが優越感を持って彼の裏を知っていくという構成が。

後半、やっぱりね、というところに落ち着く。
私はここで終わりだと思っていた。
このやっぱりね、は前の読者のみ知りえたことを繋ぐ人物が現れたことによって、本当に坪井が善人だったのかという根本の疑問にぶち当たるからだ。

読ませると思うのだが・・・
が、ちょっとぶつ切り過ぎて台本のようで、これがもっと繋がって行ったらとそこはちょっと思ったのだった。
また登場人物表に難ありだと思う、これってずるくないか。

以下ネタバレ
・女子学生を自分のものにした、というところは除くとして。
聖人ではないものの、途中で疑われた殺人犯ではなかったのだった。

・一番の肝は、
姉妹ではなかったということだ。
友美という人間と晴美という人間は同じ人間であった。
一人娘であった。一人芝居であった、心の病から。
(なので、登場人物表にこの人たち二人を出すのはずるいと思う。どちらかを出すべき)
いくらなんでもこの二人が同一人物じゃないというのがわからないものだろうか、列席者に。

そして彼女が坪井を殺したのだった。