評価 4.8

さくさく読めるゴーストストーリーだ。
ヤングアダルト小説に入るだろう。
語られている話は凄惨な話もあるのにほのぼのとした読み心地で終わるのはなぜだろう。
どの話も心の中にある何かをかきむしられるような懐かしい気持ちにさせてくれるのだ。
聞いたことがある話というのもまったあって、猿の手などはまさにそれで、またアッシャー(!)夫人などが出てくるし、火事が出てくるし、棺の中からも出てくるしポーを意識したところもあるし、青髭を連想させる部分もあるし、そういう過去の作品とリンクしている部分もまたとても楽しめたのだった。

マイクという少年がお母さんが待っている自宅に急いで車で帰ろうとする。
その時に、偶然道路で見かけた少女を乗せた。
彼女が忘れたものを彼女の下りた場所に届けていくと・・・というマイクの話が外側にある。
マイクは何の役割かというと、ゴーストたちの話を聞く、ということがある。
その中は、次々とゴーストが自分が死んだ状況までを語っていくという・・・


ゴーストの特徴はみんな若かった死ということなのだ。
だから理不尽な死である、ということだろう。
理不尽の中でもまだ事故などはわかるのだが・・・・ほとんどがそうではない。
ゴースト、不思議な事象、不思議なものにからめとられていくような人生なのだ。
けれどここで語られる話は実に面白く、そこに行きつくまでのストーリーに心惹きつけられる。
語りというのが巧い。

姉妹の葛藤で揺れていたエヴリンのように見てはいけない鏡に吸い込まれてしまう話(白雪姫やハリーポッターの魔法の鏡とかを想起した)、や、これはわがままな妹とのやり取りがあり通信販売で買った生き物に追いかけまわされるディヴィッドの話や(ここに出ているような怪獣映画を想起)、蜘蛛の大嫌いな口うるさい先生に嫌がらせをしたことによって後半思いもかけない復讐があったジョニーの話(これが体感としてとても怖かった)や、嘘ばかりを言う放火魔の同級生に翻弄される、うそつきの女の子ジーナの話とか、自分の好きな男の子が事故で死んでしまったのでその直前に手に入れた猿の手でなんとかしようともがくリリーの話や、親友ケヴがある一つの『像』にとりつかれることから身を滅ぼしていくリッチの話や、何かに『没入』し我を忘れてしまう男の子エドガーが両親から引き離され隔離されているのだがそこから発展する凄惨な事件や(これ、歯が怖かった)、叔母に引き取られたトレイシーが叔母がどういう人間だったかを昔の新聞から知り、更に入ってはいけない部屋に入ってしまうとそこには・・・(青髭を想起)という話、があった。

どれが人によって一番怖かったのかと話し合うのも面白いだろうなあと思う。
人によって違うと思うから。
ゴーストたちの墓石がそれぞれの話のトップにあるのだけれど、そこに生年と没年が書かれていてそれを見ていくと、その時代背景がわかるし、あと、意外に今の近くで亡くなったゴーストもいるのだなあ・・・という思いにも駆られる。