2017.03.29 ゼロ・アワー


評価 4.3

タンゴと猫を据えてのハードボイルド小説だ。
途中で何度も(中山可穂?)と表紙を見直した、今までの作風と違うから。
とても彼女らしい場面も見られるし、タンゴの描写とかいかにも彼女らしいし、ふてぶてしい猫の話とか通称ハムレットが猫に振り回されている様子など、惨劇のさなかなのにくすっと笑えるところとか。
要は巧いのだ。

通称ハムレットという凄腕の殺し屋。
彼はタンゴをこよなく愛しているのだが、ある一家の皆殺しを依頼される。
皆殺しをした後に、自分のDNAがあるかもしれない爪を持った猫アストルを持って帰ってなぜか引き取ることになる、そしてこれが運命の幕開けだ。
ハムレットに両親と幼い弟を殺された少女広海は偶然家にいなかったのだ。
彼女は復讐を誓い、疎遠だった祖父の住むブエノスアイレスに旅立った・・・・


タンゴへの愛、そして猫への執着が段々殺し屋のハムレットに芽生えていく場面が読ませた。
また祖父の過去も、こういうものだったのか、と予想の範囲内ではあるもののここもまた読ませたのだった。
が。
全体には、私はlこの作者にこういうもの(ストーリー的に)を求めていないのだなあ・・・とつくづく思ったのだった。
中山可穂にしか書けないものを書いてほしい。