2017.04.14 処刑の丘


評価 4.4

このミステリ、時代背景というか、フィンランドの内戦というか、そこがとても重要なのにそこが全く知識がなかったので、何度も最初の方を確認しながら読み進めた。
最初の方に、日本人のための註として、こういう内戦があってロシアとドイツがこういう乗り込み方をしてきて、赤と白に分かれていて、この村はどちらになっていて、というような簡単な背景を書いてくれないものだろうか。
いきなりロシアボリシェビキの支援を受けた赤衛隊・ブルジョワジー中心のドイツの後ろ盾の白衛隊と言われて、わかる日本人ってどのくらいいるのだろう。

1920年代初めの内戦がまだ終わったばかりの南部の都市ラハティ。
このサウナにマッサージ係として勤めているヒルダという女性には娘をかつて白衛隊に殺されたという悲惨な過去があった。
サウナでは分け隔てなく疲れた体でやってくる人たちを慰撫するのだった。
ヒルダにはまた、内戦で心に傷を負いかつてしていた靴づくりの職ができないまでになって酒浸りになっている夫がまたいた。
そして、仲間の思想に染まっていく息子もまた・・・・


処刑の丘とは黒い岩に覆われた丘で、死体が次々に見つかるという状況が出てくるのだが、なんせ警察はほぼ機能していない。
どれも密輸業者とか酔っぱらいの単純な死として扱おうとしているのだ。
上司に阻まれながらも巡査のケッキがこの死の真相に近づこうとする。
その捜査の中で、娼婦のロシアから流れてきたヴェーラと知り合い彼女を愛するようになっていくのだ(なのでここもまた上司に目を付けられる原因ともなる)

この状況下で、虐げられながらも、ケッキの公正であろうとする姿は読みべきところがあった、女には弱いけれども。
また解説にもあるけれど、サウナが一つの『場』になっていて、そこで皆が本音を語ったりくつろいだりしている様子も非常によくわかったのだった。