2017.04.14 コンビニ人間


評価 5

とても面白かった。

この本を読んで、現代の若者の持っている時代の閉塞感、と感じる人もいるだろうし、人と自分が違っている違和感、に共感する人もいるだろうし、なんとか普通であろうともがいている人間に対する作品と思う人もいるだろう。
読み方がいろいろできる、ということにおいても、たくさんの人が読むのがわかるという作品だった。
その場をコンビニという現代人がほぼ行ったことのある場にする、という場所設定もまた秀逸だと思ったのだ。
無機質と思えるコンビニ。
でもそこはまた不特定多数の人が集まるある種の「場」であり、そこで物が売られている「店」でもあり、そこはかとない店員との淡い淡い交流もある「特定の空間」である。

読んだ後、同居する男性の白羽さんのべったりとした気持ち悪さがずうっと心に残った。
普通であろうとし続けるために「私」がしたこと、それは・・・・

世間の人々が全員わかりやすい解説を自分に課しているとしたら。
こういう行動をしたとしたら。
未婚の女性がポツリといるよりも、あの人は同棲している、だから結婚していないのだ、だからコンビニ店員でもあり得る、というのが確かにものすごくわかりやすくなる。
しかもこの白羽さんは、途中で問題を起こしている元コンビニ店員なのに、皆口を極めて悪く言っていたはずなのに、こと動静に至ってはなんだか微笑ましいという感じで迫ってくる姿が逆に怖かった。

「私」が人と合わせようという努力、これは普通の人でも日常にしている、誰でも素のままでは人と付き合えないから。
でも、やはり常識の範囲で考える人が多数派であり、人と合わせようとしながらも合わせられない人を偏見の目で見るというのは確かにあリ得ることだなあと思った。
こちら側とあちら側。
その境目って見えるようで見えない。