2017.04.26 スレーテッド




評価 4.8

楽しい、ただただ読んでいてページをめくる手が止まらないほど楽しい。
最後の解説で大森望さんが、これと同じタイプの小説をずらずら出してくれている。
それを見ながら
(どれだけ自分はこの設定が好きなのか!)
ということに気づいた。
この設定とは、

「ある時に目覚めたら、自分が記憶を消されて別の自分になっている」
設定だ。
しかもこれは、16歳の少女カイラだからさらに不安感が増してたまらない。
少女なので自立できずに、よくわからない家庭に引き取られ、そこにもうすでにいる同じ立場の黒人の女の子といきなり姉妹になる。
父親と母親がいて、これは疑似家族になるわけだけれど、母親が微妙に冷たい(と最初見える)
そして学校に通い始めると、そこには同じようにスレーテッド(過去を清算された)された人たちがいてそこはかとなく差別されている。
犯罪者だったと言われている、スレーテッド。
じゃあ自分は何をしたのか、人殺しなのか、それとも暴力事件か・・・

・なぜ記憶を消されたのか
・フラッシュバックのように思い出される場面とは何か
・なぜカイラだけがこの記憶を保ち続けられているのか
そんな謎が最初の方から爆発している。
簡単な言葉でいえば、誰が味方か誰が敵かということすら見分けがつかない。
誰に本当のことを言ったらいいのかというのがカイラには見えてこない(ここもどきどきする)

だんだんわかってきたことは、
スレーテッドは、記憶と性格を変えて入院生活を経て普通の生活に戻された人間、
ということなのだ。

唯一、学校で出会ったボーイフレンドであり理解者の同じスレーテッドされたベンが頼りになっている。
でも嫌がらせはスレーテッドではない普通の女の子から受けていて、辛い思いをするカイラだけれど、ある日この女の子自体が学校から消え去る。
理解者であった絵画の先生も連れ去られる。
皆ローダーズと名乗る見張りに連れていかれるのだ。
ローダーズとは?
消え去る理由とは?
消え去ってからのちにどうなるのか?


手首にスレーテッドがレボと言われる輪をつけられているのも泣ける。
だから普通の人間か、矯正されたスレーテッドかは一目瞭然なのだ。この輪、のせいで、常に幸福かどうかをチェックされていて、もし幸福度が下がると失神してしまうのだ。(10段階評価になっていて3以下は失神)

カイラが特殊なのは怒りのコントロールができないと、レボの数字が逆に上がってよいことになっていくのだ。
いったいこれは?
フラッシュバックで見る煉瓦を積み上げる作業とは?
カイラがスレーテッドされたのにまだ左利きを覚えているのはなぜ?

謎がまだ謎であり、次巻に続くらしい。
この世界いったいどうなっているのだろう?

ここまでのネタバレ
・ママ、は最初の印象と違って意外にもいい人側?
どちらかというと、パパが怪しい。

・カイラはルーシーという女の子だったらしい。
ルーシーは行方不明者としてネットに出ていた。

・カイラをいじめていたはずの普通の人間はとらえられ、スレーテッドされた。