評価 4.7

伊集院静の旅にまつわる話。
旅に出るとはそもそもどういうことなのか。
世界に出ていろいろなところを旅しているその旅行記ではなく、そこであったこと思索したことが淡々と語られている。
ある時には親しい者の死を思い出し、またある時には娼婦の佇まいからその街を知り、またある時にはギャンブルをすることで自分を持ち崩す寸前まで行く。
とはいえ、思わず居住まいを正されるような大人の言葉も多い。

人が旅をするということ。
それが孤をどうしても意識していくことに繋がるということ、だからこそ若い人に旅をすることを勧めるという意味が分かる。
また、ナポレオンの話、ゴッホの話、、ジョイスの話、と偉人や芸術家の話も折々に含まれていて、その考察もまた楽しめた。
私が一番読んで、おお!と思ったのはゲルニカの一本の木の話だった。
他の伊集院静の本でもこれに触れられていたので既に知ってはいたが、バスク地方の人たちの矜持とまたここを爆撃した意味というのがとても伝わってくるエピソードだった、ピカソのゲルニカの絵とともに。