2017.05.06 運命の絵



評価 5

相変わらずこのシリーズ、とても面白い。
前の本でも書いたと思うけれど、一つの絵について語っているだけではなく、そこから他の本や歴史などに波及していくその語り口が思わず惹きつけられるのだ。
今回はテーマが運命。

この中でなんといっても印象的なのは、左目のないブローネルの自画像の話だった。
美男子で知られるブローネルがなぜか左目が溶けているような破損している目を描いた自画像。
その数年後に、喧嘩のとばっちりで本当に眼をなくしてしまう、しかも左目を。
これが運命でなく何であろう。
もしこれが、自分で傷つけてしまった(無意識にせよ意識的にせよ)だったら、まだ何か話が成り立つが、話を読んでいる限りは、ただのとばっちりだから余計に怖い。

ムンクの叫びは有名だが4枚あって、その中の2枚が別々の盗難にあうという運命をたどっているのは知らなかった。

ロミオとジュリエットの話から、教皇派と皇帝派の話に至り、そこから表紙のパオロとフランチェスカの話にたどり着く語りもお見事だ。しかもここにはダンテの神曲についての言及もとてもわかりやすく書かれている。

ホガースの連作の当世風結婚も読み解いていく感じが面白かった。
連作、なので最初の方から見ていくと徐々に状況が変わっていくさまが見て取れる。