4月の読書メーター読んだ本の数:12読んだページ数:3896ナイス数:385村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事感想村上春樹が訳した本、全体像を見るとこんなになってるんだ!というのがまず驚きでした。私もサリンジャーのライ麦畑は、野崎訳が染み込んでいるので村上春樹が訳した時にどうだろう?と思いましたが、とても良かったのを覚えています(現代的になりました)。間に柴田元幸との対談が入っていてここも非常に読みどころでした。翻訳にまつわる話、彼との翻訳のスタイルが微妙に違って微妙に同じで、とそのあたりなるほどなあと読みました。しかしこうしてみると村上春樹自身も言及していますが安原顕の存在は大きいなあと改めて思いました。読了日:04月27日 著者:村上 春樹
双蛇密室 (講談社ノベルス)双蛇密室 (講談社ノベルス)感想ぶ・・・ぶっとび。ずうっとこのシリーズ(というか作者)読み続けていますが、誰にも勧められないし誰とも話も出来ません。それほどエロ。口に出すのがはばかれるほどエロ。援助交際をしている女子高生らいちとそこに通ってくる警部補藍川(もう~ここで既に大違反だし!)のミステリ。しかし、です。非常に伏線がよくできていてミステリとして読ませるのです。この本で蛇、詳しくなった気がしますが・・・藍川の蛇嫌いのトラウマの真相が何だったのか、にもぶっとび&大爆笑!「普通」の本格、いつか読みたいです、それもすごく面白いと思う。読了日:04月27日 著者:早坂 吝
旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺感想大ファンなので旅にまつわる話を非常に興味深く読み終えました。単なる旅行記ではなく、世界のあらゆる場所で、旅をするとは何なのか、その場所で何を思ったのか、そこから喚起されるイメージは何なのか、自分の近しい者の死を思い、ギャンブルで身を持ち崩す寸前になる放蕩さから生まれてくるものは何か、などが読みどころでした。ジョイス、ナポレオン、ゴッホなどへの言及も堪能。また作者の別の本でも読んだので知ってはいたのですがゲルニカの話は改めて読むと非常に地方の一本の木の重さと合わせて考えさせられました。読了日:04月27日 著者:伊集院 静
スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)感想最後の大森望さんの解説に、これと同じ類の話とか映画がたくさん出ていて、それを見ながら(私はこの手の小説、どれだけ好きなんだろう!)と思いました。この手の話とは、「過去の記憶を消され新しい人間として生まれ変わる」という話です。ここでは犯罪者が矯正されたらしい、それがスレーテッドされた人間ということしかわかっていません。でも時折蘇る過去の記憶、過去の癖があり、語り手の16歳の少女カイラは誰が敵なのか味方なのかこの状況で掴まなければならないのです。手首のリング設定、ローダーズも面白いし社会情勢も読ませます。読了日:04月26日 著者:テリ ・ テリー
終りなき夜に生れつく終りなき夜に生れつく感想夜の底は柔らかな幻を読んでいるので、この世界観にすぐ入ることができました。前作は入り込むのに特別な言葉がざくざくいきなり出てきて非常に苦労しましたから。この物語、将来的に残酷な人たちになっていく青年時代を描くスピンオフで、どのようにして彼らが形成されていったのか、というのを読む楽しみがありました。勇司部分が好感持てました。ただ、ちょっと全体には物足りないかなあ・・・タイトルのウィリアム・ブレイクの詩(クリスティにももちろん触れていますが)の話のところはとても良かったです。読了日:04月26日 著者:恩田 陸
すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)感想非常に美しくいとおしい小説。大作ですが比較的短い文章が並んでいるので読みやすく何かの詩を読んでいるような心持にもなりました。一方でミステリの趣も確かにあり、最初の方で孤児の兄妹が必死に聞いているラジオから流れてくる話や宝石の行方など、後半開いていきます。フランスに住む盲目の少女とドイツに住むある種の天才の孤児の少年ヴェルナーのほんの少しの邂逅の部分に心打たれました。また特にヴェルナーのナチスドイツの訓練での心の逡巡、友達への溢れる思い、成長に読む手が止まりませんでした。ラジオ、本、ミニチュアセット、宝石。読了日:04月20日 著者:アンソニー ドーア
月の満ち欠け月の満ち欠け感想読む手が止まりませんでした、大好きですこの本。ミステリでもあり広義のSFでもあり、特に最後の美しく光溢れる章にぐっときました。愛の物語でもあります。冒頭、母子連れと一人の男性が東京駅のホテルの喫茶店で意味の分からない会話をしていますがこれがあとになって・・・。巧みなのです、語られ方が。ここはこうだったんだ!という、後から読み直す快感がありました。12章で自問自答していきついには崩れ落ちる別の真実にも私は驚きました。佐藤正午だから成り立つ本でもあるとも思いました。鳩撃以来、目の離せない作家さんです。読了日:04月16日 著者:佐藤 正午
コンビニ人間コンビニ人間感想とても面白かったです。この本を読んで、現代の若者の持っている時代の閉塞感、と感じる人もいるだろうし、人と自分が違っている違和感、に共感する人もいるだろうし、なんとか普通であろうともがいている人間に対する作品と思う人もいるでしょう。読み方がいろいろできる、ということにおいても、たくさんの人が読むのがわかるという作品でした。無機質なコンビニを舞台にしたというのも秀逸でした。後半の「私」と白羽さんとの関係性も非常に現代の常識を指摘していました。一種強烈な気持ち悪さも残るけれど(←誉め言葉です)
読了日:04月14日 著者:村田 沙耶香
処刑の丘処刑の丘感想まず、このミステリの重要なポイントになるこの時代のフィンランドの内戦状況を知りませんでした。最初のところに日本人向けに赤衛隊白衛隊(いきなりロシアドイツと言われても)の簡単な説明と、この町がどういう状況下にあったかという説明がほしいと強烈に思いました。上司に阻まれながらも正義を貫こうとするケッキ、でもヴェーラに強烈に惹かれてしまう人間らしい部分も持っているケッキ、そしてあらゆる人が来るサウナでマッサージ係として働くヒルダの逞しさなど、読むべきところもありました。ヒルダの夫の心の傷もまた痛々しかったです。読了日:04月14日 著者:ティモ・サンドベリ
魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─感想泣けました、大切なご家族を亡くした方々の絶望の姿に。311の東北地方の津波で肉親を亡くした遺族の方たちに現れた「死者からのしるし」。科学で割り切れないことを扱っているのできっとその部分でフィクションノンフィクションの論議もあるのでしょうが、確実にこれが遺族の救いになっていると思いました。ただ死者からの現象だけではなく家族がどうかつてあったのか、これからどうあるのかというところまで踏み込んで丹念に描かれていてそこに胸打たれました。いつも傍にいるよという気持ちが救ってくれるのですね。そして私は信じます。読了日:04月07日 著者:奥野 修司
堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)感想楽しい!!奇妙なモノクロの挿絵も魅力の一つだし、両表紙の裏にある上の階下の階の断面図もまた楽しくて!話は、ごみの館に暮らしているアイアマンガー一族のクロッドという男の子と外からやってきた元気のいい女の子ルーシーという女の子の、ボーイミーツガールの話でもありますが、『物』の物語でもあるのです。全てのアイアマンガーには生まれた時に物が与えられていてそれはいっしょにいることが必須であり、なぜかその物の声が聞こえるのが体の弱いクロッド。後半凄まじい勢いで話が展開していくところが次巻への期待を膨らませます。読了日:04月05日 著者:エドワード・ケアリー
痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)感想昭和、をあらゆるところに意識させられますが、古さは感じずそこがまた味になっていました。どの最後も予想範囲内ではあるものの、語り口が巧みなので思わず引き込まれます。幻影譚と思えるかたみ、の皮肉なラストがとても良かったと思いました(これまたヴェトナム戦争とか時代を感じさせます、重要なキーになってるし)。兄は復讐するは、大切にしていた妹が都会の地である出来事に巻き込まれ・・・というのに兄が復讐する文字通りの物語ですが。これまた語りが巧妙で兄の妹への執着のようなところまで描かれているところに好感を持ちました。読了日:04月05日 著者:小泉 喜美子
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