2017.05.16 紫のアリス


評価 4.5

人生最悪の日、と思った日に、紗季という女性が夜の公園で男の変死体を見つける、というところから始まる。
夜の公園にいたのは、その変死体だけではなく不思議の国のアリスのウサギだった・・・


月夜にアリスのウサギ!そこに一つの変死体!

こんな幻想的なところから始まるミステリだ。
最初、アリスのウサギ、というので幻想かファンタジー方向と思ったら、意外にウサギの正体はすぐに出てくる。
そしてそれは現実的なものだった。
後半が気になって一気に読む本で、途中の伏線が最後にまとまっていくというのはある。
けれど、最後まで腑に落ちないところもまた残るのだ。
読ませるが、、、、と私は思った。


三人称ではあるけれど、とりあえず紗季の視点なのだが、これがふっと消えるのだ。
この子の視点が消えたなあ・・・・この間は何をしていたのかなあ・・・と何度思ったことだろう。
だから紗季の見ているもの全てが信頼感がない。
しかも記憶が時々飛んでいるのも読んでいるとわかる。都合の悪い時に飛んでいる?と疑わしくさえなってくる。
でも本人は大真面目で、本当に記憶が飛んでいるのだ。
記憶の飛んでいた時に何が起こったのか、は、読者は想像して大体それは後半で(やっぱり)ということで出てくる。

彼女がなぜ絶望していたのかというのは、不倫していてそれを清算して会社を辞めた状況、というのもこれまたすぐに出てくる。
しかもその不倫相手がさっくり死んでいた、(殺されていたっぽい)というのもすぐに出てくる。
紗季が殺したのだろうか?
更に、公園の変死体の話が一向に出てこないけれど、これは彼女の妄想なのだろうか。

そう、この本、紗季の妄想なのか、記憶の改竄なのかよくわからないままに読み進む本なのだ。
どこからどこまでが真実なのかさえ揺らいでいる。
冒頭の方の引っ越し場面で実に印象的なものがごみの日に捨てられる・・・これは・・・と誰しも思うだろう。
そしてあとで部屋の中で残された→段ボール←があったのがわかると更に思うだろう。
しかしここさえはっきりしない、何だったのかは。

そしてお節介な独居老人が住むマンションに住むことになった紗季・・・・
高校生の時の劇のことまで思い出すのだが、そのあとのことがどうしても思い出せない・・・
ここから独居老人たちとともにアリスの謎、死体の謎、を解いていく・・・


最後のお茶会が忘れられない。
ここ、幻想かと思う場面だ、あり得ないだろう・・・
読ませる作品ではあるものの、好きかどうか聞かれたら、微妙・・・な感じの作品だった、私には。