2017.06.01 少年時代




評価 4.5

ほっこり昭和の少年時代の話、と思いきや、ラストのエピローグで、(ああ・・こう繋がっていたのか!)というのがわかる。
深水黎一郎、一筋縄ではいかない!

最初の話は、町を練り歩くチンドン屋さんについていった小学生の話だ。
そこで帰り際に、シゲさんという男の人と仲良くなり、柔道をひそかに教わったりする。
そして、後半、ある事件が起こるのだが・・・
この顛末がラストに小学生がどうしたかということによって、描かれている
シゲさんがその事件の現場に重要な証拠品サキソフォンを小学生の男子が隠す、というところが描かれている。
もしこれがあったら、シゲさんは殺人の容疑者になっただろう。
実際は、事故ではあったものの、シゲさんがそこから逃げたことには間違いがないのだから。


次の話は方言に笑った笑った。
お父さんとお母さんがなんとも豪快で、ひ弱な子供を育てている、というのが目に浮かぶ。
子供は標準語を話していて(多分学校で言われるのだろう)、両親の言葉が時々わからず、・・ってどういうこと?と聞き返している。
ここに一匹の犬がもらわれるのだが・・・
現実的な両親と、犬との生活を夢見る息子の間に齟齬が生じている。
両親の方言の罵倒がなんだかくすくす笑えるのだ。
血統書付きの一儲けしようとしている両親、単純に犬をかわいがっている息子・・・
最後は、元父親と呼ぶまでに事態は発展するのだ・・・

最後の話は、高校の理不尽な柔道部の話だ。
どう見てもしごきにしか見えない柔道部のOBたちのしごき。
ここで、柔道とJUDOの違いを私は初めて知った、こういうことだったのか。
そして仲良しの1年生たちが友情と成長していく姿が描かれていく。
その過程で、事故があるのだが、ここで思いもかけないことがわかる。
2話の元父親と成長したその息子が出てきて、更に10年後のエピローグでこの息子に孫ができたというところまで話は進む。

以下ネタバレ

2年後のエピローグ
ここで大学生の柔道大会の中量級で優勝した、2話の話の中の栂瀬(とがせ)孝之が、1の小学生だということがわかる。
柔道をあの日シゲさんに教えてもらった小学生は、シゲさんの嫌疑を助けたばかりではなく柔道の道に進んだ。
これらを何も知らずに、シゲさんは、簡易宿泊所で見ている。
孝之は言う。誰に伝えたいかと言われた時に
両親と、そしてシゲさんに、と。