読んだ本の数:19
読んだページ数:5378
ナイス数:448

ガラスの靴 (新潮文庫)ガラスの靴 (新潮文庫)感想
いかにもファージョンらしいシンデレラの物語。夢のような豊饒な言葉で紡がれたシンデレラストーリーは、細部がとても良いのです。王子様のところにいる道化(!)の大きな存在、シンデレラの部屋となっている台所の『物』たちが話すファンタジー性、きらびやかなドレスの描写の数々、極上のお菓子の美味しそうなこと、憧れの舞踏会、そしてちょっぴり忍び笑いさえ起こるお義母様の様子・・・。途中の歌、も、どれも良くて。楽しくそれでいて格調高いシンデレラストーリーを楽しみました。ところどころにシェイクスピア劇を思いながら。
読了日:05月31日 著者:エリナー ファージョン
ミステリ国の人々ミステリ国の人々感想
とても楽しみにしていた一冊でした。面白かったです。いわゆる名探偵一覧とその解説、ではなく、ミステリ小説の中の、名探偵もですが周辺の家族、被害者などにも焦点を当てた一冊。わかりやすく語ってくれていますが、初心者にもまた手練れのミステリ者にも読むべきところは多々あると思いました。各作品の視点のようなものが独特の個所もあり、ああ・・こうやって読むところもあるのだなあ・・・と改めて思った作品もありました(コーデリア・グレイの話で特に)。大した男ではない、とある人物を一刀両断しているのにも大笑いしました、確かに!!
読了日:05月31日 著者:有栖川 有栖
東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。感想
魅力的で可愛らしい動物(物も)の装幀と本の手触りと、不思議な文章が相まって、読ませる一冊になっていました、今回も相変わらず。日記、なのですが、妄想もありもしかして創作?もあり、実際の話もあり、これが何とも言えない川上ワールドを構築しています。初期の短編っぽいところも多々あると思いました。エア秘書集団にくすっと笑いつつも、不思議なカップルの行く末にも目を凝らし・・・。このシリーズ大好きなので、これからもどんどん出していってほしいです。
読了日:05月31日 著者:川上 弘美
辺境図書館辺境図書館感想
連載時から楽しみにしていました、一冊になるのを。装幀も美しくここに一冊が出来上がり、改めて読んでみると、皆川博子の選書の奥深さに気づきます。夜のみだらな鳥に始まって、彼女が偏愛した本の数々への言及の素晴らしさといったら!読みやすく手に入りやすい本を紹介しているいわゆるブックガイドとは一線を画しますが、背筋が伸びるような本への愛の数々が胸を打ちました。それぞれの最後の文の本の内容、作者背景もさることながら、最後にそれから喚起触発された自作への言及も読みどころ。そしてラストには嬉しい皆川博子短編のおまけつき。
読了日:05月31日 著者:皆川 博子
いのちの車窓からいのちの車窓から感想
相変わらず癒されます。マルチな才能を持っている星野源。彼のエッセイに癒されるのは、そこはかとないユーモアを底辺に漂わせながら、孤独、というのをこれほど知ってる人もいないからなのだと思います。いわゆるハレの場であるコンサートやドラマ作り、一方でケの場である作曲づくりや自分を見つめる執筆活動。どちらの両輪も彼には欠かせないのだと思いました。育ちの良さみたいのが伝わってきます。
読了日:05月31日 著者:星野 源
渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)感想
読む手が止まりませんでした。ミステリとしては、現在の殺人事件と過去の殺人事件とのリンク、閉鎖的な人たちがいる町、かつて追われた故郷に再び戻ってくる男、彼の心のうねり、と既視感はあるのです。けれどそれを吹き飛ばしてくれるような骨格のあるミステリでした。何より設定が『旱魃』です。そこで絶望感に苛まされながら苛立ちが最高潮に達しようとして何かのきっかけで爆発寸前の人間を見事に描いていると思いました。現在の犯人はなんとなくわかります、けれどそれでもなお読ませる力がありました。そして文章も読みやすいです、とても。
読了日:05月22日 著者:ジェイン・ハーパー
無限の書 (創元海外SF叢書)無限の書 (創元海外SF叢書)感想
面白くは読んだけれど(特に魔術部分)、これははまる人ははまるんだろうなあ・・・と思いつつ読んでいました。サイバーパンクが私はやや苦手なので、その部分は辛かったかも。映画のインセプション映像を途中で思い出しました。アラブの春を想起させる民衆の暴動(リアル)、ジン等魔物たちの巣窟(ファンタジー)、ネットでの覇権争い(ヴァーチャル)と、話はあちこちに壮大に飛んでいきます。中盤モスクで巻き込まれたピラル師の最後までの高潔さに心打たれました。あとヴィクラムらぶ。アリフの本名が最後になってあれというのに驚きました!
読了日:05月22日 著者:G・ウィロー・ウィルソン
か「」く「」し「」ご「」と「か「」く「」し「」ご「」と「感想
5人の高校生の友情の物語をほのぼのと読み終わりました。この5人がそれぞれ奇妙な特殊能力を持っているというところがスパイスになっています。そのことよりも、皆がちょっとずつ隠し事があってそれが小さなことなんだけど高校生活には重要なことであって・・・というこの部分が読ませました。携帯とかスマホが活躍(?)していないで、昔ながらのクラスで(ちょっとした軋轢はあるもののいじめとかはない)ほっ。ちょっと大人びたパラの気持ちがわかるなあ・・・。あと最後のエルの特殊能力の役立ったことと言ったら!ダブルミーニングがここに!
読了日:05月22日 著者:住野 よる
ifの悲劇 (角川文庫)ifの悲劇 (角川文庫)感想
帯にある通り、ある事件のパラレルワールドが広がっていて、プロローグがあり、AのケースとBのケースというように二つの物語を交互に読んでいきました。途中であれ?あれれ?(→コナン風に)。最後にええええええ!私は仰天しました。ただ非常に凝ってるのでわかりにくく(表面上のことはすぐにわかるのですが、細部がわかりにくい)、付き合わせをしながらの再読必至でした、私は。なるほど!!面白かった~!
読了日:05月18日 著者:浦賀 和宏
新装版 紫のアリス (文春文庫)新装版 紫のアリス (文春文庫)感想
冒頭で、全てに絶望している女性が夜の公園で変死体につまずき、しかも近くに不思議の国のアリスのウサギが・・・ここで幻想方向かファンタジー方向の話かな?と思いました。が、そうではなく。記憶の不確かさ曖昧さが全てを混沌とさせてくれました。不思議の国のアリス、が重要なモチーフ。
読了日:05月18日 著者:柴田 よしき
人間じゃない 綾辻行人未収録作品集人間じゃない 綾辻行人未収録作品集感想
既存作品の後日談、や、スピンオフの形の未収録作品群でした、面白かったです。ホラーとミステリと不思議はなしの融合体。表題作は怖くておぞましくてぞくぞくっとしました、この設定だけで涙目に。犯人宛ての洗礼は、内容もさることながら作者の大学時代からの道程のようなことを考え、最後のあとがきを読むとしみじみとします。
読了日:05月17日 著者:綾辻 行人
毎日っていいな毎日っていいな感想
気楽に読めるエッセイ。スピリチュアルなところは思ったほどなくて、全く知らない人たちなのになぜか懐かしさを感じました、特に亡くなったご両親との旅行とか思い出の話に。ミーハー的には(高齢出産だったんだ!)とか(事実婚なんだ!)とか(息子君がいるんだ!)とか、そんなことにも思いを馳せました。言葉の一つ一つを深く受け取るのも、気軽に受けとめるのも読者次第の本、だと思います、そしてどちらでもいいんじゃないかとも。
読了日:05月16日 著者:吉本 ばなな
最愛の子ども最愛の子ども感想
ぐっと心掴まれた小説、大好き。冒頭の女子高生の会話から秀逸で、三人の女子高生日夏、真汐、空穂のそれぞれがパパママ王子(息子)という疑似家族を作っている、という設定で、『わたしたち』の妄想と事実の視点がある小説。『わたしたち』は何かというと周りの女子高生のいわば観察者グループですが、揺らいでいる人称『わたしたち』の視点がまた面白いと思いました。百合小説の要素もあるし、セクシュアルな部分もあるのですがそこのみで切り取るのは惜しすぎます。実際の家族そして将来の自分を想像する高みから想像する姿など読みどころ満載。
読了日:05月13日 著者:松浦 理英子
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)感想
新訳で読んでみましたが、とても読みやすいです。解説にもあるように読み方は深くも浅くも読めるとは思いました。少年たちがそもそもこの無人島に来てしまったのは、『核戦争が起こって疎開した子供たちだった』という前提をすっぽり私は忘れていました。最初ラルフとジャックには友情さえ感じられるのですが、後半徐々に野性に目覚めてしまうジャックの姿とその仲間が不気味すぎました。島が水もある、食べ物もある(果物とはいえ)、外敵もいない、状況。賢いピギーと子供離れしているサイモンがとても印象的でした。最初に人物表が欲しいかも。
読了日:05月11日 著者:ウィリアム ゴールディング,William Golding
村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!感想
騎士団長殺しだけではなく、多崎つくる~とか1Q84とか、他の本への言及もありました。騎士団長殺しの時系列は軽く私も作ったのですが、細かくここで作られているのでそこは面白く見ました。そうなのかなあ?という感想(説明しすぎと言われてもそこが読みたいところと思う読者が多いのでは?)と、そうなのよ!!(多埼つくるがなぜはぶかれたかという謎への答え)という感想が私の中で入り乱れた本。似たようなモチーフ、似たような主人公が出てくることに対して、50ページで大森望さんが言っていることは非常に正論だと思いましたが。
読了日:05月11日 著者:大森望,豊崎由美
愚者の毒 (祥伝社文庫)愚者の毒 (祥伝社文庫)感想
最後のある一点(私はこれはわからなかった)を除けば、すれた読者ならこの構造は見抜けると思います。でもわかっていてもなお読ませるし、吸引する力があるミステリだと思いました。幸せそうな老後を送っている老人ホームの女性の述懐と、職安で偶然出会った二人の不幸な女性の友情と恋との物語が鮮やかに描かれていました。この中でタイトルにもなる愚者の毒を言葉にする元中学校教師難波先生の気高さと言ったら!この人の存在がある意味かなり暗いこの話の一条の光となります。2章は一転して過去の話。ここから全てが始まるのです・・・
読了日:05月11日 著者:宇佐美 まこと
象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)感想
とてもとても久しぶりに再読。やっぱりいいなあと思いました。恩田陸不思議ワールドがぎゅっと入っている連作集です。元判事の関根多佳雄が出てきて、この人が古典ミステリ好きという設定なので、過去のミステリ作品もよく引き合いに出されています、いわく乱歩のD坂~とか、いわくケメルマンの9マイルでは遠すぎるとか。その使い方も絶妙で、ここにこういう具合に物語として入れ込むのかというのが改めて目を見張りました。関根一族も出てきて息子の春、娘の夏とそこも楽しく、更に他作品に出てくる関根一族を思うと、とても感慨深いです。
読了日:05月11日 著者:恩田 陸
中野京子と読み解く 運命の絵中野京子と読み解く 運命の絵感想
相変わらずこのシリーズ面白いです。何が面白いって、その絵画のことだけではなく、派生する様々な小説、映画、物語のエピソードを語ってくれる中野京子さんの語り口にあると思いました。しかしこの中で、左目の話、怖かった・・・現実が虚構を再構築するということ?表紙の印象的なパオロとフランチェスカの話も面白かったし、有名なムンクの叫びの盗難事件に始まった一連のバリエーションの解説も非常に楽しく読みました。グラディエーターのリドリースコットが一つの絵で刺激されて映画製作に向いたのを知りませんでした・・・
読了日:05月11日 著者:中野 京子
時間のないホテル (創元海外SF叢書)時間のないホテル (創元海外SF叢書)感想
とても面白く読みました。ある特殊な仕事をするためにホテルに泊まるビジネスマンのホテルでの話なのですが、読んでいて冒頭の謎の赤毛の女から引き込まれくらくらしました。ハイ・ライズより好みでした。シャイニングは必ず思いますが、怖さの質が違うような気がしました。謎の壁の絵、何度もきかなくなる219号室のカードキー、行けども行けども着かないコンベンションセンター(カフカ的)、壁の絵、そして後半のホテル内での走り回り方、どれをとっても質の高いエンタメ作品。偶然私はこの作品を旅先のホテルの219号室で読んでいました(怖
読了日:05月11日 著者:ウィル・ワイルズ

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