6月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3773
ナイス数:380

漱石漫談漱石漫談感想
とても面白かったです。読んでない人は読みたくなるだろうし、読んでいる人は再読したくなるだろうし、ともかくも漱石本の敷居をばっと低くしてくれる一冊だと思いました。この対談の重要なところは、お二人から漱石への愛が溢れていて読み込んでいる、というところだと思います。愛があるので時におちょくっても突っ込みを入れてもそこは許される。行人の直の考察と、門のある章からの展開についての語りは読ませました。猫温泉は笑ったし、いとうさんの美禰子嫌いにも笑いました(が、私も好きではありません)。バーナード嬢曰くの漫画も最高。
読了日:06月22日 著者:いとうせいこう,奥泉光
穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2)穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2)感想
前巻から待っていましたが、期待していた以上の面白さ。が、またここで切れる!また次を待ちます・・・。
前巻でどちらかというと線が細いイメージのあったクロッドがたくましく大人に成長していく姿が読ませました。ルーシーは相変わらず元気いっぱい、いいなあ、この娘。今回はお屋敷を出て町、の物語なのでそこに生きる人たちの姿もまた活写されていました。物から人へ、人から物への流れが一気呵成に読ませます。見開きの町の鳥瞰図も裏表紙裏のポスター図も楽しいし、不気味な挿絵も物語を盛り上げてくれてわくわくしました。
読了日:06月22日 著者:エドワード・ケアリー
かがみの孤城かがみの孤城感想
初期作品、特に冷たい校舎~あたりを強烈に思いました。不登校の女子中学生の部屋の鏡が光ってそこから異世界に行く、という出だしでファンタジーっぽい?と敬遠していましたが、全く思った話と違って堪能しました。中学生の少年少女たちのそれぞれの描写の生き生きとしていることと言ったら!現実世界での母親とのやり取りも胸を打ちました。伏線は巧妙ですが物語全体の構成はわかります、早い内に。けれどラスト二つは私はわからなかったので驚愕。そしてラストと最初が呼応して美しい。願わくはこの物語が闘う全ての子供たちに届きますように!
読了日:06月20日 著者:辻村 深月
劇場劇場感想
恋愛小説。どうしても関西弁と頭の中で物と行動を考えて続けている自意識過剰の男が作者本人に重なってきて、それを振り払うのにまず一苦労。劇作家の永田像が頭で考え続けている男で、昭和の時代の文学系演劇系の男子によく見られた男だと思いました。天真爛漫な笑顔の絶えない沙希の「本当によく生きて来れたよね」という言葉がまさに本質を突いていると思います。後半が辛い。私が違和感を感じたのは、手をつなぐ以外に一切の男女の交渉が描かれていないところです。二人の思いというのがあると思うので、ここは重要なところ、だと思うのですが。
読了日:06月17日 著者:又吉 直樹
まっぷたつの子爵 (岩波文庫)まっぷたつの子爵 (岩波文庫)感想
面白かったです。人間の中の善悪の分離ということでジキルとハイドを思いますが、それとは全くアプローチが違っていて。戦場で真っ二つになった子爵の体の半分側が悪になって戻って、後半でもう半分側の体の善が戻ってくる、という奇想天外な物語。大人のメルヘンであり寓話でもあります。悪子爵の悪辣なことと言ったら!この中で隔離されているらい病患者の村が最初放埓な暮らしをしていて、善の子爵が戻ってきて、一見良さそうなのにそれを疎ましいと思うというところになんとも皮肉を感じました。結婚するつもりになった少女の機知が光ります。
読了日:06月17日 著者:カルヴィーノ
少年Nのいない世界 02 (講談社タイガ)少年Nのいない世界 02 (講談社タイガ)感想
このシリーズ楽しみにしています!1を読んだ時にも次が待たれましたが、今回も!!異世界に飛ばされた小学生たち(しかもその異世界が別々の場所)、その子たちがそれぞれの場所で成長しているのですが、まだ何もわかっていません。なぜ異世界に飛ばされたのか、そもそものきっかけの猫殺しの犯人はどこにいるのか、異世界は一体全体何なのか?長谷川歩巳が今回はメインで彼が過酷な労働の場所に来てそこで居場所を見つけているけなげな姿が読ませました。繋ぎ役の二葉の意図がよく1ではわからなかったのですが、徐々に判明、そしてラストの驚き。
読了日:06月17日 著者:石川 宏千花
私の名前はルーシー・バートン私の名前はルーシー・バートン感想
とても良かったです。小説の作りがまず面白いです。病院に入院しているルーシーとその傍らにいる母の姿があると思えば、そこからルーシーの悲惨な過去が語られ、そしてさらにこれを俯瞰しているルーシーの未来があり、更に更に、入れ子のようにその中に『作家になろうとして自分が入院しているときのことを課題で書いているルーシー』の姿も入っている、という何とも読ませる作りで、これが何の引っかかりもなくつるつる入ってくるというのが巧いと思いました。日常の人への視線、描写もまた読ませ、後半の章が断片になるにつれて魅力が加速。
読了日:06月13日 著者:エリザベス ストラウト,Elizabeth Strout
ご本、出しときますね?ご本、出しときますね?感想
テレビ番組を楽しみに見ていたので、本になるのを心待ちにしていました。全体に楽しく読みましたが、やっぱり特に面白いのは本になっても同じで、加藤知恵と村田沙耶香のところと、西加奈子と角田光代の部分でした。角田光代が何でも引き受けてしまうというのは放映でも笑いましたが、本でも笑いました。作家の人となりは作品に出ている場合もあるし出ていない場合もあるけれど、若林の自然体と人となりが彼らの隠された面を外側に出してきて読ませます。ただ・・・やっぱり映像で面白かった微妙な表情とか話し方とかの部分は消えてるかなあ・・・
読了日:06月13日 著者: 
みみずくは黄昏に飛びたつみみずくは黄昏に飛びたつ感想
ちょっと侮っていたかも、川上未映子。とても刺激的で思った以上に、いや、思った数十倍良いインタビュアーでした。読ませます。ファンではあるけれどそれを前面に出さず必要あらば村上春樹の著作の例をきちんとあげていること、作品に妙な解釈をせずにストレートに疑問を投げかけていること、かなりの下調べをして臨んだことに拍手。村上春樹が率直に物事を語っていて知らないことは知らない、違うことは違うとはっきり答えられるのも聞き手が引き出しているからだと思います。騎士団長殺しを読んだのなら必読だし、他作にも言及して興味深いです。
読了日:06月13日 著者:川上 未映子,村上 春樹
夜の谷を行く夜の谷を行く感想
全編息を詰めるようにして一気に読みました、そしてこのラスト。かつてあさま山荘事件にかかわった一人の女性啓子が刑に服した後、息を潜めるようにして生きる姿、かつての同志と図らずも連絡を取り合うことで『同志のその後』を知ってしまうという構図、など読みどころは沢山ありました。なぜ理不尽ともいえる総括があの場で行われたのか、どういう気持ちで彼らが集ったのか、小説とはいえ一つの答えがあると思いました。ただ、実名の人たちがいる一方で、啓子は架空の人物なのでそのいりまじりがやや気になったのと、未消化部分が残りました。
読了日:06月13日 著者:桐野 夏生
素敵な日本人 東野圭吾短編集素敵な日本人 東野圭吾短編集感想
趣向の違った9編の短編ミステリ。
読了日:06月12日 著者:東野 圭吾
女心についての十篇 - 耳瓔珞 (中公文庫)女心についての十篇 - 耳瓔珞 (中公文庫)感想
表紙の絵、そして挿絵、好みはあると思います、小説から喚起される映像って人それぞれだから。けれど、ここに取り上げられている短編群、チョイスが良いので(そしてマイナーなのが多い)、画が好みであろうとなかろうと、これを機会に手に取るというのは非常に重要なことでした、私にとって。岡本かの子はやっぱりすごいなあ・・・とか、円地文子のおはるさんはいかにも彼女らしいなあ!とか。有吉佐和子の地唄が非常に心に残りました、これまた有吉佐和子らしい芸事の話。芥川龍之介のこれって、今の時代でもあるあるネタ、すっごいわかりました!
読了日:06月12日 著者:安野モヨコ 編
少年時代 (ハルキ文庫)少年時代 (ハルキ文庫)感想
ほこっとした昭和の話、で終わると思いきや、そこはこの作者、最後でああっというものは持ってきてくれます。最初のチンドン屋さんについていった男の子の事件目撃者になった顛末、2番目の笑いが充満している東北のある子どもの物語(ご両親の方言に笑った笑った)、3番目の学生時代のしごきのある柔道部の話、とそれぞれも読ませました。
読了日:06月12日 著者:深水 黎一郎

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