評価 4.7

私にとって驚きの一冊。
どう驚いたかというと、帯とかで私が想像していたのは
『非道な父に監禁され、虐待され、そこでなぶり殺しの目にあっていた少女の脱出劇』
だと思っていたから。
18年間父と二人きりで暮らしているとあったので、てっきり監禁物語と勝手に思ってしまったのだった。

ところが、これ、監禁の物語ではない。
監禁は終わっていて(何しろ父親は死んでいる)、そこからもう出られる状況の少女がいるのだ。
ところがその少女は気味の悪い遺言執行人と結婚しなければすべての財産をあげないよという父の非道な遺言が残されている。
この男というのは、父の友人なので、当然年を取っている。
父の監禁が終わったと思ったら、今度は父の友人の監禁か・・・と少女ベティも読者も暗澹とした気持ちになるのだった・・・
そしてその友人から逃げるために、ベティは非常に勇気ある行動で逃げていくのだ、しかも一人の純情な青年を巻き込みながら。

・・・
つまりこれ、ロードムービーの様にかなり最初の部分からなっている。
追われる逃げる、追いつかれる、更に逃げるの連続の話だ。
ベティは父に教わった護身術を駆使しながら、生き延びていく。
そして、弁護士事務所に保管されていた父の遺品から、自分の出生を割り出していくのだった。

この一緒に逃走するデッカーの造形がとても良い。
彼のすがすがしい行動とか、あまりに愚直すぎる行動とかもどきどきしながらも見守っていけるのだ。
一方で、ベティは人と接したのが父親しかないので、まずそこから徐々に外の世界に慣れていく。
喧嘩腰だったベティを変えていったのはデッカーのやさしさだと思った。

ベティが自分の母親と父親との手紙から、彼らのロマンスひいては自分の境遇を想像するところが面白い。
が、なんだか荒唐無稽?という感じも否めない。
このために、ベティは監禁されていた?

以下ネタバレ
その結果、想像で全く別のところに行きついたベティ。
彼女が本当の父親と思って一緒に暮らそうとしたのは、単なる母親のストーカーだった。
そしてこのストーカーに対抗するために、本当の父親(一緒に暮らしていたのが本当の父親)はベティに護身術などを教えたのだった。