評価 4.8

読み始めの部分が非常に面白い!
メラニーという色の白い小さな少女が、独房で暮らしている(なんで?)
どうやら全員親から引き離されているらしい(なんで?)
それも、兵士に手足と首を厳重に固定された車椅子で(なんで?)。
しかも、移動され、そこでは普通に授業を受けている、別の同じような車椅子の子供たちと(なんで?)
厳重に注意されている子供たち(なんで?)

なんでがずうっと重なっていって、この世界は一体何なんだ?子供たちは何なんだ?ここはいったい何の施設なんだ?という興味がもりもり沸く。
そして途中でこの世界の謎が明かされていくと同時に、メラニー達子供のなんで?が開かれていくのが面白い。
まっとうなエンタメであり、しかも、キャラがどの人もたっていてどの人の気持ちもわかるのだ。
最初の方で、悪役として描かれていたパークス軍曹が途中で彼の気持ちというのがわかり、彼の人となりがわかってくるにつれ、大好きな人になってきた。
メラニーが愛してやまない教師、ミス・ジャスティーノの気高さにもたまに(これはやりすぎじゃないの・・・)と思いつつも感情移入したりする。
また冷酷な科学者コールドウェルの狂気に満ちた実験もこの世界をなんとかしようという想いからだと思うと、これまたなんだかわかってしまうのだ。
また自分の家庭が最悪だったことが後半わかってくる兵士ギャラガーは、自分の故郷に帰っていく途中、果たしてそこで再び幸せになれるのだろうか?という疑問を抱くわけだが、その微妙な気持ちも痛いほどわかる。

・・・・
中盤からこの人たちが一体となって、なんとか他の人間がいるところの臨時政府の元に戻ろうという脱出劇になる。
荒廃したイギリスを旅する奇妙な一団。
ここから、メラニーが自分の欲望と闘いながらも、非常に頭脳を駆使して彼らの役に立っていく、という場面が際立ってくる。
また軍事基地にいた時には、意地悪とかしか見えなかったパークス軍曹が実はとても有能であり的確な指示を出す魅力的な男性だということも判明するのだ。
敵(それもわんさかいるし、別の敵もいる)の真っただ中をどうやって脱出していくのだろうという興味もあった。

メラニーがコールドウェルに押さえつけられ、あわや、というところでジャスティーノに救われる瞬間、
わざわざいる餓えた奴らが、何も反応がなく固まっているのにいきなりざわざわ動き始める瞬間、
そしてメラニーの秘密に彼女自身が気付く瞬間、
果てしない道を軍曹の的確な指示のもとに進んでいく皆の様子、
あることで、メラニーが嘘をつく瞬間、そしてその真実とは、
と映像になる場面が非常に多い。
メラニーが自分の欲望を我慢する姿がけなげでいとおしい。
そしてまっすぐに自分の尊敬する大好きなミスジャスティーノにぶつかっていく姿もまた初々しい。

気持ちの悪い場面も当然あるが、ラスト、どうなるんだ、というのが思ってもみなかったまとめ方だった。
こうなのか、こうなるのか。


以下ネタバレ
・メラニー達は、「人間の肉を食らう餓えた奴ら(そして食らわれた人間もまた同じく・・・の連鎖に引き込まれる)」に侵された地球での軍事基地に、実験のために集められた特殊な餓えた奴ら、であった。
普通の餓えた奴らは思考しないし、しゃべれない。同じところに集まって次の食べ物が来るまでストップしている。
そして次の食べ物が動いたり話したりするのをキャッチすると一斉に襲い掛かるのだった(ここが怖かった・・・)

教育を受けたことによって、メラニー達子どもたちはは高度な知識を得たのだった。
特にメラニーは優秀な子供だった、
彼女は人間の肉を食べたいという欲望もあるけれど、それをコントロールするようになっていく。
そしてその脳を解剖するのがコールドウェル。

・途中メラニーは、自分と同じような「教育を受けていない特殊な餓えた奴ら」を見つける。

・次世代の人間たちはメラニーを筆頭とした、高度に脳が発達した餓えた奴ら、にとって代わることを最後示唆している、ここでまたミス・ジャスティーノが教師に・・・