2017.07.17 ピンポン



評価 5

ピン・ポン・ピン・ポン・ピン・ポン!
エエエエエエ・・

へ・・・変な話!!過剰に溢れかえっていすぎるよ!なんでもかんでも!
そしてラストこの回収の方法か!すごい!
面白い!
なんて変な話を思いつくんだろう?

SFでもなく奇想と言えば奇想だけれど、それのみでもなく。
夢の話であるようでそうでもなく。
それにしてはあまりにスケールが大きく、また細かい部分は細かすぎていて。
そもそも、「二人の男の子が学校で壮絶にいじめられていた肉体的にも精神的にも」という話からピンポンの卓球台がなぜか外にあり、放置されていてそこでいじめられっ子の二人がピンポンをする・・・」というところで、
あ~いじめられていた二人がピンポンによって救われて友情をはぐくむ話ね、と思いきや、そうでもなく(その部分もあるけれど)

じゃあ、ピンポンを文字通り手玉に取って、ハレー彗星を待ちわびるへんてこな人の集まりと絡み合い、地球の存亡を考える・・・気宇壮大な物語に変貌してい後半がきわめてSFに近い話・・・かというとそれだけでもなく。

この話の巻き込感にずるずると引き込まれていくのだ、読んでいるうちに。
どんどんどんどん新しい人、新しいエピソードが出てくる、釘とモアイの二人の少年に振り回されながら、ピンポンを見ながらこの話の深部にぐいっと自分が入り込んでいくような気がしていた、読んでいる間中。


・・・・・
モアイ像にそっくりでモアイとあだ名をつけられていた口数の少ないモアイ。
釘とあだ名をつけられていた少年。
この二人はクラスのチスという少年グループから壮絶ないじめを受けている、暴力は時に致命傷になりかねない暴力沙汰に発展している、その他にも恐喝、脅し、気まぐれな呼び出し、性的虐待、と言語を絶するいじめは尽きない。
お互いに話すことのなかったモアイと釘は、ある日、外で卓球台を見つけ、ピンポンを始めることになる・・・横には古びたソファまで・・・


ピンポンを始めることで、多くの人と出会ってい釘たち。
チスの愛人マリ、双子がいる卓球洋品店のセクラテン、バスの運転手、お金をあげればマッサージをしてくれるホームレスの老人たち、乾電池を舐めて死んでしまうハレー彗星の会の太った人・・・・そしてモアイが語る超絶に面白いジョン・メーソンの小説の話・・・
そもそも、このモアイと釘はごくごく普通の、いや普通以上の感受性と頭を持った二人の少年だったのだ。それが読んでいくとよくわかる。
その合間合間にも失踪したチス(自分の女を殺した容疑で警察に追われている)から呼び出しがありまたいじめられ、チスの手下たちに呼び出されまたいじめられ、という連鎖は止まってないのだ。

釘たちがその合間にお互いのことを知っていく。
モアイは絶大なお金持ちであり、お屋敷にお爺さんと二人で暮らしているということがわかってくる。
また釘の親たちは釘がいじめられているのにも全く気付いていない共働きの二人で善人ではあるが、息子の動向には重きを置いていない。
この物語の中で、卓球用品店のセクラテンの存在は大きい。
何くれとなく世話を焼いてくれる。
そしてラリーができるほどに釘とモアイは卓球が上手になっていく。

セクラテンは後半実に意外な卓球史を教えてくれ、彼らにこの世界がずうっと試合のジュース状態だと教えてくれるのだ。
彼らは偉大な人たちの中から一緒に戦ってくれる人を二人選ぶ(このシーン笑える、どの偉人が卓球ができそうかと古今東西の中から選ぶ作業)
そして・・・

以下ネタバレ
・空からハレー彗星ではなく(だからハレー彗星の会とかの話も無駄ではなかった)、大ピンポン玉が落ちてきて、それが地球上に来ると大地に地震が起こり、地球が卓球界(!)になってしまう(この部分の説明もとても楽しい、地球をピンポン玉に見立てた話で、ちょっと横に向けると、ちょっと落とすと・・・)

ネズミと鳥とのピンポンの試合の勝者が人類の存亡を握っているのだった。
彼らと闘うのが、釘とモアイそして二人の偉人たち。
勝った方が、人類をアンインストールするか、そのままにできるか、をチョイスできるのだった。

そして釘たちは勝者になりアンインストールに頷くのだった。

(こんな変な話(誉め言葉)を書いた作者の顔を見たいものだ!と思って裏表紙を開けたら!
そこにまた人を食った作者の顔が!なんとまあ・・・