2017.07.25 冬雷



評価 4.4

重苦しい話ではあるけれどとても丁寧に描かれている話、で、ある意味とてもよくできている話、でもあると思う。
冬雷の不気味さと、この話の感じもとてもあっている。
現代とは思えないがんじがらめになった風習とそして狭い地域に住む人たちの目・・・
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また冒頭はストーカーだったらしい愛美(まなみ)という女の子の遺書が見つかって彼女が自殺したというのはすぐにわかる。
愛美の立ち位置というのはこの物語の中でどういう感じなのだろう?
その興味で読み始めた・・・

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旧弊な町の伝統を担っている旧家と神社がある。
子どもがいない旧家の後継ぎとして孤児院から引き取られた主人公代助がいた。
同い年の神社の巫女を務める跡取り娘は真琴といい、幼いころから高校まで代助と真琴は切っても切れない友情以外の物もはぐくんできた、お互いに逃れられない運命の中で。


冒頭で夏目代助というので、あ!と思ったが、やはりこれは夏目漱石の作品を考慮に入れていたというのが途中でわかる、
代助が捨てられた時に横に置かれていたのが、夏目漱石のそれから、であった、そこから夏目代助という名前を付けられたのだった。
跡継ぎとして千田家に連れてこられ鷹匠としても鍛えられる代助。
町では特別扱いをされ、厳しい指導ながら溶け込んでいく代助の姿が雄々しい。
ところが、途中で千田夫妻にまさかの子供が生まれ、一気に代助の地位は下がっていく、なぜなら千田夫妻の本当の子供が全てを受け継ぐことになったから。
なんてひどいんだろう。
引き取っておきながらこれはないんじゃないか・・・
そしてまさかの義弟である幼子の失踪・・・代助が殺人の犯人と目される・・・・
ひどすぎる。
この町、警察はいるのか?
こんな警察がある世界ってどうなんだどうなんだ?と思った。

12年後に戻った代助は、義弟が思わぬ場所から発見されたのを知る、そして今度は、愛していた真琴が嫌疑を受けているとも。
(またしてもこの警察!!馬鹿????)と思った。
更に思いもかけない真相が・・・・
代助が愛美をもてあそんだというのは、愛美の赤裸々な日記からわかっていて、それを読んだ愛美の兄が東京で代助に暴行するまでに至ったわけだが、その日記には真実が描かれていたのか・・・
また祭りの最中になくなった真琴の実の母親が残したビデオテープはいったい何を示していたのか。どこにあるのか。

以下ネタバレ
・愛美は真琴の父と関係があった。
それをあたかも憧れていた代助とともにあったような日記を書いていた(愛美も馬鹿?)
しかも妊娠中絶をに介している。

・一方で真琴は最後に代助と契り、子供をもうけていた。
それが千田夫妻の子どもとして、今育てられている娘だった。

・愛美は自分は中絶したのに、真琴は生んだというので嫉妬していた。

・当時一人だった代助の義弟を殺したのは愛美。
そしてその隠ぺいを手伝ったのが真琴の父たち。



けれど、私にはこの重苦しい最後まで光がない感じが合わなかった・・・申し訳ない。
この因習に満ちた村からなんで出ない?というのを何度も何度も読んでいて思った。
代助が気の毒すぎるだろう・・・・
警察はバカ?というのも何度も思った、大正時代じゃないんだから、DNA鑑定とかさすがにあるだろう?
また、愛美の偏執狂的なところも怖かった。